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【シャニマス】幽谷霧子さんの新カード「縷・縷・屡・来」について考える

・こんにちは、sirasuです。

はじめに

・この間、わたしの大好きなゲーム「アイドルマスターシャイニーカラーズ」に新しいカードたちが追加されました。

・そのうち目玉となるpSSRカードがわたしの担当アイドル(平たくいうと推し)の幽谷霧子さんでした(しかもフェス限定のすごいカード!)。そのコミュが大変に素晴らしく、かつ中々に難しいものだったので思考が新鮮なうちにnoteにまとめようと思い、筆を執った次第です。


・よってアホみたいにネタバレをするので「ネタバレが嫌だ〜〜!!」という方にはおすすめできません。また過去カードにも少し触れるつもりなので、そちらも「やめて〜〜」という方は読むのをやめた方が良いと思います。



「る、る、る、く、」

・と言うわけで、早速コミュを読んでいくのですがまずこのコミュについて簡潔にまとめます。

・最初のコミュ「る、る、る、く、」は、霧子さんの過去の話と、彼女が大切にしている古いブランケットの話とまとめることができます。

・では見ていきましょう。

・いきなり「動いた」と驚く霧子さん。一体どうした。

・すると場面が切り替わり、場所はひぐらしの鳴く夕方の事務所。中々エモーショナルな雰囲気です。おそらく仕事前に仮眠をとっている霧子さんですが、どうやらなかなか寝付けないご様子。プロデューサーは寝付けない理由を霧子さんに尋ねると、彼女はこう返します。

・霧子さんが寝付けない理由は、ブランケットを思い出していたからのようでした。そのブランケットは年季が入っており、

カモシカさん……
キリンさん……
ゾウさん……
シマウマさん……
トラさん……
ダチョウさん……
マーモットさん……
マングースさん……

と言った動物たちが描かれていたこと。そして、


霧子さんの名前と「るるるく町いっちょうめ」と書かれていいいることがわかります。ちなみに動物の名前を霧子さんが呼ぶシーンはおそらく過去の回想であり、霧子さんの声は幼少期のものになっています。どっひゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!初めて幼少期霧子さんの声を聞いたことで、驚きすぎて大声で部屋を駆けまわってしまいました。こういうことをいきなりぶっこんでくるからシャニマスはなかなか油断なりません。閑話休題。


・今回の全てのコミュにおいて、この「るるるく町」と言うのは大変重要な要素になってきます


・霧子さんは昔に1度だけブランケットに描かれている動物たちが動き出したこと発見したと言います。いや、正確には動いているような気がしたと感じただけですが。つまり、最初の「動いた」と驚く霧子さんのシーンは、幼少期の頃に動くブランケットの動物を発見したところだったことがわかります。

・そこで霧子さんはブランケットの世界は彼女が起きている間は眠っていて、彼女が眠ると起きる町と考えました(すごすぎる)。すると霧子さんのお母さんが、この不思議な町に名前をつけました。


私が眠『る』……そしたら始ま『る』……
ここのみんなの時間にな『る』……みんなが動『く』……

・これらの最後の文字をとってブランケットの動物の町は「るるるく町」と命名されたようです。…どうでしょう、いきなり霧子ワールド全開のすごいコミュですね。見てないと動き出すって、トイストーリーで見たことあるな

・さらに霧子さんのお母さんはどうやら霧子さんにかなり近い感性を持っていたことが明かされました。過去の限定カード、「鱗・鱗・謹・賀」には霧子さんのおばあさんが登場しましたが、その時も霧子さんのおばあさんは霧子さんに近い感性を持っていました。そのため、おばあさんはおそらく母方の血縁者だったことがなんとなくわかります。幽谷の血が濃すぎる。


・話がそれてしまいました。この「るるるく町」というのが大切だと言うのは、今回のコミュはこの「るるるく町」に関する霧子さんのストーリーだからですね。

さて、ここで選択肢です。

・このうち、これからのコミュにつながりそうな選択肢はおそらく真ん中の選択肢だと思われます。霧子の代わりにブランケットを見ていてあげよう、自分は霧子が寝ている間も起きているからと言うプロデューサー。代わりに「るるるく町」を見守ってあげようという心算です。それに対して霧子は

