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アイカツ!と向き合った魂の日々

・アイカツ!。それはアイドルの輝きと憧れを求める少女たちの成長と青春を描くアニメだ。

・これからごちゃごちゃなんか言うけど、まず、先にこれだけ言わせてくれ。アイカツ、本当に良かった。グラシアス!つまり、ありがとう。



前置き

・おれが週に1話か2話くらいのペースでのんびりアイカツを見ていた時、twitterで、3月上旬に「劇場版アイカツ!10th STORY〜未来へのSTARWAY〜(以下、未来へのSTARWAY)」が再上映されることになったらしい。

https://x.com/aikatsu_anime/status/1757366640780664991?s=46

・アイカツのことあんまり知らなかったおれでも「未来へのSTARWAY」のすごさは小耳に挟んでいた。公開当時、アイカツ!を見ていた人は軒並みこの映画のことを褒めちぎっていて、そんなにすごい映画なんだ...と思っていた。


・そういう集大成的なもの知ってしまうと見たくなるのがオタクの性(さが)。アベンジャーズが面白いって聞くとマーベル映画を全部見ないといけないと思ってしまうあの感じ、あるよな。それと同じ現象がおれの中に発生した。アイカツ!を知りたい、と。

・それに、オタクは劇場でアニメ映画を見るのが好きと言う習性もある。どうせいい映画を見るなら家の小さい画面じゃなくて、でっっかい画面と音で見たいという願い。おれは劇場で鼓膜を破壊している瞬間が好きだ。

・レヴュースタァライトの劇場版の再上映連打を見ているとなんか感覚が麻痺してしまうが、実際のところ映画の再上映っていうのはなかなかないことだと思う。それに「未来へのSTARWAY」は公開された後も再上映がポツポツあって、これが久しぶりの再上映らしい。もし、この機を逃したらこの映画の再上映はもう無い、あるいはかなり先になるかもしれないと思うと、今この情熱あるうちに見た方がいい気がしてきた。いや、絶対見るべきな気がしてきた。うん。

・あとこの再上映は主人公の星宮いちごさんの誕生日に合わせたものだったということもある。そう言うこと言われたら見たくなるなぁ!そして友達である、アイカツの先輩たちも「観たほうがいい!」とおれの背中を押してくれた。そこまで言われたらさぁ!観るしかないじゃん!!!!

・とまあ、いろんな要因もあって、おれはアイカツ!を全て見ることを心に決めたのであった。


・しかし、全部見ると言っても生半可なことでない。残り150話以上あるのを頑張って1週間半くらいで追いつこうというのだから、かなり大変だ。テレビの前の女の子たちが3年くらいかけて追いかけていく星宮いちごさん達の歩みを短期間で見てしまうというのだよ。見終わった頃には実質3歳くらい老けているといえなくもなくもない。

・しかし、おれは諦めなかった。昼からのバイトをしてきて、帰宅して、飯食いながら、風呂入りながら、朝の5時くらいまでアイカツ!を見まくる。寝る。次の日にもバイトに行き、夜が明けるまでアイカツを見る、を繰り返した。生活習慣とメンタルを全て犠牲にしてアイカツに捧げた。大学生の春休みじゃないとこういう穏やかじゃない生活はできない。

・自分で飽きてこないように各方々のSNSに感想を書きまくって、モチベーションを維持したり、モニターでアイカツ!を流しつつキャラクターの軽い落書きをしたりもした。

・今になって思うのは、一個のコンテンツにここまでマジで向き合う時間もなかなか無いので、個人的には結構濃密で面白い体験ができたと思う。いや、思いたい。

・そうして体感3歳くらい老けた時、アイカツ!を全て見ることができたのであった。全部で178話と、番外編3話を真面目に見ました。ざっくりした結論としては、めちゃくちゃ良かったっす。それしかない。ため息しか出ない。

dアニメストアは、作品を完走すると「COMPLETE」という表示が出て、達成感があっていいと思う。


・そして、誇らしさと達成感と感動と共に、心に一抹の不安がよぎる。これ、「未来へのSTARWAY」を見たら、おれの心のアイカツが終わってしまうのではないか。それは、だいぶ寂しいぞ。少し映画館に行く足が遠のく。しかし。もうここまできたら腹を括るしかない!!おれの1週間無駄になるし!それに彼女達の終わりを見届けることも使命な気がしてきた。星宮いちごさんも「ゴールはスタート」的なことを言ってたし多分そうだ。うん。いや、そもそもアイカツ!が終わってしまうのかもわからないし。

・よっしゃ!!!行くぞ!!!!!!!!!!



