雀荘辞めたら出禁になった話

私は数年前、とある雀荘で働いていた
当時働いてた店は良くも悪くも「場末感」がすごい店であり卓は自動配牌とかの機能は無く山だけ積まれサイコロを振って取り出すタイプの店

当時は居心地も結構悪くなく楽しく働けてはいた

毎月やってるイベントも色々ありそのイベントを丸々一個僕が考えて準備して開催して好評だったりもした

常連のお客さんにも割と気に入られてたりして楽しいメンバーを過ごせてはいた

しかしその後、エグかった

人手不足

働き始めて結構経った頃えげつない人手不足の状態に陥った

原因は新人のメンバーがことごとく飛んでしまったのと先輩メンバーの人がレジの金をぶっこ抜いて飛んだのが重なってしまったのだ

当時私のシフトは朝10時~夜22時までの「早番」と呼ばれるシフトで勤務していたのだが「遅番」の22時~LASTを回せる人員が不足してしまった

遅番の店員が1人とかになってしまったのだ

普通であればそうなったらどうするか?

オーナーが自ら出勤し遅番の時間を回す
新しいアルバイトを緊急で募集する

まぁその辺が無難であろう

では私の店ではどうなったか?

答えは「私が10時から22時まで働いて22時以降は店のソファーで寝て夜中に人員不足になると起こされその時間から働き客が掃けていなくなったらソファーで寝て翌朝10時前にオーナーが出勤してくると起こされそっから22時まで働くのループ状態」

どう考えてもとち狂ってイカれてやがる

なんでそんなことに?と思われる方もいるが理由がある

それは都合のいい人間が私しかいなかったからだと今となっては思う

当時働いてたメンバーは私含め3人

そのうち私以外の2人は兼業だったり一家の父であったりしそんなぶち抜きシフトだと無理だとなり

その店のバイト1本でやってた私にしかできないとなったらしい

オーナーから頼まれるも私はもちろん最初難色を示した

そりゃそうだそんなシフト、リスクしかない

いくら時給が稼げるとはいえ夜中に起こされて打つ麻雀がベストなものになるわけも無い

しかしオーナーは「その時間帯の時給ももちろん深夜手当とは別で割増もつける」と提案してきた

結論から言うとそんなことは無かった

しかし当時の若い私は「これもひとつの経験になるかもしれん」とその話を受け、最長80時間連続で勤務したりもした

家にはほぼ帰れず朝イチでお客さんがいない時間を見計らって近所のネカフェにシャワーを浴びに行くような生活だった

オープンリーチ

そんなある日オーナーが「新しいルールを導入するぞ!オープンリーチや!」と言い出した

オーナーは思い付きでルールを変えたりするので正直私は
「えぇ・・・」となっていた

毎日同じルールで打ち続けていてそのルールに慣れているのがメンバーの唯一の強みと言っていいのにそんなポンポン変えられてはたまらないのだ

オーナーの言う「オープンリーチ」はこうだ
・リーチをする際にオープンリーチを宣言
・オープンするのは待ちにかかわる場所だけではなく手牌すべてを開ける
・「オープン」は2ハン役でリーチとは別、祝儀も2枚発生する
・回数の制限は無く何回でもできる
・「オープン」への振り込みはリーチ後か手詰まりでないと不可、非リーチ状態で間違えて前に切っても戻される