・昔の霧子さんのお母さんとプロデューサーの発言が一致していると言う事が示されています。ここは、次以降のコミュのちょっとした匂わせであることが後々わかってきます。

・しかし、プロデューサー自身は霧子さんのお母さんのようにはにはなれない、と考えているようです。「まだ」と言っているので、プロデューサーはいつかは霧子さんと同じ目線に立ちたいのでしょうか。中々余韻のある終わり方です。ここまでがコミュ1になっています。


・ちなみにこのコミュで「るるるく町」が出てきたため、カード名の「縷・縷・屡・来」は「るるるく」と呼べることがなんとなくわかりましたね。

・それにしても霧子さんはやはりかなりすごい感性を持っていることがわかりますね。わたしが彼女に惹かれている理由は、この彼女の屈託のない、ある種の幼児ような感性によるものが大きいです。草花や動物、果ては無機物を擬人化したり、「あったか〜い」という何気ない言葉で笑ったり。わたしが何年か生きていて忘れてしまった、純粋で、あるがままの美しい捉え方で世界を捉える霧子さんが、私はとても羨ましく、そしてとても美しく思えるから。だからわたしは霧子さんのことを好きで好きでたまらないのだと思います。



「くる」

・ここからは2コミュ目、「くる」を読み込んで行きます。このコミュはおおざっぱに言うと霧子さんの死生観がかなり現れているお話だと感じました。

・霧子さんの独特の生命観といえば、過去のカードでも色々ありましたが「夕・音・鳴・鳴」でのコミュ1「われたよ」がわかりやすかったと思います。そのコミュでは具体的に彼女は輪廻転生のような死生観を自分の中に持っていることが明かされていました(割れたマグカップを新しい植木鉢へと昇華させて、と言った具合)。

・いきなり「赤い目」が我々を出迎えます。この間のロング・ログ・エンドロールといい最近シャニマス、ホラーっぽい演出に凝っているような気がします。「赤い目」については後のコミュで考察をします。


・場面転換。今度は夏空の公園公園にプロデューサーと霧子さんで休憩しているようです。すると2人の間を大きな鳥が飛んでいった様子。2人がびっくりしているとふと、霧子さんが何かを見つけたようです。

・これを読んだ時、思わず声を出してしまいました。彼女が見つけたのは公園にあった小鳥のお墓。実はこれは過去の限定pSSR「琴・禽・空・華」の4コミュ目「ha ka」というコミュにも公園の小鳥のお墓というものが登場していたのです。まさかのいきなり過去コミュ要素をぶっ込んでくるとは…。やめなよシャニマスくん、こういうことするの。「琴・禽・空・華」がどのようなコミュだったかと言うと、霧子さんの死生観がより如実に現れたコミュでした。

「琴・禽・空・華」の4コミュ目「ha ka」より
「琴・禽・空・華」の4コミュ目「ha ka」より

・霧子さんの基本的な考え方は、「続きの時間」を「覚えている」ことで命を自分の中に宿している、と言うことです。もし、何か(動物や植物に限らず無生物も)がいなくなってしまっても、それの「続きの時間」を霧子さんが「覚えている」ことで、それはまさに

・それそのものの命を自身の中に留めておくことができる、と彼女は考えています。これが「琴・禽・空・華」で描かれた霧子さんの感性のひとつです。これを加味しながら今回のコミュを考えていきたいと思います。


・お墓は結構年月が経っていてボロボロになってしまっている様子。それに対して、「少し綺麗にしていくか?」と尋ねるプロデューサー。

・しかし、霧子さんの答えは「お祈り」をすること。霧子さんは度々「お祈り」という言葉を使います。

・霧子さんにとってお祈りをする事は世界を始める、という意味を持っているようです。なかなか難しく、抽象的な感じですね。正直わたしも理解しきれていません。すると、プロデューサーは霧子さんに語りかけます。