・見てきました。

・バースデーティアラもちゃんと被った。

誰得?


・見終わって、色々な心がとめどなく溢れてきてしまった。たった短期間で一気にアイカツを見た自分だが、こんなにもアイカツを好きになってしまったのか。こんなにも心動かされてしまったのか。色々なキャラクターとたくさんの思い出が脳裏にフラッシュバックしていく。

・この幸せとも言える閃光を、手放したく無かった。いつまでもあれ、と思いたい。そこで、感想文で繋ぎ止めたいと思い立って、今に至る。おれは、アイカツを好きになれた自分を誇りたいんです。そういうわけで、アイカツ全体と「未来へのSTARWAY」の感想を書き殴っていくことにした。長い前置きだったが、ここからが感想の本番なのでもう少しお付き合いいただきたい。



アイカツ!について

・改めて断っておくと、ここからは実際にネタバレをがっつりしていくので、ネタバレが嫌だという人や、これからアイカツを追いかけていきたいというおれの同志はここら辺で帰っておくのが得策だと思われる。

・あと、この感想は無印の「アイカツ!」についての話をしていく。「アイカツスターズ!」や「アイカツフレンズ!」、「アイカツオンパレード!」などなどはまだ観ていないが、いつか観たいと思っている。いや、多分観る。


・さて、アイカツ!、本当に面白かった。それだけで終わってもいいんだけど、どこがどう面白かったのかと言うと難しい。いろんなテーマとか制作側が伝えたいこともいっぱいあるだろうし、そこから何を汲み取るかは人それぞれだからだ。

・その上で、おれがこの作品から感じたテーマは「憧れのバトン」というところかなと思う。


・主人公の星宮いちごさんは1話にて、親友の霧矢あおいさんと弟の星宮らいちと共に、トップアイドル神崎美月さんのライブを観に行く。そこで美月さんという存在にどうしようもなく憧れて、いちごさんはあおいさんと一緒にアイカツをしていくことを目指していく。というのが物語の大まかなあらすじだった。

・シーズン1の後半では、その美月さんにも憧れがあったことが判明する。いちごがそうしたように、かつての伝説のアイドル、マスカレードに憧れた美月さんは、アイドルの道を志していったらしい。

・そして物語が進むと、こんどはいちごさんが憧れられる立場となる。後輩である大空あかりさんは、いちごさんに憧れて、いちごさんになりたくてスターライト学園の編入試験を受けて、合格する。と言った感じ。

・このマスカレード→神崎美月→星宮いちご→大空あかりという流れがアイカツ!という作品の大枠だと思う。アイドルという圧倒的輝き。それに影響されて憧れを持った少女たちが、自分もそうなりたいと後に続いていく。それは茨の道かもしれないけど、その呪いともいえるような「憧れ」の感情は、どんなに厳しい道でも決して簡単に諦められるようなものではない。そうして、どんどん「憧れ」によって次の世代たちへ「バトン」が渡されていく。そうして、アイカツは盛り上がっていき、少女たちは大きく成長していく。

・そういう導線が非常に綺麗にまとまっている。そして、それを顕著に表す歌が、2期の後半の主題歌「SHINIG LINE*」だと思う!

