優しくなければ経営する意味がない

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石原裕次郎演じる転落した妹思いの元エリート藩士の浪人を斬った時に見せた勝新演じる市の何とも言えない表情が印象的だった時代劇「座頭市」のワンシーン。

ドラマ「探偵物語」の松田優作演じる私立探偵の工藤ちゃんがあの人はダメだ的にいう若い子に対して、人には人の事情ってものがあるんだよと諭すシーン。

市も工藤ちゃんも、世知辛い世の中でけじめをつける厳しさをもちながら好敵手や依頼人だけでなく、周りの人間に対する優しさを持っている。

まさに強くなければ生きていけない。でも優しくなければ生きる意味がないというフィリップマーロウの台詞そのものの主人公達。

それが2つの作品がヒットした理由だと思う。

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自分はなぜ、今、その2つの作品を思い出したのか。それは今自分が従事している仕事に通じる部分があるから。

警備業に携わっていると、具体的には言えないけどいろんな事情をもつ人がいる。

彼らはみんな事情を持ちたくて持ったわけじゃない。


夢や愛を信じて歩みだした人生。でも途中でつまづいてしまった。器用な人間なら上手く立ち回って関係を修復できたり、次のステージにいけたり、組織に留まることができたが、彼らは少しばかり不器用だった。
結果、生きるためにウチの業界に入ってきた。

そんな人が多い。やりたくてこの業界に来る人は稀。

でも、そんな人達も側から見ればダメだと言われても、彼らなりに積み上げてきたものがある。それを信じることでやっていける部分があるのだろう。

(それは何も事情を持った人達ばかりでなく、みんなそう。)

そんないろんな人達を現場に送る警備業経営者としては、彼らの信じているものに対し、敬意を表することが最低限の礼儀だと思う。

人を通して課題を解決するのが経営者の仕事。

課題を解決するために人に動いてもらわないといけない。

人に動いてもらうためには人の思いや信じるものを大切にする優しさがないといけない。

だから自分も経営者として周りの空気に流されず、そんな優しさを養っていけたらと思う。

まずは社長と言うことで必要以上に虚勢を張らず、自分を許す事から始めようかな。

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