おんなじなのかな
みんな……霧子とか、俺とかも
……その、こうやって眠った後は
いつか草でいっぱいになって

草の下か、どこかにいて
まぁ、覚えている人だって……
いつかはいなくなるよな

・プロデューサーは少し感傷的な気分に浸っているようです。彼の言いたいことを要約すると死んだらいつかはなくなってしまう、と言う死後にに対する「無」の恐怖です。彼が感傷的になってしまっているのは

・死んでしまっているセミを見たことがきっかけだと思われます。なぜ死んだセミをみて彼が落ち込んでいるかはわかりません。しかし、プロデューサーは霧子さんから何かしらの答えが得られることを期待していたのではないでしょうか。死ぬことによる恐怖。これに対する霧子さんなりのアンサーを知りたくて、彼は独り言のようにつぶやいているのではないかと思います。


・そして霧子さんはそれに対してこんな答えを出しました。

・風になって、歌になって誰かに「覚えて」いてもらう時間をまた始める。要は、輪廻転生の考え方です。いなくなってしまっても、また巡り巡って誰かに覚えてもらえる。でも、世界は輪廻転生しているとは誰も証明できない。だから霧子さんは「そうだったらいいな」と考えています。

・霧子さんは一見、浮世離れした感性を持っています。その実、彼女は本当はとてもリアリストでもあります。霧子さんの信頼度ボイス9にはこういったものがあります。

・彼女は普段、あたかも草花や動物たちがそこにいてお話ししているかのように接しています。しかし、実際は花が我々にリアクションをすることはないし、動物が人語を解する訳でもありません。当然のことです。彼女はそれを理解していながら、「もし、そうだったらいいな」と考えています。わたしはここに幽谷霧子というキャラクター造形の妙があると考えています。

・もしキリコさんが本当に草花動物がしゃべれていて、この世界が本当に輪廻転生の原理によって回っているとしたら、霧子さんはただのの『不思議ちゃん』と言う存在で消費されてしまいます。しかし実際は、「もし、そうだったらいいな」と希望的観測をする彼女と、「現実世界はそういう風にはできていない」と冷静な判断を下す彼女という2つの側面があります。霧子さんは、美しい感性を持ちながら、それに縋ることはせず、しっかりと現実を見据えて地に足つけて生きている。

・そこが霧子さんのクールなところだな、とわたしは尊敬しています。ちなみに霧子さんのLP編はこれに近い内容を描いているので是非とも見てほしいコミュのひとつですね。はなしが大きく逸れてしまった。



・霧子さんからの言葉を受け取ったプロデューサー。ここで選択肢になります。正直、この選択肢、3つとも凄くいい。全部紹介していてもキリがないので一つ紹介するとしたら右の選択肢ですかね。

・霧子さんの言葉を反復するように「もしそうだったらいいな」と寄り添うプロデューサー。そして彼は彼なりに一つの結論を出しました。

はは、できればもっと……
まだまだ先のことだったらいいけど

ずっ……と先だぞ
そうなる前にたくさん

────たくさん誰かのこと、覚えよう

・そして、彼は何かに踏ん切りがついたようにあのセミに語りかけます。

・というところでコミュが終わります。うう…また涙が。是非他選択肢も見ていただきたい。

・「大体シャニPのコミュじゃねーか!」と言いたくもなりますが、霧子さん独特の輪廻転生の価値観もわかった、とても良いコミュだったと思います。





「おぼえてる」

・と言うわけで3つ目のコミュまで読み進めてきました。今回のは非常に簡潔です。それはこのコミュが、霧子さんの両親とプロデューサーの類似性を示すためのコミュだからだと思います。1つ目のコミュの時に正解の選択肢が真ん中だったのは、これのためです。霧子さんの両親とプロデューサーが重なる瞬間が今後あるよ、と言うことを匂わせための選択肢だったのではないかと思います。

・それと、「おぼえている」の最初の方だけはガシャページで試し読みできるので、まだ持っていなくてこれを読んでいる方はよければ見てみてください。なんとなく、今回のカードのイメージをうっすらつかめると思います。


・さて、いきなり霧子さんのお母さんが電話している場面からコミュが始まります。

────ねぇどうしよう……
霧ちゃん、熱いの……!