・この歌の歌詞には、

今わたし達の空に 手渡しの希望があるね
受け取った勇気でもっと 未来までいけそうだよ
もらうバトン キミとつなぐ光のライン
チカラにして

今いちばん目の空で 思い切り輝かなくちゃ
受け取ったバトン次は わたしから渡せるように
並ぶ風のどこか 頑張っている仲間 届くシンパシー

・こういうものがあって、非常にアイカツ!らしい歌詞だなと思っておれはめちゃくちゃこの歌が好きだ。この主題歌の時にあかりさんが登場していることからも、やっぱり「憧れのバトン」というのはアイカツ!の大切なテーマの一つと捉えてもいいと思う。


・そんでもって、そのバトンは物語だけのやり取りじゃなくて、我々にもバトンは差し出されているんだよな、とね。言いたい。言いたいんすわ。

・アイカツ!はざっくり言ってしまうと女児向けのアニメだ。テレビの前の女の子(ひいてはそれを見ているおれたち大人)にとっても、アイドルたちからのバトンはきっと手渡されているに違いない。

・彼女たちのアイカツを見て、「わたしもいちごちゃんみたいになりたい!」「あかりちゃんを見て元気がもらえた!」というふうに、おれたちもアイドルに憧れて、影響されて、日常を生きていく。アイドルたちが、おれたちの日常に滲み出てくる。つまり画面のアイドルたちから、想いのバトンを渡されているととらえることもできる。

・そういう俯瞰的な視点からも、アイカツ!って素晴らしい作品だと思うんです。おれはプリキュアも好きだし、仮面ライダーとかも好きなんだけど、その好きさというのは「子どもに向けた」というのも含めて好きなんだよな。大人たちが子どもたちに「健やかに育ってほしい」という想いを込めて作った作品という、メタ的な視点も含めてそれが好き。だって、それって希望でしかないじゃないですか、と思うから。


・あと、これを言ってしまうとおしまいなのだが、アイドルコンテンツが好きなオタクはアイドルという存在や概念そのものがそもそも好きなので、大体他のアイドルアニメを見ても適応できるというあるあるがある。ソースは俺。


・というのがおれのアイカツ!のおおまかの感想だ。あとは個人的に好きな話をピックアップしていきたい。


4話「Oh! My! Fan!」

・いちごさんに初めてファンができるという回。

・アイドルってファンがあってこそだと思う。そのファンが現れるというのはいちごさにとって初めてのアイドルの実感だったんじゃないかな。まあ、ファン1号はずっと隣にいるんですけど。

・最後のいちごさんのセリフが非常に好きですね。アイドルという存在の真理をもうすでに4話で理解しているの、かなりすごいと思う。

アイドルって誰かの応援で頑張れて、その私たちがまた誰かに元気をあげてるんだなぁ。

・これのせりふが好きすぎて掛け軸にして家に置いてます。嘘です。

・アイカツチャンネルでいま公開されてるので是非に。今見ると初々しいいちごさん、なかなかかわいいっすね。


19話「月夜のあの娘は秘密の香り」

・ユリカ様登場回。

・おれはユリカ様みたいなキャラクターに弱いので、一目見たら好きになってしまった。声も沼倉さんだし。とか思っていたら、実は裏の顔は引っ込み思案で物静かな優しい子で、髪は下ろしていてメチャでっかメガネという、萌え属性の波状攻撃を仕掛けてきて一瞬で心を奪われてしまった。こんなんズルだろ!

かわいいね


47話「レジェンドアイドル・マスカレード」

・1期の46話から50話の流れは本当にすごく面白くて、ここで一気に引き込まれたなーという感じだった。

・美月さんの過去の掘り下げ、ジョニー先生が実はすごい先生でマスカレードの振り付け担当かつ美月さんの専属トレーナーだった、マスカレードが伝説の復活、いちごさんのママがミヤだった、そしてスターライトクイーンカップ、ラストはいちごの海外渡航...という超怒涛の激おもろ展開に目が離せなくなった。

・この1期ラストの展開を見た後に、もう一度1話を振り返ると、じつは数々の伏線が貼られていたんだ!とわかる。アイカツ!は長いので、2、3期は置いておいても、1期だけは全部見切ってもいいくらい最後の展開は良かったと思います。

・ママがミヤだというのはなんとなく思ってたけど「まさかベタすぎるよな...」と思って消去法していたら、本当だったので笑ってしまった。そういや女児アニメだったなこれ。あと全然関係ないけど、織姫学園長だけ「ファン」のことを「フアン」って言ってるのは何?ミサトさんが「エヴァ」を「エバー」って言ってる的なことなの?


