金持ちジュリエット(ショートショートnote杯応募⑥)
ジュリエット、本当に君なのか?
目の前に横たわる、変わらない美しさ。
なぜ君は自ら命を絶ったのか?
終わりだ。君の元へ行こう。
全てを神に差し出しても、君は二度と帰ってこない。
思い残すことなど1つもない。もう何もいらない…
む、これはなんだ?手紙のようだな。なに、遺言書?
遺言者ジュリエットは、以下の通り遺言する。
第一条、遺言者は、遺言者の有する次の財産を、ロミオに相続させる…
遺産が不動産と有価証券をあわせると100億円だって⁉
おお、神よ!やっと私にチャンスが回ってきた。
裕福な家の娘だとは思っていたけれど、まさかここまでとは思わなかった。
しかも、わざわざこんな遺言を残して自殺してくれるなんて!
ああ、俺はなんて果報者なんだ❣
さっそく消費者金融の借金を返してこよう。
―ロミオ、スキップをしてその場を立ち去る
―ジュリエット、上体を起こし、ロミオが走り去った方向を恨めし気に見つめる
ロミオ、やはりあなたもお金目当てだったのね…
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