簡単に言うと

リーチのみでもオープンしてツモれば
リーチ、オープン、ツモで4ハンのマンガンの祝儀2枚オールになるのである

私は思った、「強くね??????」と

しかし導入してすぐは条件を達成するためにしかたなくオープンをするという人が多数であまり積極的に使用する人は皆無だった

そんな中連日勤務しながら私は

「これ何でもかんでもオープンしてツモりに行ったほうがめっちゃ得なんじゃないの?」と考えた

期待値とかそんな計算は全く出来ないので詳しい数字とかは出せないが感覚的にお得そうと思いそれから僕は何でもかんでもオープンリーチをしまくった

するとどうだろう、ドチャクソに勝ったのである

フリー麻雀での祝儀の価値は思ってるより高いので私の働いてた店のレートだと2枚オール=点棒換算12000点相当なのでめっちゃ儲かった

私は調子に乗り山におると感じたら七対子でもオープンして強引にツモって跳満の2枚オールとかしまくっていた

本走(お客さんと混ざってフリー麻雀を打つこと)の成績はゴンゴン上がりMAXは時給に+15万くらい上乗せされた給料が出たりした

それをオーナーは気に食わなかった

ある日出勤するとオーナーから「お前、オープンリーチするの1ゲームで1回だけな、守らなかったら罰金とるから」と言われた

めちゃくちゃな縛りをつけられた、私は理由を聞くととんでもない答えが返ってきた

「お前が勝ってるの見てたらイラつくねん」

純度120%の悪意だった

オーナーとしては「時給出してるけどそこそこ麻雀で負けてもらえないと給料を払う金額が多くて嫌」だったらしい

仕方がないのでオープンリーチは回数制限を遵守して勤務に臨むことにした

なおかつそっから麻雀の勉強を本格的にやってみることにした、内容はとにかく麻雀本を読み漁ったり何切る問題の問題集をマジで暇な時間を見つけては解きまくったりして「私の麻雀」の精度を上げるよう努力を始めた

常連のお客さんで強い人がいたらそのお客さんに「こういう状態だったら何切ります?」とか先輩の業界歴長いベテランメンバーさんに質問したりしてガリガリに勉強をした

するとどうだろう、オープンしなくても成績はそこまで落ちずなんなら上手い人たちに「さっきの鳴きええやん」とか褒められたりもしすごく嬉しかった

その姿勢もオーナーは気に入らなかったようで「勉強したとおりに麻雀勝てたら苦労しないけどね」などイヤミを言われ始めた

ここからストレスとも戦いが始まった。

CR脳天膿物語

勉強しながらも働いてるサイクルは変わらず、毎日10時から働きソファーで仮眠をして深夜に起きて閉店まで打つ生活をしていたある日

尋常じゃない頭痛がした

「ズキズキ」とかではなく不意に脳天を殴られたような鈍痛がするようになってきたのである

寝不足かなと思っていたが日に日に頭痛の痛みは増し、ある日頭痛の箇所に違和感を感じ触るとなにか出来物があるような感覚がした

見えにくい箇所なので携帯で写真を撮って写真を見るとプクーと膨らんでいた

さすがにまずいと思いオーナーにイヤミを吐かれながらも頭を下げて1日休みを取り病院に行った

診てもらうとお医者さんに「今すぐ手術が必要です!」と言われそのまま手術をすることになった

麻酔をして脳天にメスを入れられたところ患部からは大量の膿が出てきたらしい(さすがに見てない)

そして膿を全部出した患部にガーゼ的なやつを詰められて手術は終わった

頭は包帯でグルグル巻きでもはやボンバーマンだった


手術後お医者さんに「どんな生活されてます?」と聞かれて私の勤務状況などを伝えたところお医者さんは結構キレながら

「今すぐその仕事辞めるか何度も何度も膿を出す人生か選んでください」と言われた

お医者さん曰く原因はストレスらしい

こりゃ無理だと思い私は帰宅後オーナーに報告をして翌日のシフトの前に話をすることにした

退職、そして出禁

翌日オーナーにカルテやお医者さんからの言葉などを伝え退職の意思を伝えた

さすがに辞めますでその日のうちに辞めるのは厳しいとのことなので月末までだけ働くこととなった

そして最後の出勤日、めっちゃ仲良くしていた同僚から退職祝いとして近辺のコンビニ全部で買えるだけ買ったスニッカーズをプレゼントされた

さすがに嬉しくて泣いてしまった

退職祝いの写真「スニッカーズ一色」

オーナーからは「はい、お疲れさん」だけだった

それからしばらく療養をして何とか治ったある日その店の近くを通った際に遊びに行こうと思って来店した

するとベテラン先輩から


「白魔君、出禁だってオーナーが言ってた」

衝撃的な宣告だった、先輩に「えっ!?!?!?」と聞き返してしまった

先輩曰く

「こんな忙しいときに辞めたあいつは裏切り者だ、もし来たらつまみ出せ」

とオーナーは言っていたと

先輩も「絶対オーナーがおかしい」と言ってくれたが出禁になってしまったのなら仕方ないと何とも言えない気持ちになり私は店を後にした

割と頑張ってシフト入って無理もしてたのになと結構ショックを受け泣きながら私は帰った。

バーーーーーーーーカ!!!!!!!

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