・つまり霧子さんが熱を出してしまったことがわかります。ここで気になるのは霧子さんのお母さんが、霧子さんのことを霧ちゃんと呼んでいることです。シャニマスを少しかじっている人ならすぐにティンとくると思いますが、「霧ちゃん」とは霧子さんのLPに登場する人工知能を搭載した家電のことです。もしかすると霧子さんが家電に「霧ちゃん」と名付けたのは何かしらの思うところがあってのことなのかもしれません。


・場面が変わって、車を運転するプロデューサーになりました。心配そうに「──霧子……」とつぶやくプロデューサー。


・場面は再び霧子さんのお母さんに。「熱は様子見たいけど、ちょっと脱水起こしているっぽくて──」と言う詳しいセリフから、霧子さんのお母さんもおそらく医者だと予想できます。また「なんであなた当直なんだろうこんな時に………!」と言っているので、霧子さんのお父さんも医者であることもわかります。両親どちらとも医者とはなかなか凄い家庭ですね。国公立医学部B判定にもなんとなく説得力があるような気がします。



・一方、プロデューサーも少し焦っている様子。最近のコミュはSEが非常に凝っていて、ここのシーンも車のウィンカーを出している音がかなりリアルに聞こえてきていて、サウンドスタッフのこだわりが見えます。

・どうやらダンス講師から霧子さんを病院に連れて行くとメッセージが入っていたご様子。なるほど、だからプロデューサーは焦っていたんですね。ここの驚き方、なんとなく素のシャニPな気がしてなんだか可愛いです。


・霧子さんのお母さんは霧子さんを連れて病院の外来へ。看護婦さんの描写がやけにリアリティがあってさすがシャニマスだと思いました。看護婦さんが
「幽谷先生」と言っているので、やはり霧子さんのお母さんは医者だったようです。看護婦さんは霧子さんだけ先に通そうか、と相談しますが彼女はこれを断ります。医者として自分の子だけを優先すると言う事はしない。立派なお医者さんですね。霧子さんが医者に憧れる理由もなんとなくわかります。そうこうしている間に霧子さんはどんどん苦しそうに…。


・もう既にお気づきかと思いますが、ここで描写したい事は熱が出て病院の外来に行く霧子さんを心配する彼女のお母さんと、霧子さんを病院に送ったというメッセを読んで彼女を心配するプロデューサー。この2人の対比構造になっているということです。

・ここで霧子さんのお父さんも登場。ずっと気になっていましたが霧子さんは昔はパパママと両親のことを呼んでいたんですね。いつぐらいにお父さんお母さんと呼び始めたのか気になるところ。

・この2人のやりとりを見ているととても良い夫婦のように見えますし、2人とも本当に霧子さんを大切にしているんだなぁと思い、初めて読んだときこのシーンで号泣してしまいました。お恥ずかしい。


・さて、現在軸でもプロデューサーが到着。大急ぎで病院にきたところをダンス講師に茶化されています。中々良いキャラをしているダンス講師だ。どうやら霧子さんはなんとも無い様子。よかったよかった。


・ここは大切なシーンです。ここにきて再び「るるるく町」が登場します。霧子さんのご両親はここでブランケットのことを話題に出しました。るるるく町のみんなも霧子さんの夢に遊びに来るかもしれないと。そして、プロデューサーもブランケットを持ってきたことがわかります。



・最後の選択肢はどれも大事なものだと思うのですが、やはり次につながりそうな選択肢は真ん中でしょうか。霧子さんは

きっと……
カモシカさんたちが……来てくれたから……
とっ……ても心配してくれる……誰かが……
みんなを……連れてきてくれた……おかげです……

・と言います。これを噛み砕くと「とっても心配してくれる誰か」、と言うのは過去の時間軸言うところの霧子さんの両親、そして現在の時間軸で言うプロデューサーのことでしょう。どちらも霧子さんを心配してきてブランケットを持ってきた。つまりブランケット=「るるるく町のみんな」を連れてきてくれた、と言い換えることができそうです。