71話「キラめきはアクエリアス」

・霧矢あおいさんの回。この回はマジでいいよね〜。

・2期の最初の方から星座アピールが出せるか不安だったあおいさん。それがなんだかんだで引っ張られてて、特になんもないのかな、って思ってたらちゃんと回収されてよかった。

・霧矢あおいさんがどういう存在なのかがよくわかるいい回だったと思う。ドリームアカデミーのティアラ学園長曰く、あおいは水だという。常に周りに存在して、あるのは当たり前だと思っているものだけど、なくてはならない、そういう大切な存在という意味を込めて「水」。素晴らしいですね。いちごさんとの手紙のやりとりも美しいと思う。やっぱあおいさんはいちごさんと一緒にいてこそだよな。


79話「yes!ベストパートナー」

・美月さんとみくるさんのユニット「ダブルエム」が結成されてパートナーズカップというものが開かれた。いちごさんたちもデュエットでユニットを組んで参加するために、自分に合ったパートナー選びをするという回。


・この回は基本楽しく見れたおれがアイカツで唯一絶望した回なんだよな。前述のとおり、おれはユリカ様を結構推していたわけだが、ユリカ様は(おそらく)紫吹蘭さんにホの字なのだ。まあわかる。蘭さんかっこいいし。

・最終的にユニットを組むにあたって、みんなで組みたい人の名前を紙に書いて決めることになる。ユニット発表の結果、蘭さんはドリームアカデミーの風沢そらさんとユニットを組むことになってしまった。ショックを受けるユリカ様。おれもショック。きちんと描写はされなかったものの、ユリカ様はきっと蘭さんの名前を書いていたに違いない。そんな中で、蘭さんは「ユリカ、私かそらの名前書いたのか?」という鈍感っぷり。もうおれの心はめちゃくちゃだ。ユリカ様〜〜〜;_;

・その後なんやかんやあってユリカ様は一ノ瀬かえでさんと組むことになる。美月、ユリカ、かえでの3人で組んでいたトライスターという空中分解したユニットでのモヤモヤをこの回ではしっかり回収してくれたのでとても嬉しかった。そしてユリカ様のパートナーとして、かえでさんという新しい可能性も見せつけてくれた。絶望からの新たな希望という点でこの回はよく印象に残っている。


90話「ひらめく☆未来ガール」

・おれがまだアイカツ!をみていなかった頃、アイドルマスターという別のアイドルコンテンツを話すディスコードのサーバーで、いつものようにアイドルマスターについてだべっていた時。この90話が無料公開されているから見てみてほしいと動画のリンクが貼られた。なぜかその時ふらっとみてしまったのが、おれのアイカツ!視聴の始まりだった。

・アイドルマスターはプロデューサーという大人とアイドルの2人が中心となって話が進んでいく。しかし、この回のあおいさんはどうやってMV撮影をするのか、どういう衣装を選ぶのか、どうして自分はこのブランドの衣装が好きなのかなどなど全てを自分で考えやり切っていた。言うなればセルフプロデュースをしていたのだ。一人の女の子が大人たちに物怖じせずに、自分のやりたいことをしっかりとプレゼンしていくのをみて、すごい!と思うと同時にアイカツ!に興味が湧いたんだった。懐かしい。

・もしあの時、誰かがあの動画を薦めていなかったら、自分が見ていなかったら、今この記事を書いていないと思うとなかなか因果なものだなぁと思う。


96話「レッツ!あかりサマー!」

・アイカツの中で一番好きな回。星宮いちごさんに可能性を見出されてスターライト学園の編入試験に合格した大空あかりさんだが、実技(つまりアイドル活動)においては学年でもどべっけつ。学園長からスペシャルアピールを出せるようになれと、夏期講習を言い渡されるのであった。

・星宮いちごさんたちはこの2期後半の時点でアイドルとしてかなり成長しきってしまっていた。だからこそ次世代のまだ花開いていないアイドル、大空あかりさんを描いたことで次の世代へのバトンタッチをするという大きな役割を果たす。アイカツ!の中でもターニングポイントの回だと思っている。ジョニー先生も言う通り、天才型だったいちごさんに対して、あかりさんは泥臭く努力を重ねていくタイプ。その二人の対比も素晴らしいし、お話的にも新しいアイカツの形が見えたので、新鮮な気持ちで見ることができた。

・あとこの回は、「この世界はいくら努力を重ねても、できたか、できなかったかが評価されてしまう厳しい世界でもあるんだよ」、というアイドルの現実的な側面をしっかりと描写していたのがよかったと思う。ジョニー先生がきらりと光るいい回だった。

・そして2週にわたってあかりさんがようやく出したアピールが、いちごさんが初めてのステージで出したアピールと同じというのがまた味わい深いっすね。彼女のアイカツはここから始まるんだ、という素晴らしい演出!


