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イスと机

・ぼくにとってのイスと机は、集中装置です。
 「そりゃそうだ」と言われてしまいそうですが、
 恥ずかしながら、ぼくは最近気づきました。

 発見した理由としては、リモートワーク。
 ぼくの家には当初スタンディングデスクしかなく、
 立って仕事をしたり、その辺の箱をイスに見立ててみたりしていました。
 しかし、これがなかなか集中出来ない。
 意を決して、イスを買いました。
 バーに置いてあるような、背が高いイスを。

 失敗ですね。
 これは完全に失敗の部類に入るのです。
 理由は背もたれがないこと。
 結局、見た目はイスになったものの、
 役割はその辺の箱をイスに見立てたものと同じ。
 ぼくにとってのイスではなかった。
 というか、ぼくにとってイスは、
 ほとんど、背もたれが担っていると言っても過言ではない。

 早く教えて欲しかった、気づけばよかった。
 まさか、ぼくにとってのイスは背もたれが本体だったなんて。

 普通は気づかないでしょうに。
 イスは座るもので、それ以上でもそれ以下でもないでしょ。
 まさか、背後に刺客がいるとは。
 しかし、横着なぼくはすぐには"背もたれ付きのイス"にては出しません。
 もったないでしょう。
 まだ、バーのイスは生まれたばかりなのです。
 そこから試行錯誤の始まりです。
 立つと座るのバランスを考えたり、イスの高さを調整してみたり、
 そうするとどうでしょう。
 意外と、仕事できるもんです。

 いやはや、弘法筆を選ばずといいますが、
 ぼくもその世界に足を突っ込んでいたのかもしれない。
 なんて、天狗になりました。
 天狗時代も楽しかったのですが、楽しい時間はすぐに去ってしまうもの、
 その時がやってきました。

 ふと外を歩いて、ふとお店のガラスに目をやります。
 そこには意気揚々と天狗になって歩いている自分が…ではなく、
 背中を丸めて二足歩行で歩いているゴリラがいました。

 ぼくは、その日のうちに、
 新しいイスと机を買いました。
 ちょっといいやつです。

覗いていただき、ありがとうございます。
適応能力ってすごいね、良い方にも悪い方にも。


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