10月9日

今日は久しぶりに女の人に優しくしてもらう用事。どう動いても何を言ってもにこやかな笑顔と「ありがとうございます」を貰える最高の用事。
普段は一対一で優しくしてもらうところ、今日はなんと一対二で優しくもらってしまった。優しさ過多。
過剰な優しさに触れるあまり体の角という角が取れた。辛うじて手足は付いたままなのでさながら精霊馬。茄子のほう。脚も遅いし。


割り箸の手足を器用に使って御用達のガストへ。お気に入りの左側が壁の角席に着席。
ついにから好しの唐揚げを食べたんだがめちゃくちゃ美味いなあれ。まあ揚げたての揚げ物は全部美味い。これは真理。

程なくして隣りの席に私と同じ目的を持った人間が来た。違うのは私と違って男女のペアだということ。
カップルだとばかり思い込んでいたがよく話を聞くとどうやら会社の同期らしい。入社して資格の取得が求められており、仕方なく勉強をしているといったところ。

もし私が先に席を立つことになったら「お互い頑張りましょうね」とでも声を掛けようかなどと考えていたが、先に帰られてしまった。
ちょっと良い事でもしようなんて考えようものならこうよ。柄にもない事考えるもんじゃないわね。私は私らしく、フンコロガシの脚は何本だろうみたいなことを考えていればいい。
昆虫だから6本かなあ。

「ただし体長3mmの虫なので、目につかない。」


ガスト滞在時間の最高記録を更新したところで別件の用事のため移動。今度は両胸に左右異なるデザインの刺青を施した女性に優しくしてもらいに行く用事。
私がこの人に懐いたのはつい先日のこと。居酒屋の注文で何が一番好き?という質問に梅水晶と即答する、私が此の所最も好いている女性。
そのほか、ドレッドヘアーのコミュ障男子や、気付けば五年以上の付き合いとなったパパ活おじさん、爆飲酒ゆるふわお姉さんも一緒だった。

動物の腸を揚げてタレを絡めたものを少々甘すぎるレモンサワーで流し込みながら、どうしてこんなにも人との関わりの中で上手く立ち回ることができないのだろうと考えていた。答えを出すための思案ではなかったのでただ落ち込むだけの時間になってしまった。

油の染みない材質の紙で包まれた揚げたてのメンチカツが美味しかった。


タレの味にもすっかり飽きてしまったので、御一行共々で元はグランドキャバレーとして利用されていたイベントホールへ向かった。
そこで過ごした二時間弱の間に爆音で左耳が飛んでいってしまった。未だに帰ってきていない。今頃ホテル街を彷徨う番いたちのおもちゃにでもなっていることだろうよ。上手く使ってくれや。
どちらかというと私のお気に入りは右耳のほうなのでまだ大丈夫。


頭が痛い。口内炎が出来かけている。明日の朝ごはんは豚まん。