176話「いばらの女王」

・かなり飛んで、最終回近い話。スターライトクイーンカップが進んでいき、氷上スミレさんの番が来た。ステージでSAランクのスペシャルアピール(簡単にいうと、すごい大技)を出さないと勝てないという激しい戦いの中、氷上スミレさんは、優勝をするために難しいSAランクのアピールに挑戦するが失敗してしまうという衝撃の回。

・アイカツ!って全体的に優しい世界という感じで、勝っても負けてもお互いを称えて拍手!みたいな雰囲気が多い。実際それは間違ってないし、このコンテンツに合っている雰囲気だと思うんだけど、この回は勝負におけるスミレさんの「執念」をしっかり描いているというところが良い。

・主人公は大空あかりさんとはいえ、星宮いちごさんも神崎美月さんにスターライトクイーンカップで敗れていることを考えると、氷上スミレさんが勝ったとしても全くおかしい状況ではない。見ていて手に汗握る流れだった。その上で、氷上スミレさんは己の限界に挑戦して、そして、敗れたのだ。

・あの時、あの瞬間、確かに氷上スミレさんはどのアイドルよりも輝いていたに違いない。初期の穏やかでおとなしかったスミレさんは大空あかりさんや信条ひなきさん、その他のみんなとの交流を経て、絶対に勝ちたいと己の貪欲な執念を発揮できるまでのりっぱなアイドルになれたのだ。それだけでもすごいことだ。そしてその上で、彼女の挑戦を褒め称えてあげたい。優しく抱きしめてあげたい。そう思えるのであった。涙。



「未来へのSTARWAY」

・という感じでアイカツ!を見てきたわけだが、じゃあ映画はどうだったんだ!?という話ですわな。短く言うと、「狂い」。おれはこの映画にめちゃくちゃ狂わされてしまった。人生観とか情緒をメッタメタに破壊し尽くされてしまい、打ちひしがれている(今もなお)。

・この映画、大空あかりさんたちに主人公をバトンタッチした星宮いちごさんがもう一度主人公になる。それだけでも大分アツいんだけど、そこからさらに彼女たちがスターライト学園を卒業する、ということを描き切った映画なのである。そしてそれはある意味、「アイカツ!もアニメ的には一区切り」という側面も孕んでいる。

・それゆえに、全体的にビターでちょっともの寂しい雰囲気を纏いつつ、アイカツ!らしい前向きさと未来への希望みたいなことも描かれていて、もう心打たれました。1つのコンテンツにおける、劇場版の究極なんじゃないかと思う。


・例に違わず、この映画のテーマとか主軸を考えたい。おれはそういうのを考えるのが好きだ。誰が何を意図してそれを作っているのか、と言うのは興味深い。まあ結局自分の思考がぐちゃぐちゃになって他のブログで感想とか見ちゃうんだけど。とにかく考えてみるというのが大事なのだ。


・アイカツの映画には2つのテーマがあった。1つは「思い出は未来の中に」ということ。もう一つは「この道の先ならきっと大丈夫」。どちらも映画内で出てきたセリフだが、この映画をこれ以上なく表していると思う。


思い出は未来の中に、というのは作中の霧矢あおいさんのセリフだ。というか、いちばん最初のEDの「カレンダーガール」にも同じ歌詞があるので、それを意識したものだろうなと思う。ざっくり言うと、「別れがやってくるというのは寂しいことだけど、私たちが過ごしてきたかけがえのない思い出たちは胸の中でありありとまだ生きていて、思い出と共にこれから成長していく」と言った感じか。

