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初めてMRI入ったらほぼ六本木のクラブだった

※筆者は六本木のクラブに行ったことがないので完全に想像で言っています

ある日、夫から「脳ドックを受けなさい」と言われました。

突然死に関するYoutubeを見たせいで、脳疾患への恐怖心がカンストしたらしいのです。

「脳ドック」とは人間ドックの脳バージョンのことで、MRIによって詳細に脳の検査をして脳卒中など疾患のリスクがないかどうか調べるものだそうです。

比較的安価で気軽にMRIをとることができる「スマート脳ドック」というものが存在すると言われたのでさっそく予約をし、脳の検査を受けることとなりました。

(私のイメージする「スマート脳ドック」)


検査当日。クリニックへ到着します。清潔感あふれる院内で、受付の女性も感じがよく安心感があります。

事前にネットから問診票などを送信しているので、なにか書類を書かされることもなく、受付で身分証明書を提示するとすぐに別室へ誘導されました。

誘導してくれるのは、メガネをかけた知的な感じの男性でした。
まずは更衣室に案内してくれます。更衣室は部屋ごとに鍵がかかるようになっており、私に鍵を渡しながらこう言います。

「こちらの穴に鍵を差し込んでいただいて、右に回していただくと、鍵が開くようになっております」

「鍵」を知らない人用の説明じゃん

すべての記憶をなくしたから脳の検査に来た人だと思われてる?

更衣室には荷物だけ置き、特に検査着に着替えたりすることはなく、私服のままMRI室に案内されます。

その間も、「こちらに1段の段差がございますので、降りてください」「こちらに壁がありますので、ぶつからないようご注意ください」と言ってくれる。あまりに丁寧すぎて怖い。最終的に「息の根を、止めさせていただきます」とか言い出すんじゃないか…?

ビクビクしていましたがなんとか命までは奪われず、無事にMRIの部屋まで到着する。すると、扉の前で最後の確認がありました。

「アクセサリーはつけていませんか?」
「はい、つけてないです」
「わかりました。それではご案内します」

そのまま部屋の中へと誘導されます。部屋の中央には、テレビでしか見たことのないでっかい機械がドンと置いてあり、少し興奮してきます。

いよいよ検査となりますが、私にはこのとき、かなり気がかりなことがありました。

その日着ていた洋服は腰を絞るようなデザインになっているワンピースだったのですが、その腰を絞るための紐の先端に、小さな金具がついていることを思い出したのです。

家を出る前に、夫に言われた話がホワンホワンホワン…と蘇ってきます。

~回想~

「「昔、MRIと同じ室内に酸素ボンベがおいてあって、それが磁力でMRIの中に引き込まれて中にいる患者さんが亡くなった事故があったんだって……」」

「「事故があったんだって・・・・・・」

「「んだって・・・・・・・」」

「「て・・・・・・・」」

~回想終了~

MRIというのはものすごい磁力的なアレをどうにかこうにかして検査するヤバいやつなので、金属でできた酸素ボンベがMRIの中に勢いよく入ってきたため亡くなったというのです。

待って待って待ってじゃあ私のベルトにあるこの金具って大丈夫なの・・・・?

このままMRIを作動させたら一体どうなっちゃうの・・・・・・・・?

腰紐の金具が脳にめりこんだりするの・・・・・?

死・・・・・・・・・・?

ていうかなんであのスタッフは鍵のさし方まで丁寧に教えてくれたのにそういう大事なことはめちゃくちゃスキップすんの・・・・・・??????

恐怖に震えていると、今度は別のスタッフがやってきました。スポーツ経験者っぽい短髪の男性です。

機械に仰向けになるように指示されたのにうつ伏せになったりしながらも、なんとかMRIに寝転びます。
本当は腰紐のことが心配にもかかわらず、頭の中では「まぁでも、あの丁寧すぎる男性に注意されなかったんだからきっと大丈夫だろう…」「ここで聞いても『心配しすぎワロタ』って思われるだけ…」などとウダウダ考えている間に、あれよあれよと準備が終わってしまいました。結局、腰紐の「こ」の字も出すことができないまま、MRIの蓋が閉まります。

MRIの中は狭く、カプセルホテルの個室を2回りくらい小さくして重厚感を100割増ししたようなイメージでした。

私自身は狭いところは苦手ではないものの、今は腰紐の先端の金具のことで頭がいっぱいなので早くここから出たくて仕方がない。気になりすぎて今「昨今の社会情勢についてどうお考えですか?」等の質問を投げかけられても「腰紐」と答えるレベル

私の困惑を知る由もなく、男性スタッフはチャッチャと準備を進め、ものの数秒で「じゃあ、これから初めていきます」と声がかかる。スタッフは部屋から出るため、緊急事態があったときに押すための小さなスイッチを渡される。恐怖心で、まだ何も始まっていないのに押しそうになります。

「今から約20分間です。極力、動かないようにしてください」

腰紐ッ!!!!頼む!!!!持ちこたえてくれ!!!!!