・このコミュを読んだ率直な感想は、上でも書きましたが「あぁ、霧子さんってみんなに大切にされていたんだなあ…。」ということでしょうか。霧子さんの両親が初めて描写されたのは一番最初のpSSR、「霧・音・燦・燦」の4つ目のコミュ、「ほしをひとまわり」でした。

ふむふむ

・その後もポツポツと霧子さんの両親の描写はあるのですが、どれも「霧子の両親は多忙で、家でひとりがちだった」というものでした。だから、人によっては少し悪い方向に考えてしまう人もいたかも知れません。ですが、このコミュで霧子さんは両親から目一杯の愛を注がれていたこと、そして今もプロデューサーという彼女のことを大切にしてくれる存在がいること。この事実に、胸がジーンとして何度も泣いてしまいました。わたしは数ある霧子さんのコミュの中で、このコミュが一番好きなコミュになりました。




「いる」

・さて、いよいよやってきました4コミュ目です。4コミュ目は正直言ってかなり解釈が難しいところだと思います。私の所属しているディスコードサーバーでの意見・感想を見ても、人によってかなり違う解釈をしているのが見て取れます。ですから、今回は私が読んで思った解釈をご紹介しようと思います。皆さんの解釈もぜひnoteに書き殴って欲しいですね。


・このお話では、霧子さん達は海で撮影をしているようです。今回のコミュのカードはイラストは水着だったのに今までのお話では水着どころか「み」の字も出てきていなかったのでようやく水着が見れるのか、といったところです。ウヘヘ。

・撮影の山場に差し掛かっているようで、水面から浮上したところを撮影する計画のようです。なかなか画になりそうな良さそうなシチュエーションですね。スタッフの人たちも人が良さそうでなんだか安心。


・ここの切実に頑張れと言うプロデューサーに少し笑ってしまいました。保護者かい。


・さて、ここからが今回のストーリーの本質になります。

魚が群れで泳いで
砂浜をカニが歩いて
椰子の実に風が吹いて
潮の香りに、甘い花の香りが混じって
カモメに、名前の知らない鳥の声が重なって

……なんだろうな、見たことある気がするよ
こういう場所────

・プロデューサーや霧子さんはこの場所が見たことがある場所と考えています。おそらく「見たことがある場所」、とは「るるるく町」で良いかと思います。

・そして霧子さんは計画通り潜水をしますが、どうやら様子が少しおかしい。時間を過ぎてもなかなか浮上してこないようです。当然、プロデューサーやスタッフが心配します。


・霧子さんは何かに気づき、そして海の中で「赤い目」に出逢います。追って、プロデューサーも慌てて海の中へ向かいます。そして、

・「赤い目」と一体になっている霧子さんを見つけます。ここ、初めて読んだ時訳がわからなさすぎてずっと混乱してました。わかってくれる人が多いことを祈りたいです。

・そして一言、「きたの?」と。ここからガシャ演出(上の方にある、公式Twitterがアップしている動画がそれ)が入ったのち、霧子さんは無事海面に出れたようです。安堵する一同に対し、霧子さんはこう言います。


・撮影が終わった後の事務所でプロデューサーは回顧します。

霧子は、写ってなかった

写ってたのは...大きな魚が、水面近くの鳥に飛びかかろうとする姿

でも────
────なんでだろうな
すごく......霧子がいる感じがする

・ここで4つ目のコミュは終わりです。


・ここまであらすじをざっと説明しても正直何のことか全く判りません。赤い目は何?なんで霧子さんは浮上できなかったの?カード演出の意味は?なぜ彼女は写真に写ってなかったの?海と空に出会ったって何?と一気に疑問が出てきました。というわけでこの疑問を解決していくわけですが、そのためにはかなり突飛なことを考えなければなりません。

・それは、霧子さんに何かしらの霊が取り憑いて、彼女を海に引きずり込んだ。しかし「るるるく町」のみんなが霧子さんを助けに来て、結果、霧子さんが助かったということを考えてみました。お前何言っているんだって感じですが、わたしもそう思います。でも、おそらくこれで説明できるかもしれません。