・この映画のエンディングの「氷の森」にも似た思想がある。この歌詞における「氷の森」というのは、氷漬けになった、つまり永久保存されうる思い出のことだと解釈している。

ありがとう でもおやすみ
寄りそうように 流れている
色褪せない (光だった)
宝物が (あの日たちが)
生き続ける 氷の森
美しい氷の森

・思い出はいつでも自分の中にあって、それと共に生きている。心の奥に大切にしまっている氷の森は、いつでもそこにある。だからこそ、離れ離れになっても、未来に進んでいったとしても、前を向いて生きていける。今は過去になって、未来は今になっていく。

・こういう過去との関わり方ってなかなかできない。過去に囚われてしまうこともあるだろう。実際、おれも映画を見る前はアイカツが終わってしまうか不安だった。でも、思い出は未来の中に、なのだ。何も心配することはなかった。映画を見終わった今は、むしろ清々しい気持ちでアイカツのことを捉えている。


・もう一つのテーマとして「この道の先ならきっと大丈夫」というものがあったと思う。映画のサイトのストーリーに書いてある説明から引用した。この映画は前述の通り、星宮いちごさんたちが卒業してしまうストーリーだ。アニメの2期の時にも卒業の話がちょっとあったんだけど、その時は中学卒業の話。スターライト学園は中高一貫のスタンスをとっているので、結局特に誰も欠けることと無く高校生活は続いていった。

・しかし、スターライト学園高等部卒業というのは本当に大きな分岐点。大学に行くかどうかも考えないといけないし、これからスターライト学園を離れて自分がどういうアイドルになって、どういう活動をしていくかを決定しないといけない。アイドルを辞めるという選択肢もあるかもしれない。そういう大切な時期に差し掛かったのだ。

・無限に広がっている未来という広大すぎるフィールドに投げ出されたいちごさんたちは少しずつ、自分のなりたいもの、やりたいことを考えていく。その時に出てくるのが「この道の先ならきっと大丈夫」という言葉なのだ。今まで必死にトップアイドルを目指して、仲間と競い合い笑い合い、真剣にアツい「アイカツ」をしてきた。だから、根拠なんてないけど、この先もきっと頑張って食らいついていけば、絶対なんとかなる!ということだと思っている。

・確かに、未来なんてものは大丈夫と言い切れる代物ではないのかもしれないが、私たちはいちごさんたちがどういうふうに成長して、どうしてトップアイドルになれたかを知っている(178話分の積み重ねがある)。だから、私たちも自信を持って「その道の先ならきっと大丈夫」と応援してあげることができるのではないだろうか。


・この2つはこの映画のストーリーにおける大事なテーマだと思った。でも、それと同時に我々にも投げかけられているテーマだとも思った。この映画は、多分当時からアイカツ!を見ていた人たちに対して作られたものなのかな、思っている。

・そういう人たちに、しっかりと刺さる。勿論おれみたいなやつにも。アイカツ!はこの映画をもって一つの大きな区切りを果たした。私たちファンはそれは寂しいことだと思うけれど、そういう時に霧矢あおいさんの言葉を思い出してみる。「思い出は未来の中に」。文字通り、アイカツ!と歩んできた大切な思い出10年間は、消えたわけではなく、我々の心の奥に大切にしまってある。だから、星宮いちごさんたちと共におれたちも未来を歩んでいけるのだ。

・そして、当時小学生だった女の子たちは、今大きくなって、多分受験をしたり就職したり、いちごさんたちと同じで人生の大きな岐路に立たされているはず。そういう人たちに、アイカツと共に歩んできた私たちなら大丈夫だよ!という強いメッセージを感じた。「この道の先ならきっと大丈夫」。こんな心強いことない。


・このように過去の自分たちが未来の自分たちをしっかりと支えてくれている、という事実をしっかり描き切ってくれたことが嬉しい。そして過去と向き合うことを肯定して寄り添ってくれた上で、未来に進んでいくことの大切さも説いている。こんなに素晴らしいコンテンツってないよ、思ってボロボロ劇場で泣いた。上映時間の半分くらい泣いていた。ずっと泣いていた。