腰紐~~~~~ッ!!!!

今この瞬間、ここまで強く「腰紐」のことを頭に浮かべている人は世界で私だけだろうなと思いながらしばらく待つと、突然大きな音が鳴り始めました。

ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ

ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ

ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ

ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ

なにこれ……

クラブみたいな音ずっと流れてるんですけど……

クラブに行ったことないから完全に雰囲気でものを言っていますが……

もしかして、パリピのみなさんがこぞって行っている六本木のクラブってスマート脳ドックのことだったんですか?

重低音が心地よく響くので思わずリズムにノリたくなりますが、極力体をうごかさないようにと釘を刺されているのでじっと我慢します。

そして突如、新しい種類の音が鳴り響く!

「カンカンカンカンカンカンカンカン!!!!!!!」

「カンカンカンカンカンカンカンカン!!!!!!!」

えっえっえっ何何何~~~~~!!!?!?!?!?!

大規模修繕始まった!?!?!??!?

「ウウウーーーーーーーン!!!!!ウウウーーーーーーーン!!!!!ウウウーーーーーーーン!!!!!」

「カンカンカンカンカンカンカンカンカン!!!!!!!!」

「ウウウーーーーーーーン!!!!!ウウウーーーーーーーン!!!!!ウウウーーーーーーーン!!!!!」

「カンカンカンカンカンカンカンカン!!!!!!!」

う、うっせぇ~~~~~~~~~!!!!!!

「うっせぇわ」ってMRIのことだったの?

色々な種類のうっせぇ音が大ボリュームで響き渡る中、背後では依然として「ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ・・・・・・」とクラブの縦ノリの音楽のビートみたいなのが絶え間なく刻まれている・・・なにこれ・・・?何目的?パリピに恐怖心を与えないための配慮?パリ目(もく)?

今のところ、私の腰紐は微動だにしていない様子です。一旦、ここまでくれば大丈夫なのか?いや、でももしかしたらこのあと最大の山場みたいなのがあってそこで腰紐のボルテージが最高潮に達するのかもしれない。気を抜くことはできません。

そんな風に腰紐のことを考えている間にも「ウウウーーーーーーーン!!!!!ウウウーーーーーーーン!!!!!ウウウーーーーーーーン!!!!!」「カンカンカンカンカンカンカンカンカン!!!!!!!!」「ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ・・・・・・」とマジでうるせえ音を浴びせられまくります。

そろそろ気が狂いそうになった頃、突然すべての音が止み、MRIは停止した。

「はい、お疲れ様でした」

男性スタッフが再びやってきて、すぐに私は開放されました。
なんとか腰紐も私も無事なまま、無傷で帰宅することができました。怖すぎるので次に検査を受けるときは全裸で行きます(逮捕)

*****

約1週間後、メールで検査結果が届きます。

※ここから先、MRI結果(脳の画像)を掲載していますので他人の脳の画像が苦手な方は代わりにのラタトゥイユのWikipediaをご覧ください。※





異常なかった~~~~!


ホッ


「4~5年に1回の検査がおすすめ」「血圧コントロールが重要」とのことでした。
これまで運動っぽいことと言えば息子(9kg)を台車にのせて廊下を138往復くらいさせられるという修業みたいなことしかしていなかったので、もう少し別の運動もしていこうと思います。

脳って、存在が当たり前すぎて普通に生きてて意識することがないので、こんな風に「異常なし」の太鼓判が押されるととても安心できますね。これで安心して毎日ヘドバンができます。

大きな音と狭い場所が平気なみなさんは、ぜひクラブに行くノリで脳ドックを受けてみてはいかがでしょうか。

その際、腰紐には十分ご注意ください。


おわり

【本日の一曲】 泡沫サタデーナイト! / モーニング娘。'16


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しりひとみ
ありがとうイン・ザ・スカイ