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心に響く歌詞2『白日』

 おはろん、この挨拶久しぶり、しらすです。

 毎週水曜日は新企画、心に響く歌詞の紹介。第2弾はタイトル通りKing Gnuの『白日』。

 土曜ドラマ『イノセンス 免罪弁護士』の主題歌ともなった本曲は、優しさと諦めと懇願が入り混じった歌詞になっていることに気づいた。Youtubeでぼーっと聞いているだけではわからない世界が少し見えたので紹介する。

 それでは、今回も最後までご覧あれ…。

ドラマの題材に寄った歌詞『白日』

 まずはイントロ。

時には誰かを知らず知らずのうちに傷つけてしまったり
失ったりして初めて 犯した罪を知る
戻れないよ 昔のようには煌めいて見えたとしても
明日へと歩きださなきゃ 雪が降りしきろうとも

 この文面を見ただけで、歌詞というよりかは心の叫びという感覚を得る。歌詞はたまに文章として構成が入れ替わっていたりおかしくなっていたりすることがあるのだが、白日の歌詞は全体的に文章としての形を保っている。それが綺麗。

 知らないうちに人を傷つけて、「あのときなんでこんなことをしたんだろう...。」と思いながらも、反省しても、やり直したくてもやり直せない。
 罪を犯す前の世界は今から見たらとてもキラキラしていた。そりゃそうだ、罪を犯す前と後なのだから。でもそれを分かっているから、つらい思いを抱えながら重い足取りで「明日へと歩きださなきゃ」と言っているのだ。

 「雪が降りしきる」という言葉は、言い換えると大雪のように絶え間なく雪が降ること。つまり前も見えず歩きづらい場所、みたいなニュアンスでこの言葉選びをしているのだろうか。雪を選んだのは、ドラマ「イノセンス」が冬のドラマだったからだろう。

心の叫びが見えるサビ

 続いてサビを紹介しよう。

真っ新に生まれ変わって 人生一から始めようが
へばりついて離れない 地続きの今を歩いているんだ
真っ白にすべてさよなら 降りしきる雪よ すべてを包み込んでくれ
今日だけは すべてを隠してくれ

 私はサビの歌詞を見たときに心に刺さった。

 たとえ刑務所から晴れて出られた、人生を一から始める気になれた、そう思っていても時は過去から連続して進んでいるし、過去を拭い去ることはできない。つまり、自分が罪を犯した過去は変わらない、その辛さのようなものを描いているような気がする。これを「へばりついて離れない 地続きの今を歩いている」と表現している。

 また、それは冤罪ですら起こりそうで恐ろしいものだ。冤罪をかけられただけで人の見る目は変わるはずだ。一度変わったその視線を、冤罪をかけられた側は忘れることはないのだろうなと思うと、この歌は警察側の気持ちを歌っているのかもしれないとも思える

 だけど、今日だけでいいからその罪を白紙に戻してほしいんだ。そんな心の声があふれるサビ終わりになっている。

ラスサビ前は、認めるしかないあきらめも、心の広さも...

 雰囲気が落ち着いたCメロの後のラスサビ前のメロディーも、歌詞も雰囲気が変わって印象的だろう。

いつだって人は鈍感だもの わかりゃしないんだ肚の中
それでも愛し愛され生きて行くのが定めと知って
後悔ばかりの人生だ 取り返しのつかない過ちの一つや二つくらい
誰にでもあるよな そんなもんだろう うんざりするよ

 「はら」のことをわざわざ「肚」と書くのには理由があるに違いない!そう思って調べてみると、腹と肚には一応以下のような違いがあるそうだ。

・腹→お腹の表面のこと
・肚→お腹の内部のこと。体の中心や芯、意識や心を意味することも

 つまり、この歌詞の「肚の中」というのは人の考えだったり思っていること、これが鈍感だからわからないのだと言っている。漢字一字を変えるだけでこれだけ伝わりやすくなっているのだ。

 今回私が素敵だと思ったのは、最後の「うんざりするよ」の部分。人間誰にでも過ちを犯すことがあるんだ、という優しい語り口調で話しかけているのかと思いきやうんざりしているのだ。

 何故マイナス思考なのだろう?と考えてみると、自分のように過ちを犯す人だらけで世界は構成されていることにうんざりしているのではないだろうか。間違いだらけの世界、しかもその間違いを忘れ去られることはない世界で、自分は何を信じればよいのかわからないよ、だからんざりするよ。私にはそう聞こえるのだ。ここで冒頭だったりサビで言っていたことをしっかりと受け注いだストーリーを持つ素晴らしい歌詞だと思ったのだ。

まとめ

 曲の雰囲気や歌詞が冬によっていたり、犯罪によっていたりするのはドラマのためだからとは思いつつ、真剣に歌詞を読んでみると心が痛むような、叫び声が聞こえてきそうな歌詞だと思った。罪に対してここまで深く考えることがなかったので、常田さんの想像力とストーリー作りの上手さに感動してしまった。

 King Gnuの『白日』を、この記事を読んでから聞いてみると、ただ切ない歌ではなく聞こえることだろう。

 では、また来週。

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