・総じて、アイカツ!を締めくくる映画としてこれ以上ない最高峰の出来であったと言わざるを得ない。前述の通り、卒業とか転換とか大きな一歩を踏み出す人、踏み出す勇気がない人におすすめしたい素晴らしい作品だった。



・あとはちょっと思ったことが多すぎるので、ダイジェストでおれの細かい感想を読み飛ばしていってください。多分大体みんな同じでしょ。

・コスモス〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!コスモスでさぁ、あかりさんがちごさんのこと呼び捨てにしてるのいいよな。最高。
・おやすみ、おやすみ、おやすみ。で大号泣。そういえば、いつもこの学生寮があった。そんな寮ともお別れと思ったら、本当に泣ける。ポンポンクレープガールのポスターとかどこ行ったんかな。
・ソレイユ、なんよな。。。ソレイユって良すぎるよ。あおいのやりたいことならいつでも聞くよ、みたいなこと言ってる星宮いちごさんがよすぎて。
・おとめさんに「朝からプリン!?」みたいに言ってたかえでさん、朝から寿司食ってて笑った。朝から寿司て。
・うっ。卒業アルバムの編集。そういうことをされると泣いてしまうので本当にやめてください。74話のやつ。
・わーーー。知らん曲きたーーーー。後で調べたらフォトカツ!の曲らしい。今、フォトカツ!ができないの、マジで結構悔しい。フォトカツ!、けっこう本編の幕間みたいなのを拾ってるらしいんだよな。そんなの見たかったに決まってる。
・え?卒業ライブ流した?さらっと?
・え?は?これもしかして大人編?えぐいえぐいえぐいえぐいえぐいえぐいえぐい!!!!!!!!!!!!一番やばいことしてる!!!!!!この時点からニチャりが止まらなくなっちゃった。
・蘭さんの車の描写細かくてキモい(褒め言葉)。こういう日常のどうでもいい描写が細かいと嬉しい。
・なにがわ先生来た。アイカツのこういう先生、大体キャラ濃いな。おれはソレイユに殺陣を指導したおっさんのことがかなり好きだった。
・大人のあおいさん、良すぎる。なんでヘソ出ししてんの!?風邪ひくよ!「not ODAYAKA」じゃないんですね。穏やかじゃないって。
・おい!!!!!大人のいちごさん、マジでいいな…。いちごさんをそのまま大人にしたみたいで、わかる〜のラインにいる。
・は?同棲?舐めんなよ。オタクのこと殺しにきてる。
・らいち〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!でかなったなぁ、お前!そんでもって、かっちょいいやつになったじゃねえか。家の仕事も手伝って、アイドルを追っかけて、大学も行って…。こんなにいいやつなんです、らいちって。
・ギャ…………。大人の、ユリカ様…?は?夢?
・うわーーーーー!!!飲酒?飲酒だぁ?なんで公式が同人誌みてぇなことしてんの?
・ユリカ様が酔っ払うとめんどくさいの、かなりいいな。酔っ払うとしおらしくなるパターンでもおれは愛せる。酒弱いのにワインは飲まない方がいい。
・はぁ〜〜〜〜。かえでさん、中学生の頃から結構お姉さんだったけど、大人になってそういう面がどんどん強みになってる。色気がすごい。
・蘭さん、カクテル作れんの?かっこい。惚れた。
・あ、卒業ライブはやるんだ。なるほど、結構攻めた構成だねぇ。
・「signalize!」!?!?!?!?!おれが、アイカツで一番好きな曲が流れた。。。。。。しかも、トライスターとぽわプリで…?ここで、涙腺がぶっ壊れた。泣きまくった。全ての始まりの曲で、だからこそ好きなんだよ。全ての始まりのOP曲が、この終わりを感じさせる映画の劇中歌で流れると言うのがすごくいい。何かの終わりは、何かの始まりなんだよと言うメッセージをすごく感じる。
・ルミナスーーーー!!!!!!新曲の「travel ribbon」、良すぎてる。曲の構成がすごいぞ。泣きまくってる。「初めてに何度でも感動したいって思うんだ」っていう歌詞が、アイカツ!という初めてのコンテンツに感動している自分とリンクしてる気がして。ルミナスを描いたことで、在校生の視点というのが発生したというのもいいよなぁ。大空あかりさんは、星宮いちごさんをどういう気持ちで送ったのか、いつも考えてる。
・MCでボロ泣き。ここ泣かないやつっていない。いちごさんのMCが本当に良くってえ。彼女たちはアイドルなんだけど、でもアイドルじゃない人もたくさんいて。アイカツ!というコンテンツ上、アイドルという側面を描いているんだけど、そうじゃない人たちにもいちごさんたちのように「アイカツ」があったわけなんですよね。そういう人たちも、一緒だと言ってくれて、おれは本当に嬉しかった。おれたちも、アイカツ!という世界のステージに立っているという事実を伝えてくれて、本当に嬉しかったんです。
・ァ………。「MY STARWAY」。OPで泣いてた曲を、最後のライブで耐えられるわけない!しかも、ダイジェストを流されたら、マジでもうダメになってしまう。アイカツのいいところって、歌詞が本編のストーリーにすごいリンクしていて、互いに補い合ってるところなんだよな。MY STARWAYは、そういう意味で、素晴らしい歌詞をしている。
・もう終わったか。。。と思ったらEDが来て、そんなダブルパンチないよ、と思った。「いつまでもここにいたい 去り難いと思うけど」っていう歌詞ヤバすぎ。おれだってそうだ!!!「もう行くよ 歩き出すね」。やめて!!!やっぱ行って!!どっち〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?!?
・エンドロールは「shining line*」で最後の涙を枯らされた。この映画を最初に見た時、自分が雑巾絞りになったかと思うくらい泣かされた。だよな〜〜〜。shining line*をここでもってくるのは、本当に偉い。ありがとう。
・エンドロールが終わって全ての気持ちが体から抜け落ちて、掃除のお兄さんが来るまで放心して椅子に座っていた。凄まじい想いを体と脳が受け止めきれなくてオーバーヒートしてしまっていたんだと思う。改めてとんでもない映画だった。


