グッドな苦情対応とその効果

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昨日、少し前にオープンしたチェーンの喫茶店でランチしていたら、主婦と思しき女性が「この前、ホットコーヒーを飲んでいたら、カップが汚れていたので代金を返して欲しい。」というクレームを店の店員にしている場面に遭遇した。

なんでも2日前のことで、レシートもないという。

それでも定員は、その女性の一方的なクレームにいい返したり、店側の理屈を出したり、テンパったり、むやみに謝ることなく、2日前の状況を冷静かつ丁寧に聴取していた。
その上で会社として誠実に対応しなければならないので、お客様のお名前と連絡先、それにお勤め先を伺いたい旨聞いていた。

その結果、クレーム女性は納得した感じで帰っていった。

その後、どうなるかは分からない。でもあの様子だとその後はそこまで大荒れする事はないだろうし、少なくとも、その場を荒らすことなく円満におさめ、自分をはじめとした周りのお客様を安心させたのはいい対応といえると思う。

こうやって3つの法則をみると改めて苦情事案に対しては初期対応の重要性を感じた。

この店にはいい店員がいるなあ、いい社員教育をしているなあと感心した。

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この苦情対応に関してはグッドマンの法則というものがある。

グッドマンの法則とは、苦情対応と再購入決定率の相関関係を計量化した法則。

具体的に以下の通り3つの法則がある。

・会社の苦情対応に満足したクレーム客の再入決定率は不満を持ちながらクレームしない顧客のそれと比べ、高い(第1法則)

・苦情対応に不満なクレーム客の非友好的な口コミはそれに満足したクレーム客の友好的なそれの2倍の波及効果がある(第2法則)

・苦情対応のような消費者教育により、消費者の信頼が高まり、好意的な口コミのみならず、商品購入意図が高まり、市場拡大のチャンスにもなる(第3法則)。

ようは、苦情をチェンスと捉え、誠実に対応し、消費者教育をすることが優良顧客を生み出す力になるということ。

冒頭の話でいえば、クレーマーは喫茶店側の対応に満足している様子だったので、リピーターになる可能性は高いといえ、第1法則を満たすと考える。

そうなればマイナスの口コミ効果をブロックでき(第2法則)、店員の対応を見た自分を始め、他の消費者の信頼も高まり、サービスをまた受けたい者が増えるので、このチェーン店の市場も拡大するかもしれない(第3法則)。

よって冒頭の店の対応はグッドマンの法則からみてもグッドな対応であり、その効果もプラスに働いていることが分かる。

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自社の警備業務、とりわけ施設警備に関して、受付業務や電話交換業務が契約内容に含まれることが多い。

その際、施設のユーザーの苦情に対応しなければいけない場面もあると思う。

その際にグッドマンの法則を意識した対応ができれば自社のサービスの質の向上をさらに図る事ができる。

その一環として、苦情処理に関する適切な対応に関する教育を例えば隊員がクレーマー役の人間に対して実際に苦情対応をしてもらうロールプレイング方式のような、当事者意識を持たせて初期対応力を磨く教育をもっと行う必要もあるのではないか。

それが顧客の信頼を高めることにつながるのではないかと思うのである。

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