双極性障害の丸善療法について
最近丸善(書店)は精神衛生に良いと気がついた。
正確に言えば、たまにある精神状態のいくつかの悪化パターンのうちのひとつに効果的ということに気がついた。
双極性障害はほぼ治ったと公言しているけど、月に1回くらい心理的な要因では説明できない変な気分の変動がある。
ひとつは抑うつで、何も手がつかなくなって、失踪したくなる。別に死にたくはならないけど。
もうひとつは混合状態のようなもので、焦燥感と言葉と観念が頭に溢れる。僕がゔゔゔ~って呻いてブツブツ言いながら歩き回ってたらだいたいこれ。
両方とも経験的に数日以内に治るし、圧倒的社会性フィルターでほぼ正気のフリができる。日常生活に大きな支障は来たしていない。
正気の真似して大路を歩けばすなわち正気なのでね。
今回紹介する丸善療法は後者、混合気味で焦燥感と観念奔逸がある場合に有効であると思われる。その有効性について考察していく。
丸善とは、全国に展開する書店で、だいたい店舗が大きいため沢山本が置いてある。よく分からない自己啓発本とかも置いているが、比較的言葉に誠実なタイプの本の割合が多い。
書店は、歩き回るところである。ピンポイントで買いたい本があるならネットで買えばよい。大きい書店をぐるぐるぐるぐる歩き回ってよく、しかもそれがその空間の目的にかなっているというのは、焦燥感溢れる精神状態にプラスに働くこと請け合いである。
丸善は、難しい本、古代の本、ニッチな本を沢山置いている。何千年も昔の本に人生をかけて訳と注を付ける人がたくさんいる。別に凡俗がそれを読んだって金は儲からないし飯も食えない。
でも、そういう「無益」の広大な世界が僕のような凡俗に寛容にも開かれているというのは、混合状態に少しばかり混じった抑うつ気分の落下速度を5cm/sだけ落としてくれるかもしれない。
一番大事なのは、膨大な文字・言語・観念・情報で僕の頭の中の音声・観念を圧倒してくれるところ。これ。これがプチ混合状態の観念奔逸に効くんですよ。
自分がぐるぐる考える暇もなく大量の情報が視覚を通じて入ってくる。しかも本に関する情報というのはその裏に更に広大な世界を持っている。「夏目漱石」の4文字を見ただけでその500倍くらいの情報が広がる。ニッポンの文化教育に感謝やね。
丸善は、裏にある知らない世界が広い本をたくさん置いている。既知の情報の価値はゼロなので。
こうして、いつ読むことになるのか分からない本がたくさん積まれていくわけです。本屋は好きだけど本を読むのは遅いので。
本を積んで死ねたら本望かな。
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