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スイスイさん著「すべての女子はメンヘラである」を読んでメンヘラになりたかった自分に気づいた時点で私はメンヘラだった

メンヘラ(men-hera)
メンタルが弱く、感情の起伏が激しい人のこと。主に恋愛においてその圧倒的な「重さ」を発揮する。


本日、こんな書籍が発売された。

「すべての女子はメンヘラである」。タイトル強(つよ)。

対する私は『メン強』だ。メンタルめっちゃ強い人。レンタルなんもしない人の遠い親戚だと言われている(私の中で)

実際、今まで交際してきた人全員から「メンヘラとは真逆だよね」と言われてきた。連絡取らなくても全く問題なし。彼氏が女友達と海外旅行に行こうが付き合ってるのが私であればオールオッケー。ある人とは6年間付き合って6年間ほぼ愛情表現がなかったし誕生日プレゼントが「ペン1本」だったけど、友達として仲良しだったから別によかった。

だからこの本のタイトルを見たとき「ふーん、すべての女子がメンヘラ? ま、私違うけど読んでやろうじゃないの」と、ちょっと挑むような気持ちで読み始めたのだった。

読み終わったとき、静かにこう思った。

私、メンヘラになりたかった。


そして、遠い記憶が蘇った。

はじめてできた彼氏の元カノが、メンヘラだった。
私と付き合ってからもその子から頻繁に連絡が来ていた。ストーカー被害にあったから助けてほしいと言われれば駆け付け、付き合ってない男と体だけの関係になったと報告されて激しく嫉妬し、地元で評判の悪い新彼氏ができたとの情報が入れば元カレの分際で割って入って喧嘩になった。ほんとうにそろそろ手焦げるんちゃうかと思うほど派手に手を焼いていた。というか、自ら焼きに行っていた。結局私が振ったあと、その子と復縁して結婚したらしい。思えば彼はこの本に出てくる「メンヘラホイホイ」の特徴に見事に当てはまっていた。

その交際期間2年の間、物語の主人公は確実に「元カノ」と「私の彼氏」で、「彼女」であるはずの私はモブだった。キャラデザにまったくこだわりがなく、名前もない、教室の隅っこに座っているちんけなキャラクターとして生きていた。メインストーリーを邪魔しないよう、モブは静かに彼氏から連絡が来るのを待った。やっと連絡来たと思ったら元カノのことだった。「新しい彼氏とやっと別れたらしい」。よかったね。この連絡がなくても別に、よかったけど。

初めての交際相手がそうだったから、私の心の中には強固な「非メンヘラ」の金字塔が打ち立てられてしまった。

でも私は本当は、圧倒的主人公であるメンヘラが心底「うらやましかった」のだ。わがままを聞いてくれる相手だと一度認定したら、ノー思考で自分の全体重を預けに行く。その根性まったく繊細じゃねえなと思いながら見ていたけど、自分の存在をまっすぐに、痛いほど認めさせられることが、どれだけうらやましかっただろう。

私だって、連絡取らなくても全く問題ないわけない。自分から連絡しすぎたら面倒だと思われて嫌われるのが怖かっただけだ。彼氏が女友達と海外旅行に行こうがオールオッケー、なわけない。それをオールオッケーにしてるドライな自分を演じるのが好きなだけであって、本当は不安で仕方がない。誕生日プレゼントが「ペン1本」だったのも別によかったことにしてるけど本当はペン1本じゃなくてバラ100本欲しかったよ。

承認欲求が満たされない年月を長く耐え抜いたせいで仮面はどんどん分厚くなっていったけど、心の奥底ではものすごくドロドロとした「メンヘラの素(もと)」が育っていたことに気づいた。これにちょっとでもメンヘラホイホイ成分を配合しようものなら、私もまっさきに元カレに連絡を取ってしまうんじゃないか。

結果、私もすでにメンヘラだった。

「メンヘラになりたかったけどなれなかったと思いこんでいる重症なメンヘラ」だった。衝撃の事実だ。

本当はこうしたい、があるのに我慢する自分を美徳とするのは自傷行為と同じだ。連絡したいならすればよかった。元カノに会うのが嫌なら嫌ってハッキリ言ったらよかったんだ(スイスイさんは、悩みがあるのに解決しようとしない人のことを「愛悩家」と表現している。承認欲求が満たされなさすぎるとこうなるらしい。それすぎて震える)

この本には、そんな私を含むすべてのメンヘラにささぐ、ハッピーに生きるための7つのルールが載っている。身を削ってハッピーを掴みとった、スイスイさんお墨付きの秘伝ルールである。なかには「断食しろ」とかもあって「断食・・・?」となったけど、読むと納得する。

あと冒頭のスイスイさんの体験談がハードすぎてほぼ全員「いやこの人が立ち直れたんだから私たぶん大丈夫だな!?」と開始3分で気持ち明るくなる魔法みたいな本です。

恋愛だけじゃなく仕事術としても有用なアドバイスがてんこ盛りなので、日常生活や仕事や家庭で気持ちが落ち込んだ人にも、みんな読んでほしいな。元リクルートのスイスイさん、過去のお仕事でも面白い経験をされているから「望んでない部署に配属された・・・」とか「仕事ってどう進めたらいいの・・・」って憂鬱な気分の新入社員のみなさんの心にも、響く内容なんじゃないかと思います。

最後に、この本のいいところは「メンヘラってべつに、悪くないな」って思えるところにあると思う。吐くほど悩んで、自分の気持ちに向き合って、思い通りにならない現実を耐え抜いて、泥臭く生きてる女の子たち、魅力的にもほどがあるよ。

私もメンヘラビギナーとして、素直に生きる第一歩を踏み出すお供にこの本を携えて生きていきたいと思います。


メンヘラ自覚1日目 しりひとみより

ありがとうイン・ザ・スカイ