数学ギョウザ（ショートショートnote杯応募②）

「今回の“奇跡の人”は餃子職人の林さんです。林さんが作った餃子は言葉を話すのです！どうして話すようになったのですか？」
「丹精込めて作っていたら、自然と話し始めたね。これがけさ包んだ奴ら」
「ヤイテ、ヤイテ」
「ムシテ、ムシテ」
「ご覧ください！本当にしゃべっています！」
「この声に従って料理すると、美味しくなるんだ」
「さっそく調理していただけますか？」
「うん」

＊＊＊

「一丁あがり」
「こんがりと付いた焼け目と真っ白な皮のコントラストが綺麗です。ニンニクの香りも食欲をそそります！」
「タベテ、タベテ」
「オイシイヨ、タベテ」
「では、さっそく頂きます」
「チョッケイノウエニタツエンシュウカクハチョッカク」
「え？」
「ターレスノテイリ」
「あぁ、数学だね。餃子にも個性があるから」
「餃子が数学を解くんですか⁉すごい！正に奇跡です‼」
「これは失敗だから俺が…」
「あっ‼食べちゃうんですか⁉」
「餃子は新鮮さが命だ。あんたも早く食べな」
「・・・」

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