固有受容覚トレーニングとは?その効果と方法、そして課題
リハビリの効果や日々の生活の質
またはスポーツのパフォーマンスを向上させたいものです
運動方法について論文を調べていると
固有受容覚トレーニングという言葉を
耳にしたことがあるかもしれません
固有受容感覚は
筋・腱・関節にある固有受容器により提供される
身体の運動や位置についての情報で
身体がどのように動いたかについて
大きな役割を果たしている感覚です
つまり
目をつぶっていても
自分の腕や脚の位置の動きがわかるのは
この固有受容感覚のおかげです
近年
固有受容覚トレーニングは
運動機能の改善に効果的であるとして
注目を集めています
しかし
実際にどんなトレーニングで
どれほどの効果があるのか
どのようなトレーニングが効果的なのか
明確な答えは得られていません
そこでこのnoteでは
固有受容覚トレーニングの
運動機能改善における有効性について
レビューをまとめて紹介します
レビューから見えてくる
固有受容感覚トレーニングの効果と課題
そして今後の展望について解説していきます
固有受容覚トレーニングとは?
固有受容覚トレーニングとは
固有受容感覚を強化するためのトレーニングを指します
固有受容性感覚は
関節、筋肉、腱、皮膚にある受容器から
脳に送られる情報によって得られます
この感覚は
姿勢の制御、バランスの維持、スムーズな動き
そして正確な動作の実行に不可欠です
固有受容覚トレーニングは
これらの感覚を強化することで
運動機能を向上させることを目指します
しかし
固有受容覚トレーニングという用語は
さまざまな方法で使われており
その定義は研究者によって異なっています
なので固有受容感覚が
どのような方法が用いられたのか
トレーニングの内容を理解することが重要となります
固有受容覚トレーニングは効果的?
レビューでは合計1284件の研究から
固有受容性機能の定量的な測定値を報告し
固有受容性機能に影響を与える
トレーニングプログラムを実施した51件の研究が選ばれました
これらの研究の結果
固有受容性トレーニングは
すべての結果測定において
平均52%の改善をもたらしたことがわかりました
例えば
30Hzを超える筋肉振動をより長い時間適用したトレーニングでは
最大60%の結果改善が見られました
また関節位置と目標到達トレーニングは
関節位置感覚を平均48%向上させました
これらの結果は
固有受容性トレーニングが
体性感覚と運動感覚機能の改善に有効であることを示唆しています
固有受容覚トレーニングの種類
レビューでは
トレーニングの種類を5つに分類して
それぞれの効果を分析しました
能動運動/バランストレーニング
参加者が四肢や全身を
能動的に動かすトレーニングです
目標に到達する
特定の目標の上に足を踏み出す
バランス運動など
さまざまなトレーニング方法があります
これらのトレーニングでは
平均39%の改善が見られました
特に視覚フィードバックと組み合わせた
能動的な目標指向の到達や把握トレーニングが
最も高い精度の改善を示しました
受動運動トレーニング
受動運動トレーニングは
参加者の四肢を機械などで受動的に動かし
動きを感じることに重きを置いたトレーニングです
関節位置の感知精度を向上させる効果が期待できますが
平均改善率は38%と
能動運動トレーニングに比べて効果は低めでした
体性感覚刺激トレーニング
筋肉や皮膚に振動を与えるなど
体性感覚を刺激するトレーニングです
そのほか刺激では
温熱刺激、多体性感覚刺激、磁気刺激、電気刺激、鍼治療が行われていました
脳卒中患者に30Hzの振動を
45秒間4回繰り返すことで
起立時の体幹バランスが
有意に改善したというものや
老年の脳卒中患者で35Hz15~90秒の全身振動で
歩行テストスコアが平均61%向上と
効果が見られました
体性感覚弁別トレーニング
触覚や関節の位置を弁別するトレーニングです
このトレーニングでは
平均38%の改善が見られました
特に手首関節位置の弁別トレーニングは
脳卒中患者の手首関節角度位置一致の精度を
57〜67%向上させたという報告があります
組み合わせ/複数システムトレーニング
上記の方法を組み合わせ
トレーニングしたものです
局所性手ジストニアの患者では
能動運動トレーニングと体性感覚弁別課題
を組み合わせたトレーニングにより
指の目標位置誤差が90%改善したという報告があります
固有受容覚トレーニングの課題
レビューでは
固有受容性トレーニングの効果は
トレーニングの種類、疾患、トレーニング期間、個人の状態など
さまざまな要因によって影響されることが示され
以下の課題が見つかりました
トレーニング方法の異質性
レビューで分析された51件の研究では
トレーニング方法、トレーニング期間
測定方法がさまざまで
その結果、改善率にもばらつきが見られました
固有受容覚トレーニングの有効性を
より明確に評価するためには
標準化されたプロトコルが必要であると言えます
最適なトレーニング量の不明確さ:
セッション時間、週ごとのセッション数
介入期間の最適な組み合わせについては
まだ明確なデータがありません
保持期間の不明確さ:
トレーニングの効果がどのくらい持続するのか
つまり、トレーニングが終了した後も
効果が維持されるのかについては
研究が不足しています
トレーニングの特異性:
特定のトレーニングによって得られた改善が
他のタスクや状況にも応用できるのか
つまり、トレーニングの効果が汎用性があるのかについては
さらなる研究が必要です
終わりに
固有受容覚トレーニングは
スポーツのパフォーマンス向上、怪我のリハビリ
日常生活の質の向上など
幅広い分野で活用できる可能性を秘めています
レビューでは
固有受容覚トレーニングの有効性について多く得られました
しかし、最適なトレーニング量の不明確さなど
課題も明らかになりました
具体的な方法などは各論文を参照に
考えやっていく必要があると思われます
今後は具体的な方法などについても
記事にしていきたいと思います
今回記事で使用したレビュー
The effectiveness of proprioceptive training for improving motor function: a systematic review
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