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読書。社会学とか。

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2017年3月の記事一覧

福井康太『法理論のルーマン』1章,2章

 わかりやすかったので、1章と2章のみなんか適当に言葉を足しつつまとめておく。ただし、ぶっちゃけ言葉を足しすぎていてまったく原型を留めていない。だから、この記事の内容がダメダメだったらそれはもうすべて自分のせいです。基本的に、括弧がついている部分は勝手に付け足した内容。

 

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 現代社会は複雑で不確実なのに、秩序と安定を持ち、かつ絶大な処理能力を有している。この二面性を捉える必要が

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佐藤俊樹『近代・組織・資本主義』(序章・一章)

◯ 序章:<近代>を語る地平線-主題と方法と構成- ①そもそも近代とは脱近代を志向するものであり、②日本の場合はそこに「近代を発見する」というプロセスが加わっている。そして、②' 日本は社会システムが機能不全に陥るたびに西洋近代社会を参照してきたが、①' 西洋近代社会の諸形象が現在揺らぎつつある。日本の「脱近代」言説にはこうした二重性がある。

 こうした二重性にあるなかで、日本において「近代」を

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佐藤俊樹『近代・組織・資本主義』(2章、3章)

◯ 第二章 ゼクテの論理と近代社会 -コルプスからコーポレーションへ-

 中世後期以来の西ヨーロッパは二つの身体論 (社会は身体であり、一つの人格=王がそれを代表する) を一次モデルとしており、社団もその延長上にあった。それに対してピューリタンは契約神学 (人間と神が契約を結ぶ) を一次モデルとしている。これはとくに「個人単位の契約」と「見えない聖徒[=救済の不可視性]」という特徴をもつものであ

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佐藤俊樹『近代・組織・資本主義』4章・5章


◯ 第四章 個体的戦闘者と「自由」 -「日本的」社会の誕生-

 徳川の平和の下、武士の移動コストは大きく上昇する。武士は自由に主君を選択できなくなるのである。近世の家制度はその固定が生む葛藤を解消するために、従者と主君の情緒的な結合を発明した。自由な個体的戦闘者をいかに秩序づけるかという日本版ホッブズ問題にはこのようにして対応が図られたのである。

 近世日本は近代組織の成立条件を満たしていた

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