おわりに

・いやあ、とんでもない映画だった。アニメの178話を楽しんで観てはいたんだけど、それでもやっぱり途中しんどかったりもした。アイカツ漬けすぎて気が狂うかと思った。でも、この長い長いアイカツ!を視聴した時間は、この映画ためにあったんだな、と思うとなんだか感慨深い。短いスパンでみたからこそエピソードとかも結構覚えていて、いろんなシーンがフラッシュバックしたりしてそれも良かった。

・なんかもう普通にアイカツ!のことが大好きになっている。今TwitterのTLがアイカツのファンアートばっかが流れてきているし。もちろん人生観にも大きな爪痕を残してくれたなとも思う。

・総じて、夢に真っ直ぐで直向きに向かう姿勢の尊さみたいなことみたいなことをしっかりと実感した気がする。誰も否定をしない、そういう優しい世界観というのも良かった。すごい前向きなアニメだったんだよ、アイカツ。少し前にYouTubeで6話「サインに夢中!」という回が無料配信されて、振り返って見てみたらすごいアイカツらしい回だったんだよね。

・いちごさんがサインを考えるんだけど、すごく派手で豪華なサインを考えて、これでは書いている間にお客さんを待たせてしまうというふうに言われてしまう。そんな時にいちごさんは、「簡単なサインに変えよう」ではなくて、「じゃあこのサインをめちゃくちゃ早く書けるようになろう」というふうに考えた。この前向きさがすごくアイカツ!らしいなと思った。そこはまあフィクションではあるんだけど、アイカツ!という作品がどんなに真っ直ぐなものなのかを示すものだと思う。

・その真っすぐさに心救われた人もたくさんいるだろうと思う。彼女たちに勇気と元気をもらったおれが言うんだから間違いない。


・そういうわけで、長くなって、しんみりしてしまったが、おれが見たアイカツ!は氷山の一角に過ぎない。アイカツ!はまだまだシリーズもたくさんあるし、アニメが区切りついたとはいえ、新しい展開もあることだろう。これからの彼女たちのアツいアイドル活動を見守っていく一人になれたことを誇らしく思う!


・1万文字以上の拙い文章を読んでくれてありがとうございます。では、また。

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