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【リバース1999】コーンブルメから学ぶドイツの歴史【徹底解説&考察】

今回は気さくで可愛く人気の高いコーンブルメのルーツを解説していきます。


・【ミディアム】ヤグルマギクについて


まず彼女の名前でもあり【ミディアム】でもある”ヤグルマギク=コーンブルメ”にまつわる話をしていきます。

コーンブルメは昔からドイツの国花として扱われてはいましたが、1900年初頭に設立した反ユダヤ人組織のマークに使われたり、ナチスの象徴として扱われたりと主に過激な愛国主義の団体が用いてました。


またベルリンの壁が築かれた数カ月後に『アクティオン・コーンブルメ』別名『害虫駆除作戦』というシュタージが行った作戦があり、これにより東ドイツの国境付近に住む3000人以上の住民が強制移住させられ家や財産、そして職を失いました。

このようにコーンブルメはドイツの象徴として扱われているものの、主に右派に使用されているため、ドイツやオーストリアに於いて政治的な使用はタブー視されています。

・【本源】ボイスキャッチャー=シュタージュについて

次に彼女の【本源】となっているボイスキャッチャーは彼女の職業であるシュタージの事だと思われます。

ではシュタージについての少し説明をしていきます。
ナチス解体後に分断されたドイツの東側を、ソ連の指揮下で再組織化されたのがドイツ民主共和国(東ドイツ)ですが、主にナチス残党が政治に強く関与していたため”ナチスの名残”がありました。
(西ドイツの方がナチ残党は多かったがアメリカの指導が徹底していたのか”名残”はすぐに消された)
そして東ドイツが誕生してから数年後には圧政を批判するデモが行われたり、国外逃亡に出るものが続出したりと『政府の反乱分子』が増加し、それに比例するように”シュタージ”は大きな組織へと変わっていきます。

シュタージは国家安全保障という体で作られた秘密警察で、西側に通じている者や反乱分子の排除が主な任務でした。
ベルリンの壁が作られた60年代では拷問や見世物裁判といった残虐的な方法で反乱分子を攻撃し沈静化させ、70年代には攻撃方法は陰湿なものへと変わり、盗聴や嫌がらせなどを用いて民衆間のグループ化を防ぎ徹底的な管理を行ってきました。

・資料や台詞に基づいた考察

ここからは彼女の台詞や資料に基づいて考察していきます。
まず彼女の特徴的な台詞にこんなのがあります。

一見なんの事かわかりにくいですが、吊るされている人ということからタロットカードのハングドマンを思い浮かべました。
ハングドマンのカードの元になっているのは吊るされたユダですが、言わずもながら彼はユダヤ人の祖先です。
つまりこの台詞は”ユダヤ人を助けた名もなき人”を指していると思いました。

これに該当する人物は多数存在しており、彼らは”ユダヤ人の救世主”と呼ばれていました。

ユダヤ人を助けたドイツ人といえば『シンドラーのリスト』で知られるシンドラー・オスカーが最も有名ですが、彼以外にもナチス政権化にいながらも自らの危険を顧みて、ユダヤ人を匿ったり逃亡を手伝っていた人達は大勢存在していました。
その多くは農夫や商人や主婦などただの一般人でした。

・善き人のためのソナタ

続いては彼女が持っている本についてですが、これはベルトルト・ブレヒトという劇作家の書いた詩集です。
彼もまたナチスに抵抗した人物で当時の政権に対し、詩を持って批判をしていました。

ちなみに彼女のウルトでニコニコ動画のコメント弾幕みたいに流れている言葉は、ブレヒトの詩から引用されているようです。

・Waldeinsamkeit
森の孤独
・Unvorstellbar
想像を絶するような という形容詞
・Es wird alles wieder gut
きっと全て上手くいくさ
・am Ball bleiben
ボールに留まる
・Genauso wie erwartet
想定の範囲内

そしてこの本とシュタージという点を結ぶのは”善き人のためのソナタ”という映画です。

主人公はシュタージの大尉ヴィスラーという人物で、劇作家ドライマンとその恋人マリアの熱愛的な生活を監視するのですが、
彼らの情熱的な日々とは対象的な自身の孤独な生き方や、組織への不信感に葛藤するというお話です。

個人的にも記憶に残る名作だったので是非見てほしいです。


・ラジオ・グラスノスチ

文化3の【ベルリンの外のベルリン人】というテーマに合った関連性が高い話が一つありました。

それは”ラジオ・グラスノスチ ーアウト・オブ・コントロールー”というベルリンの壁崩壊の3年前に配信されていたラジオです。
ローランド・ヤーンという人物を筆頭に組織された反政府団体が、東ドイツの現状をテープに収録し、それを西ドイツに密輸して、壁の外から壁の中の現状を知らせるという方法を使い反政府運動を行っていました。

シュタージは勿論これを阻止しようとしますが、ラジオはその都度局を変えて壁の中へ訴えかけ続けます。
そしてこれが大きな起因となり、多くの名もなき英雄たちは立ち上がり、幾つものデモを起こし、ラジオの名前の通り民衆たちの解放への熱は”制御不能となって、1989年11月9日にベルリンの壁は打ち砕かれました

この発端人となったローランド・ヤーンですが、彼はその功績を経て2010年にシュタージの記録担当連邦長官に任命されました。


・ユーディモについて

最後に彼女のユーディモについて解説していきます。
洞察2にも大きく存在感を主張している嘴の生えたキツネですが、これは公式設定ではフェネックらしいです。

しかしフェネックとドイツには共通点はありません。
ただ私はユーディモは星座に関連しているものだと考えておりますので、キツネに関連する星座を調べてみると子狐座というものが存在しました。
この小狐座は逸話などないのですが何故かガチョウを咥えています。

ガチョウとドイツは関連性があり、ナチスを象徴する膝を曲げずに真っ直ぐにして歩く”ナチス式行進”というものがあるのですが、これは別名ガチョウ行進と呼ばれています。

つまりナチスをガチョウと見立てて、それを咥えているキツネをナチスに抗った人々として表しているのではないかと考えました。

・まとめ

コーンブルメのルーツについてまとめますが――
【本源】ボイスキャッチャー=シュタージ
ミディアム】ヤグルマギク=ドイツの極右団体(反ユダヤ団体/ナチス/シュタージ)

しかし彼女は右側の人間というより、それらの組織に対抗した人々をルーツにした存在だと考えました。

洞察2の彼女の姿も右派団体を象徴するヤグルマギクは枯れており、マフラーが解けていることから、暗く冷たい冬の終わりを表しているようにも思えます。

『幸福』という花言葉を持つ『コーンブルメ』が、彼女達のような人のための象徴として扱われる日がいつか来てほしいですね。




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