・そも、もともと霧子さんはおそらく何かしら霊を呼びやすい体質なのではないでしょうか。2つ目のコミュでも言及されていた通り、彼女は非常に独特な死生観を持っています。それは、いろいろな「続きの時間」を「覚えている」ことで自分の中で沢山の命が生き続けているという考え方に基づいています。ですから、過去の存在と縁ができて霊を呼び寄せてしまうことがある、という理論です。実際、3つ目のコミュで霧子さんが熱を出していたのはこういった霊の仕業ではないかとわたしは考えています。

・さらに、このコミュは「くる」でも触れられていた通り、お盆の時期のコミュであることがわかっています。しかも「幽霊が集まりやすい」と言われている水辺(海)での撮影。つまり、なんらかの悪霊がたくさん帰ってきており、霧子さんに取り憑いた。そして撮影中に霧子さんをあちらの世界に引き込もうとしていた。だから霧子さんは水中からなかなか出てこれなかったのではないでしょうか。しかし、実際には霧子さんは助かっています。ですので彼女を助けた存在がいるはずです。


・それが「るるるく町」です。僕の勝手な解釈ですが、おそらく「るるるく町」は霧子さんに大切に扱われることによってある種の付喪神や守護霊のような存在に変容していったのではないでしょうか。それはブランケットの動物の集合体として、コミュの途中で度々現れる「赤い目」となって登場していた。不気味な赤い目は我々に恐怖を植え付けるミスリードで、実際は霧子さんを守る存在だったのでは。

・さらに、「るるるく町」は目を閉じると霧子さんの前に現れる町だとされているのが描写されています。ですので、霊が霧子さんに憑依してしまったので彼女の意識がなくなる。つまり、目を閉じたことで「るるるく町」が目覚めて、霧子さんを助けるために彼女の体に今度は「るるるく町」が入り込んだ。実際カード演出でもコミュ内では霧子さんの目も赤くなっていました。

カード演出。目が赤い
コミュ内の演出。目が赤い、と言えなくもない

・その結果彼女の体から悪霊は追い出され、霧子さんは無事意識を取り戻し、海にさよならバイバイすることができた!ということではないでしょうか。

・そして「るるるく町」はどこかに消えていった...。


・わたしの考えをわかりやすく図解にしてみました。

字が下手くそで申し訳ない

・こういう感じでしょうか。このコミュが異質だと思うのはこういったファンタジーなことをシャニマスというゲームがやってのけたことです。シャニマスは他のアイマスシリーズに比べて落ち着いているというか、適切なリアリティラインを探っているシナリオだと思っていたので、今回のコミュには驚かされましたね(と言っても、前回のイベントコミュ「ロング・ログ・エンドロール」や初期のハロウィンイベント「真夜中発 ハロウィンワールドの旅人」とかも割とファンタジーっぽいことをしていたのではじめてのことではないとは思います)。それもひとえに「幽谷霧子」という人間が放つ不思議な魅力に引っ張られているのかもしれません。


・なんにせよ、かなり難しいコミュで、わたし自身色々な方の考えに触れてあれこれ思索しました。しかし、わたしの考えはまだ完璧ではありません

・それは、なぜ霧子さんが写真に写っていなかったのかが説明できていないことです。魚が鳥に飛びかかると言うのはおそらく何かの比喩なのでしょうが、魚が何を表していて鳥は何に対応しているのかがいまいち掴みきれませんでした。

・これは、あれこれ考えて、良さげなものが思いついたら追記という形で更新できたら良いなと思います。今後のカードで考え方が変わるかもしれないしね。



ゆく

・ここまで長かったですがとうとうこのコミュがTrueコミュです。このコミュのお話は一言で表します。それは過去の出来事がこれからの霧子さんへとつながることを示唆しているお話、ということです。


・ふたたび霧子さんの目の前に現れた「るるるく町」。彼女ははそれを見て「行くんだね」と考えます。背景画像は今回のコミュでは度々出てきているトンネルの画像。そのまま捉えるとトンネルを抜けてどこかに旅立つと言う風に考えられると思います。

