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Sisterleeの書評記事

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記事一覧

<雑談>あの漫画、読んだ?

Sisterlee編集部でも話題になった漫画『普通の人でいいのに!』(冬野梅子/コミックDAYSにて掲載中)。先週の編集部の雑談をお届けします。漫画の内容や結末に触れているので、未見の方はご注意ください。 ・・・ N:私は正直、この主人公の気持ちめちゃくちゃ分かるから……なんか、現実だなあと思った。特に感想もない。 B:私は結構モヤモヤがあった。主人公に対してもだけど、特に作者に。自虐的な描写を繰り返した末に、「こういうもんだよね」って提示することに意味はあるのかなって

ハリウッドが描いてきた歪んだ「トランスジェンダー」像をどう捉えるべきかーー『Disclosure』評

「ラヴァーンを見た後、周りを見回してみたら、また(トランスジェンダー役を当事者の役者が演じる)別の作品が出てきた。“私の知らないところで何が起きてるの?”と思った。“知らないうちに、私たちは差別や偏見を乗り越えていたの?”って」 これは、ドキュメンタリー『Disclosure トランスジェンダーとハリウッド: 過去、現在、そして』(以下、『Disclosure』)の作中における、数十年のキャリアを持つ舞台女優のサンドラ・コードウェルの発言だ。 コードウェルの驚きは

真実かステレオタイプか フェミニストは『女帝』をどう読んだか

『女帝 小池百合子』(以下、『女帝』)を読んで、私は非常に混乱した。小池の非情で非倫理的な言動をいくつも見せられたにもかかわらず、小池が嫌いになれなかったからである。 小池が作り上げた魅力的な「嘘」の数々 『女帝』は、小池が作り上げ、権力の座に駆け上がるために利用してきた物語が虚構であることを、緻密な取材で明らかにする本だ。同書で紹介される、小池がついてきた嘘をいくつか見てみよう。 「カイロ大学を卒業した初めての日本人女性」という経歴を売りに小池はマスコミ業

「女性差別は存在しない」に黙った私が、反論できるようになるまで

「ふーん、それは大変だったね。でも男性も女性からセクハラを受けることだってあるよ」 これはまともで善良でいい友達の一人だと思っていた男性に、私が夜道を歩いていた際におかしな男に後を付きまとわれたことを愚痴ったら返ってきた言葉だ。 その後、彼は「確かに女性に不利な部分はあるかもしれないけど、今は女性も男性と同じように働いてるし、女性だからこそ得なことだってあるよね? 男が損することのほうが多い気がする」と続けた。 明らかな悪意を持って「女性は差別されるべき!」などと

検察定年延長問題 女性芸能人にバッシングが殺到したのはなぜか?

2020年12月にMediumへサイト移転をしました。移転先で記事を読む 5月9日、検察庁法改正案をめぐり「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグがツイッター上に数百万件投稿された。 ハッシュタグの広がりには、著名芸能人がハッシュタグを投稿したことが大きく影響したとされている。 なかでもツイッター上でのフォロワーが520万人を超える歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさんがハッシュタグを投稿したことは大きな注目を集めたが(後に投稿を削除)、「歌手をやって