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道徳授業で「クローズドクエスチョン」は有効かどうか

はじめに

あぁーーーー
この発問で授業を展開したら盛り上がるはずだったのになぁ
っていう経験ないですか?
実はソレちょっとしたことで改善されるかもしれませんよ。

それが、今回話題にするオープンクエスチョンとクローズドクエスチョンなんです。
オープンクエスチョンとは、
「好きな料理は何ですか?」といったもので、
答えは無限にありますよね。

クローズドクエスチョンとは、
「好きな料理はラーメンですか?カレーですか?」といったのもので、
答えは、問われている選択肢の中から答えなければいけません。
ちなみにこの2択なら、迷いに迷って・・・ラーメンを取ります!

さて、今日はこのクローズドクエスチョンが有効な場合について探っていきましょう!

クローズドクエスチョンが有効なとき

まず、大前提としては、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンは織り交ぜて使っていく方が効果的だと考えています。

拙著『おもしろすぎて子どもに会いたくなる 学級経営図解』より

オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンは、おさらいしておくと上の画像のようになります。

前提がわかったところで、クローズドクエスチョンについて考えていきましょう。
で、クローズドクエスチョンの特徴としては、「考えるきっかけとしてはわかりやすい」ということなんですよね。

先ほどの料理でいうと、好きな料理一つ決めろって言われてもめちゃくちゃ迷うじゃないですか。場合によっては1時間くらい考えてしまうかもしれません。
ちなみにこの記事を書きながら奥さんに聞くと
「うわ〜〜〜〜悩むなぁ。一つじゃないしなぁ・・・うーん、お寿司」と言った回答が得られました。

ところが、「ラーメンかカレーかどっち?」って聞かれたら、迷ったとしてもすぐに答えられそうですよね。
ちなみに奥さんに聞くと(しつこい)
「ラーメン!麺が好きだから!」と即答でしたw

ということを踏まえると、道徳の時間ではどのような時に有効なのでしょうか。
私は3つ有効な場面があると思っています。

  1. 導入での発問

  2. 中心発問の入り口として使う

  3. 飛び込み授業で使う

この3つです。

1.導入での発問に関して
導入では、子どもたちのエンジンはまだかかっていない状態です。そんなときにはクローズドな投げかけをした方がエンジンがかかることがあります。
後、導入であまり悩みすぎていたら先に進めないというのもありますかね。

『雨のバス停留所で』という教材の導入で次のようなことを聞いたことがあります。

『雨のバス停留所で』の導入

さて、どれが正解かわかりますか?

チチチチチチ

チチチチチチ・・・

チーン

答えは、全問正解でした!
これは外国に実際にある法律でした。
これらの法律は知らないと守ることができませんよね。

では、きまりはいつだって明文化されていないと守ることはできないのでしょうか?

といった形で導入していきました。
(蛇足ですが、雨のバス停留所では、雨の日に客たちが軒下で列になって並んでいたところに主人公の少女が列に並ばずにバスに乗ってしまうのです。「雨の日には軒下に並ぼうというルールは当然書いてはありません)

2.中心発問の入り口として使う
中心発問でクローズドクエスチョンを扱うことはそこそこあります。例えば「友情を取りますか?決まりを取りますか?」みたいな発問とか、「より親切なのは、Aですか?Bですか?」といった形です。
そこから、「なぜそう思いましたか?」と理由を問うていき、議論を深めていきます。

こちらに関して、詳しく知りたい方は下の記事をご覧ください。

3.飛び込み授業で使う
最近、飛び込み授業をする機会が少しずつ増えてきました。

飛び込み授業をするときには、そのクラスの実力がわからないんですよね。
活発に意見を言い合える風土があるクラスなのか
発問をしてもお葬式のようにチーンとなるクラスなのか

そこで、様子見としてクローズドクエスチョンを入れます。
クローズドクエスチョンなら、クラスの実態に関わらず話し合いを成立させることができるからです。

で、そこから次の発問に行く時には、様子に合わせて臨機応変に・・・
といった形をとることで、大きく滑ることはなくなってきたなという感じです。

実際に授業でやって「うまくいったこと」「うまくいかなかったこと」

うまくいったこと

さて、先日3年生で授業をしてきました。「窓ガラスと魚」という奇妙な題名の教材があるのですが、そちらで授業をしてきました。

ここで、導入でクローズドクエスチョンをしてみました。

T:「次のうち、正直ものは誰?①アンパンマン②バイキンマン③のび太」
C:「アンパンマン!」
T:「それはどうして?」
C:「アンパンマンは正義のヒーロー!」「アンパンマンは嘘ついたのを見たことがない」

こんな会話が繰り広げられました。さて、なぜクローズドクエスチョンを使ったかというと、「クラスの実態がわからなかったから」なんです。
これが自分のクラスなら「正直に言えなかった経験ってある?」って聞いたかもしれません。ですが、飛び込み授業でいきなり入っていった私に対して腹を割って話をしてくれるかわかりませんでしたし、何より活発なクラスかどうかも読めなかったのです。

ちなみにですが、この導入から自分の経験へと話が広がっていけば、それはそれで万々歳ですし、「②バイキンマン!」とか「③のび太!」という答えが出れば、そこから話を広げることもできますので、どう転んでも導入ではうまくいくという確信めいたものがありました。

うまくいかなかったこと

いい感じに進んでいるぞと手応えを感じながら、中心発問でも選択肢を入れながら聞いてみました。

T:「千一郎が謝れたのは、A、B、C、D(その他)のどの理由から?」

このような形で発問をしたのですよ。

するとね・・・

Bに偏ってしまいました。
これは残念な結果としか言いようがありません。

中心発問では多様な考えを出したかったのに、Bという一つの答えに集約されてしまいました。
しかも、そのBという考えが経験などから導き出されたのならまだしも、「教科書に載っていたから」という理由なんですよね。

発問した瞬間に「まずいな」と感じたのは、
教科書をパラパラと確認し始めたところなんですよね。

教材に対して、選択肢のある発問をしてしまうと
どうしても「どれが正解だろう」という考えが無意識に働いてしまいます。

そこを注意しないと、それこそ本文から根拠を探し出す国語の授業になってしまいます。

おわりに

いやぁ、なかなか難しいもんですね。
クローズドクエスチョンを使えば、考えやすくなるというメリットがある反面、使い方がまずいと「答えを探る」という思考になってしまうのだなとあらためて勉強になりました。

導入で使うときには、自分の経験や価値観から考えるものが多いのであまりそういうことにはならなかったのですが・・・

教科書の中身を考えるときには扱いには充分に気をつけてやらなければいけないですね。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
いつもみなさんの「スキ」に励まされています。


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