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お客様に説教する私の今後のサービス業

接客業を長く従事している中で
ホスピタリティというのは
正義感と相性が悪いなぁ

感じることがあります。

今となっては死語となりつつありますが
お客様は神様だ
という言葉がよく接客業の場で
お客様が乱用されて無理難題を押し付ける
というシーンがかつての日本には多くありました。

その時代を長く経験した大先輩がある時
「お客様に多少性格的な問題があったとしても
 指摘するのは私たちのするのことではない」
と言っていました。

たしかに私自身も経験則で
サービス業は正論で勝負する場所じゃない
と思っています。

ただある時
スマホの有料のデータ移行サービスを
受けているスタッフを横目で見て
思ったことがありました。

もちろんお客様も
頑張れば自分でも出来るようなサービスに
5000円ほどの料金を払ってくださるので
こっちも精一杯それに応えないといけません。

ただデータ転送に関しては
やってみないとわからない為
時にどれだけお金がかかっていようと
どうしようもなくて
返金するケースもあります。

ただそのスタッフは丸2日かけて
お客様も何度も行ったり来たりしながら
結局データ移行が出来なさそうで
心が折れかけていました。

私なら1日目に目処が立たなかった時点で
謝罪して返金するなぁと思いながら
そのスタッフは粘るのですが
結局やはり転送出来ずに返金することと
なりました。
お客様もスタッフも多大な時間を奪われたのにも
関わらず思う結果にならず終わりました。

ちなみにここまでして転送できないケースは
稀で正直なところ
そういうケースに関しては
今まで無節操にデータを撮り溜めして
ろくにバックアップや整理をしてこなかった
お客様側の責任もあります。

さらに5000円のサービスということは
お互いの時間単価を考えると
2時間以上かけるべきではないのです。

優しくて誠実性の高いそのスタッフは
普段からどちらかというと相手が間違っていても
強く言えるタイプではないし
知らず知らずにお客様からの無理難題を
受け入れがちなスタッフです。

お客様の端末を預かって
「できないよ〜」と粘るスタッフと
私以外にフロアには誰もいなかったので私は

もう、そのお客様一回
 データ全部消えた方がいいですよね。

と笑いながら
成田先生の「高齢者は集団自決」並に
攻めた発言をしてみました。

先程もお伝えしたように
データ転送というのは
データが多ければ多いほど
時間もかかるし成功確率が下がります。

物理的な引っ越し作業に於いては
運ぶ物の多さによって料金がかわるのに
データ転送に関しては一律なのです。

これはまだデータ転送の有料サービスというのが
始まって間もないので
サービス内容の精度が甘いからだと思います。

割と攻めた言い方をしたと思ったのですが
他のスタッフも同じようなことを感じたようです。
「これはお客様が今までデータ整理や
 バックアップしてこなかったツケが
 回ってきたから
 それをやんわりと伝えた方がいい」
というような論調になりました。

ちなみに
「データ一回全部消えた方がいい」
というのは私の実体験でして
一度ガラケー時代に水濡れでデータが全部
飛んでしまって
当時まだ携帯会社に勤めていなかった私は
自分がバックアップしていなかったのが
悪いにも関わらず
店員さんに強く言ってしまったことがありました。

その後私は普段から
消えてもいいデータとそうではないデータを
切り分けて極力不要なデータを消したり
引っ越しも多かったので
家のものもあまり持たないように
することを意識しました。

データが消えたからこそ
本当に必要なデータを見つめ直すきっかけになり
データこそ自分で理解して管理することが
大事なのだと実感しました。

基本的にデータ転送に失敗してしまう方は
そのような危機感もなく今日に至ってしまった方です。

たとえサービス業で基本的には
同調しないといけない立場であっても
そこは強く言ってあげた方が
結果的にお客様のためだと
私は心から思っています。

なので普段は正義感を振りかざすことはしない
もののデータを全部人任せにしてしまう方に
だけはそういった実体験を交えて
説教じみたことを言ったことが何度かあります。

ただそれでお客様が離れたかと言うと
私の説教を受けたはずのお客様が
むしろ前より私に対しての信頼が厚くなったのです。

「あの時SISさんが
 言ってくれて本当によかった」
と言って頂けました。

もちろん年下でかつ接客する側の人から
生意気に苦言を呈されて
素直にそう感じられるそのお客様の人間性も
大変素晴らしいと思います。

中には
「生意気にスタッフ風情が
 俺なんかに接客しやがって」
みたいな方もいそうですから。

ただ私もそこは見極めているかもしれませんね。
後者のように思うような方は
本当にどうでもいいですから。

ついつい接客する側とされる側で
上下関係が発生していると思われがちですが
そんな中で対等に接したり
お互いの関係を良好にしたりするために
時に言うこのような接客は
ほとんどの場合相手に伝わります。

そしてこう感じていただけるのです。
「ああ、この人は言い辛いことを言ってくれる
 信頼できる人だな」と。

私も逆の立場なら
自分の言うことをなんでも肯定するイエスマンは
最初は気持ちいいかもしれませんが
長いこと付き合ってくると
「この人も腹の底では何考えてることやら」
と思ってしまいます。

これも長期的営業力の一つかもしれませんね。

そして今からの時代は
そういうスタッフが求められてくるような
気がしています。

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