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ネットのおもちゃはやめておけ/あるいは、地下二階にも都はございます

このエッセイは平家物語とは何ら関係が無いものである。
無いのだが、私は平家物語が好きなので勝手に引用している。

さて、私は自分の日常や思考を文章にするのが大の苦手であり、それゆえこの文章も書くのをとても渋ったという経緯がある。
ただ、他者に承認してもらいたくてコンテンツを作り続ける私にとって「自己プロデュース」は必要不可欠であったし、何より自分の足跡を文章にして残すことにより他人に1mmでもいいので私の事を知ってもらえればと思って筆をとった。要するに動機は承認欲求である。

昨日のことだが、書店でふと見かけたので最果タヒさんの「神様の友達の友達の友達はぼく」というエッセイを買ってみた。一応言及しておくと私はこの方の作品があまり得意ではないし、文章もあまりコンテンツとして好いているわけではない。
ただ、現代短歌を主軸にこれから活動するにあたり、自分と違う作風、感じ方の売れている作家さんの文章を読むことには価値があると考えた。
実際、学べる事は多くあった。1600円+税は学生にはかなり痛い出費であったが。
内容に触れるとそれだけで一個記事が出来てしまいそうなので今回は触れずにおくが、視点も環境も感じ方も違う人の文章というのは、得てして新鮮なピーマンのようなもので、苦いが栄養満点で体にいい。

私が一番印象に残ったのは、最果さんが他人に媚びていない点だった。
別にそれは糾弾されるような悪い事でも何でもなく、場合によっては美徳とされる事なのだが、私はそのスタンスで売れている最果さんが羨ましかった。いや、ほぼ嫉妬と呼んで差し支えないかもしれない。
幼い時から他人に合わせなければいじめられ、教師を始めとした大人から叱られ友達を無くした経験から、私は他人の中にうまく溶け込む術を身に着けてきた。お調子者の変な奴、あるいは頭のイカレた人間として。
人は自分の理解できないものを怖がるが、理解できる範疇でふざけた/あるいはイカれた人間の事は面白がる性質がある。
私はそれを勉強したから、自分がまともではないふりをするのが得意になった。
先日もDiscordのVCで「イカれ」と形容されたのをはっきり覚えている。
別に発言者に罪があるわけではない。私はそういう振る舞いをしている。
ただ、別に私はイカれた人間になりたかったわけじゃなかった。
ありのままの自分を誰かに愛してほしかっただけだ。なんでこんなネットのおもちゃになってしまったのだろう。
それなのにどうだ。
媚びていない最果タヒさんの詩やエッセイは私の作品よりも高く評価され、世に商業作品として出回り、最果さんは社会的地位を獲得している。
たぶん本人はそんなこと一切気にしていないと思うが、それにまた嫉妬してしまう。
なぜ「社会の不協和音」(書籍帯引用)のあなたが評価されて、必死に異常性をアピールして人間見世物小屋を24時間開催している私はネットの藻屑でしかないのだ。
社会に媚びているのがすでに凡夫、と言われればそうかもしれない。
だが、ならば素で社会に適応できるような人間に産んでほしい。才能も与えずに生きにくい人間を生産しないでほしい。
結局のところ、この怒りは親でも最果さんでもなく、自分に向いた怒りなのだと思う。
右向け右、と号令されて右をうまく向けない不器用な自分に対する怒り。
文才の無い自分に対する怒り。

怒ってもどうしようもない。
自分の頬を自分で殴っても痛いだけだ。

そういえば、異常者の私も恋をしたことがある。秒でフラれたが。
恋というのは摩訶不思議かつ盲目なものだというのは皆知っていると思う。
私の恋もだいたいそんな感じだった。

その人の言葉遣いはとても綺麗で、夏の夜空を見ているようだった。
だから、好きになった。それだけの話だ。

ちなみにフラれた原因は距離の詰めすぎにある。私は心の距離を詰める方法を一切習得していないので、めちゃくちゃドン引きされた。
今でも痛い思い出である。
いや、まだかさぶたすら出来ていないかもしれないが。

短歌の好みもあまり他の人とはかぶらなかった。
黒田三郎さんや石垣りんさんが私の好きな作家であるのだが、たぶん今の時流でメジャーなのはおそらく穂村弘さんや俵万智さんなどの作家だろう。
もちろん現代短歌も大好きではあるのだが、何分現代社会に適応できぬ身なので、それらを遠く離れた時勢の出来事として捉えてしまう節がある。

どうせ遠いならファンタジーとしては、ちょっと昔の短歌が持つ、セピアで力強い生活力が好きだった。ちょっと自分でも何を言っているのかわからないので、良い感じにくみ取ってほしい。

結局私は承認欲求から逃れられない人間であり、そのため創作活動とSNSもやめられないのであるが、この文章を読んでいる皆様にはそうなってほしくないので、ここらへんでいい感じに提言しておきたい。


提言しておきたいと思ったのだが、提言するほどの教訓をも私は持ち合わせていなかった。実に空虚じゃありゃせんか?
とりあえず、ネットのおもちゃはやめておいたらいいんじゃないでしょうか。とだけ言っておこう。

あ、そうだ。思い出した。

短歌の歌会をdiscordサーバーでやってるので、良かったら来てください。
最果タヒさんが好きな方も、もちろん歓迎します。
というか比較的開かれた歌会を目指しているので、誰でも来てください。

ここまで長話に付き合ってくれてありがとうという気持ちがあるので、読者の方には、ビッグ・ラブを送らせていただく事にする。

BIG LOVE!!!!!(クソデカ大声)



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