場面が変わって事務所にいるプロデューサーと霧子さん。どうやら打ち合わせ?前に事務所に集まっていたようです。霧子さんは宿題をして待つつもりらしい。えらすぎる。

えらい

・用事が始まる前に彼女の邪魔をしては悪い、とプロデューサーは仮眠を取るためと会議室へと向かいます。しかし霧子さんに呼び止められてしまいます。ここで寝てもいいと。ここのシーンはおそらく1つ目のコミュの対応していると考えます。寝ている霧子さんに対して仕事をしているプロデューサーだった構図は、今回は寝ようとするプロデューサーに対して宿題をする霧子さんと言う構図になっています。TRUEコミュは、コミュ1「る、る、る、く、」をかなり意識した作りになっています。

・そして続けて霧子さんはプロデューサーにこう言いました。

・ブランケットを使っても良いと。彼女にとっての大切であろうブランケットを使えるとはなかなかうらやましい野郎だとは思いますが、それは一旦置いておいて。

いや、貸してくれるのはすごく嬉しいよ......!
けど────

────こんなに傷んでいるとは思わなかったんだ
大事なものだろ?俺なんかが────

・プロデューサーは霧子さんのブランケットを見て、「こんなに...ぼろぼろだったっけか」と感じ、霧子さんの提案を断ります。しかし霧子さんの返答は意外なものでした。

・お別れだから。そして、行くんだね。

・こう読むと霧子さんはブランケットもう手放そうと考えているようです。普通に考えれば、幼少期からの愛着があるブランケット簡単に手放すのはなかなか難しいことと思います。しかし、霧子さんは違う。何度もこのコミュで描かれた通り、霧子さんは「続きの時間」を「覚えている」。だからこそ「お祈り」をすることで、ブランケットは彼女の記憶の中で再び生きるのです。だから、霧子さんは

──────だから......一緒に...
祈ってあげて......くれたら......

・とプロデューサーに伝えます。


・そして、ブランケットを手放すと言うのは比喩でもあると考えます。幼少期から使っていたブランケットとはつまり、彼女の過去を象徴するアイテム。これを手放すと言うのは、彼女が未来を進むための一歩のきっかけになり得る出来事なのではないでしょうか。

・これまでの最近のシャニマスは過去を描こうとしている傾向にあると思います。4周年に到達し、(シーズ以外の)アイドルへの掘り下げは大体終わった。そして次に描きたいのはこれから未来に羽ばたくアイドルの姿。そのために今、過去を描いている。最近では田中摩美々さんの過去編であるSTEPコミュが実装されたり、前回のイベント「ロング・ログ・エンドロール」では過去に栄光に固執し続けたい「とことわに」という話があったり。

・今回の霧子さんのコミュは、これまでのそう言ったシャニマスの指針の、一つターニングポイントになりうるものなのではないでしょうか。過去を描き、未来につなげる。シャニマスのやりたいことがこのコミュではっきりと見えてきた気がします。


・そして最後。

・プロデューサーが振り返ってコミュが終わりました。


・......。

・ハァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン!!!良すぎかい!!!!!バカタレ!!!!!この感想を書くために何回もこのコミュを見直したんだけど、見直す度に泣いてしまって作業どころじゃなかったよ!!まったく〜〜〜〜〜〜!!!!!


・最後のプロデューサーが「見えたような気がした」、というのも1コミュ目の選択肢後と対応しています。

1コミュ目の真ん中の選択肢

・コミュ1「る、る、る、く、」の時点では「まだ見えないよ」と言っているプロデューサー。それがTRUEコミュでは「見えた気がしたんだ」に変化している。霧子さんだけではなく、プロデューサー(わたしたち)も一緒に先へと進んでいける。それも一緒に描いてくれてわたしは...わたしは...。本当に嬉しいんです...。ありがとう、シナリオライターさん。本当に最高だ...!



