ホモデウス感想文

ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来
https://www.amazon.co.jp/dp/4309227368/

前書き、序章がなくいきなり90ページな第一章から始まるあたり、
前作の「サピエンス全史」を読んでいることを前提とするのか、
この前置きの長さはトールキン「指輪物語」に匹敵するくらいに、
ライトな読者を挫折させるかもしれん。
私は「サピエンス全史」は読んでないけど、それなりに世界史・宗教・
哲学などの知識はあるつもりなのでまぁ読めた。
が、おそらく「サピエンス全史」熟読した人にはくどくて長い前置き
だろうし、前提の知識ない人には端折り過ぎてさっぱりわからんという
ことになってしまいそうなので、そこだけは注意したほうがいい。

歴史に照らし合わせながら、AIは意思を持つのか?いや、生物科学でも
行動は感覚器官と脳の電気信号のやり取りではないのか、電気信号で
あるならば、AIも意思を持って行動するのではないのか?という、
哲学的命題を軸とし、人間とは、AIとはてな感じで話が進んでいく。
これは哲学者、宗教学者、歴史学者にとって避けて通れない命題なの
だろうね、最近読んだマルクス・ガブリエルもそういうテーマで著作を
数多く書いているし、「欲望の資本主義」シリーズもそうだ。
人間はエラーを起こす、エラーを起こす神経信号の仕組みが明らかに
なれば、AIにおいても人間的なエラーを再現出来るはずだし、逆に人間
のエラーを回避するようコントロール出来るようになるかもしれん。
その事実を認めて人間とAIの差は縮まっていく立場にあることと、
事実を認めずに人間とAIには薄皮一枚の差は歴然として存在する立場
さえ、別の角度から見れば差などなく同一視されるのかも。

深層学習、ディープラーニングはそのアルゴリズムを作った人間であって
も、何が起こるのかってのがブラックボックス化しているのが現状。
CPUはアルゴリズムに従って粛々と計算しているだけなのに…
実際、金融工学がどんどん発展していく過程で、債権の証券化し混ぜ合わせ
リスクの濃い薄いで金融商品を作ることで、サブプライム層と言われる人
にも住宅が行き渡るようにはなった。が、格付けAAでも焦げ付く金融商品が
現れ始めて投資銀行ベアスターンズが破綻や、BNPバリパの取り付け騒動
からサブプライムローン問題が表面化し、リーマンショックに至った。
ベアスターンズやリーマンブラザーズ破綻はサブプライムローンに
収益性を感じ驀進したことが要因だが、ベアスターンズは救済されて、
リーマンブラザーズの救済話が全て流れたのは、結局ミックスされた金融
商品にどのくらいのサブプライムローンが含まれているのかってことが
人間にはわからなかったこと、本当の負債額がどれほどが見当がつかず
手を出し辛かったのも要因とされている。
別にAIが暴走してサブプライムローン焦げ付きを誘導したわけではない。
AIは安全性を担保した金融商品だから安全という神話が住宅販売会社、
ローン審査会社、投資銀行、保険会社全てに蔓延したことが主たる要因だ。
なので、実際は金融証券の歩留りはそこまでではなく、暴落して底値で買った
人はのちに大儲けしたってなオチもある。
まぁリーマンブラザーズの損失の確定額もそういうわけで数年かかって
ようやく出たくらい。

上の段落に書いたことは「ホモデウス」ではほとんど取り上げられてなく、
単に読みながら思い出されたことや、繋がったことなどを取り上げただけ
なので内容とは関係ないが…

AIが暴走するのか?そして映画「ターミネーター」な世界が起こりうるの
か?ってなことも…結局は人間のエラーから始まるのだろうとしか、
いろいろ読めば読むほど思ってくるもんだ。AIは万能ではないが、使う
人間によっては善にも悪にもなるのかもしれん。まぁブラックボックス化
した深層学習が極まったAIがあれば、全知全能の神的に崇める宗教などが
出て来ても不思議じゃない時代はすぐそこに来てるかもしれんね。

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