・ついでに掘り下げておくと、どうしてブランケットは急に痛み出したのでしょうか。まあ、もともと傷んでいたというのも考えられますが、ここでは2つの仮説を打ち立てておきます。

なぜ急に

・一つ目は「悪霊を止めるために「るるるく町」のみんなは力を使い切ってしまった説」。これはそのまま、霧子さんに取り憑いた悪霊を追い払うために力を使い切ってしまい、それによって依代となるブランケットが傷んでしまった。という考え。

・二つ目は「プロデューサーという霧子さんを守れる新しい存在が現れたことで役目を終えた説」。「るるるく町」はこれまでに幼少期のころにあった発熱を止める、霧子さんを脅かす悪霊を追い払う、など霧子さんを守るための行動をしてきました。しかしプロデューサーという、霧子を守ることができる(もしくはできそうな)存在が現れたことで、お役御免と成仏してしまったのではないか、という考えです。

・どちらもあり得そうですが、コミュ1の選択肢後や、コミュ3で霧子さんの両親とプロデューサーが重なることをわざわざ強調して描写していたので、二つ目の説が強いのかな、と自分は思います。でも、どれが正しいとかはないので自分で考えてみるの良いと思います。



カード名、コミュ名

・一通り、コミュを読み通してしまったのでもう終わっても良いのですが、オマケ程度に気づいたことも書き記しておこうと思います。


・まず、カード名。「縷・縷・屡・来」はコミュ内でおそらく「るるるく」と読むのではないかと推察できましたが、じゃあどんな意味があるのでしょうか。シャニマスはコミュ名やカード名でオチをつけることもちょいちょいあるので油断は大敵です。

・この名前が発表された時、周りの人は「読めない」「文字化けみたいで怖い」といった意見を述べていました。たしかにホラーテイストなコミュだったので、文字化けからの連想ででコミュをわかりやすくするための狙いもあるかもしれません。


・漢字の意味を調べてみました。

る【×縷】
[音]ル(呉)(漢)

1 細々と連なる糸筋。「一縷」

2 細く、途切れずに続くさま。こまごまとしたさま。「縷言・縷述・縷説・縷陳・縷縷」

3 ぼろ。「襤縷 (らんる) 」
小学館 大辞泉
る【×屡】
[音]ル(呉)(漢) [訓]しばしば

度重なるさま。しばしば。「屡次・屡述」
小学館 大辞泉

・という意味合いらしいです。「縷」という漢字には「ぼろ布」という意味があるそうで。つまりこれは、「るるるく町」のブランケットと解釈することができそうです。

・一方で「屡」についてですが、あまりピンときてないです。正直こじつけ感は否めないですが、「度重なるさま」というところから霧子さんの輪廻転生のような死生観を見出すこともできそうです。そう考えると、上の「縷」にも「細く、途切れずに続くさま」とあるので、「続きの時間」を「覚えている」ということを示していたのではなかろうか。


・「来」に関しては、今回のコミュにはいろんな「来る」があったわけですが、ここではプロデューサーが「来る」というのが正しいかな、と思います。病院に大急ぎで来たり、(おそらく水着でない状態で)霧子さんを助けるために海に入って行ったり。そういうコミュ全体を漢字4文字で表しつつ、「るるるく町」と引っ掛けたのが「縷・縷・屡・来」というコミュ名なんではないのかな、と考えています。


・そして最後にもう一つ。

信頼度9は…許してくれ。忙しいんだ
く『る』
おぼえて『る』
い『る』
ゆ『く』

・そう、2、3、4、TRUEのコミュタイトルの最後の1文字をつなげると「るるるく」になるんです。さすがシャニマス。あっぱれだ。なんてことをしやがる。




おわりに

・気づいたら13000文字を超える、とんでもない怪文書を作ってしまっていました。こんなに長い文書を書いたのは初めてかもしれない。

・でも、このコミュは少なくともわたしを行動させた不思議な力があります。だから少しでも多くの人にこのコミュを読んで欲しかったんです。トワコレ云々のガシャ形態には色々いうべきこともあるかもしれませんが、そこはそれ。コミュやイラストは少なくとも手放しに褒めちぎっても良いクオリティがありました。

・わたしの文章によって「また読み返そうかな」とか「引いてみようかな」と思ってくれたのなら嬉しいな。そして、1人でも多く、霧子さんのことを知ってくれたら、もっと嬉しいな。


・あ!本当に最後!4つ目のコミュでも書いたけどまだまだ理解しきれないところがあります。もしよかったら協力してくれたり、あなたの解釈をnoteにアップしてくれるとすごく助かります。




・では、また。


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