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一番の違いは…?ディズニー映画のリトルマーメイド VS アンデルセンの人魚姫

めちゃくちゃ久しぶりのnoteを何故書く気になったかというと、Twitterに連投するにしても長くなりすぎたからです。

こんにちは、現代美人画 画家、イラストレーター、人魚画家のsioux(スー)です。

私はアンデルセン物語の人魚姫をモチーフ、テーマに水彩画の作品を制作しています。

展示やyoutubeやあちこちで
アンデルセンの人魚姫が好きだ、大好きだと叫んでいます。
幼少時に読んだ絵本(今も手元に大切に持っています)がきっかけで、今私はこのような絵を描いているので、とても大切に思っている物語です。

ひとまず前提として私のスペック

・アンデルセン童話の原作人魚姫が好き。人魚姫オタク。

・ディズニーのリトルマーメイドは二、三回見た。ざっくりとストーリーは覚えているが詳細まではよく覚えていない

・子どもの時ディズニープリンセスを通っておらず、むしろ大人になってからディズニーアニメデビューしたので、アリエルに思い入れ等がない


ちゃんとしたディズニーファンでもない私がディズニーの作品を語るのは大変厚かましいとは思いながらも、ディズニーの世界観は見る人に夢や希望を与えて、最後は愛で終わるハッピーエンドの物語と言う認識で間違っていないでしょうか。

それであってる、ということで話を進めます。

で、この前提からしてすでに、
まずアンデルセンの人魚姫にディズニーの魔法がかかった物語がアリエルのリトルマーメイドだとしても、原作のキモである箇所(恋が実らず人魚姫は海の泡になる、悲劇のパート)がまるっとなくなってしまう部分で全くの別物、別の話なわけです。原作人魚姫ファンの私からすれば。
(オタクめんどくさい、とかいわずお付き合い頂ければ幸いです)

でですね、
全然別の話なのに、
展示やあちらこちらで「人魚姫」というと
昨今ではアンデルセンの童話は知らないけどアリエルは知ってる、と言う人の方が多いんですね。

それはもう仕方ないから良いとして、
そのたびに、「伝わってない…」というガッカリするようなモヤモヤとした思いを常に抱いていたわけです。
ディズニー作品が悪いとかではなく、
アンデルセンの人魚姫の話をしてアリエルが出てくるのは、フルーツパフェ食べに行ったら寿司が出てきた、くらいなズッコケ感があるわけ。(どっちも良いものではあるのです)

だって原作の「恋が実らない」という、ストーリーの肝の部分ですでに大きく乖離しているわけだから!(しつこい)
もうそうなったら、あとはどれだけ何をやろうが気にならんのですよ、別物だから。それで、その2作品「同じもの」とみなされるのは、人魚が王子に恋して足生えるとこまでは同じだけどそこが同じなら大体同じでいいじゃないってこと?
いやー全然腑に落ちないです。

私、コテコテのハッピーエンド大好きですし、リトルマーメイドも嫌いじゃないです、全然。主人公に「死ねーっ」などと言いたいわけでもないです。物騒です。

自分でも「変だよなあ、なんでモヤモヤするのかなー。別物ならそう割り切って気にしなくてもいいのに」と思っていたのですが、

そのモヤっとする最大の理由が、
今回の映画を見て、すっかりはっきりしたのです。

本当にスッキリしたからこんな文章にも書いちゃう。なんか書きながら、誰かもう言ってるかもしれん。とか思ってきたけど、気にしないで書きますね、そういうこと言い出すと表現なんて何にもできなくなっちゃうし。

「潮の間に」sioux 水彩作品
人魚姫をイメージして描いた透明水彩作品

ディズニーの実写版リトルマーメイドを観てきた

それでですね、
実写版リトルマーメイドを観てきたわけです。

観たら、私の中にずっと蟠っていた違和感が明瞭になりました。

腑に落ちて、作品を心から楽しむ事ができたのです!すごい快挙。
そうだったのかー!ってかんじ。
ネタバレというほどのネタバレはない…と思っていますが、これから観るのを楽しみにしてるので前情報要らない!という方は、ぜひ観てから読んで頂けたらと思います。

二人のヒロインの違い

原作アンデルセン物語の人魚姫と、
ディズニーのアリエルの共通点。
これは誰もが分かると思います。
純粋さ・一途さと、行動力、キュリオシティ
人間の世界を夢見る心。それが恋につながって…
という部分ですね。

そんなこの二人には、
明らかな違いがあるのです。

それは、「キャラ」設定。

原作の人魚姫は、物静かな所謂不思議ちゃん。
心に鋼の強さと情熱を持つ少女で、属性としては「陰キャ」です。

一方でアリエルは、
チャーミングでハートフルで、主人公オーラを纏う愛すべき「陽キャ」。

そう、陰と陽が正反対のキャラ設定!

そこが私の腑に落ちなさだったんです。

エヴァンゲリオンとワンピースみたいな感じですよ。わかる?
綾波レイとヤッターマン2号とか思ったけどニュアンスがちょっと違うかなと思って、敢えて作品で比較したんですが、そっちのがしっくりくるかな…まあとにかく全然違うよー!ということが伝わればいいんです。やってること同じでもタイプ全然違うの。

実写版リトルマーメイドはアリエルを表現する映画

さて話を戻すと、
今回の実写版のディズニーのリトルマーメイドを観て、ストーリーや展開がこのアリエルの「陽キャの魅力」を発揮するためにあるように感じました。

原作の人魚姫も、
命を燃やして恋した強い真っ直ぐな情熱の炎を、暗く冷たい海や白い肌の対比、痛みの表現によって輪郭を明瞭にさせていて
主人公の魅力がジンジンと伝わってくる物語なのですが、
話のキモはあくまでストーリーの内容であると感じられます。

ところが、実写版ディズニーのリトルマーメイドを観てみたら、ハリー・ベイリーのアリエルの魅力を見せるために、他の全てのものごとが存在しているように感じるのです。

7つの海を支配する海の王の娘であることも、派手な魔女のアクションも、王子のいる国柄の設定も、彼女のおひさまのように輝く陽キャの魅力を全編通して表現をサポートしている。

その表現は、ディズニーのプリンセスストーリーとして正しいものであるように思うのです。

ハリー・ベイリーのアリエル最高に可愛かった。

色々物議のある作品ですが、
世界じゅうの子ども達に新たな価値観と夢を与える素敵な映画だと思いました。

日本は人種差別ないとは言え、私でもアフリカ系の人魚姫の見た目に最初違和感はありました。
初めて主人公のビジュアルだけを知った時の率直な感想は「えー、いやだなあ」って思ってしまった私。やだー固定マインド。
人魚姫がこんな大きな扱いで映画になるって聞いて、自分に都合のいいイメージで想像していたんですよね。
ディズニーは原作と違う!とかいっておきながら、こういう固定概念の皮を被った偏見が私の中にもありました。
自分自身にショックですが、ここは丁寧に言わないといけない。アフリカ系を差別しているつもりがなくても、肌の色が黒いとなんか違う、と無意識に思ってしまう。それはすでにマイクロアグレッションです。イメージ、ビジュアルは大切なものであると同時に、クリエイターこそ柔らかな発想でいたいと思う。

この映画館で上映を実際に見ている時に、ハリーベイリーは完全にこの世界のプリンセスアリエルで、わたしはアリエルにとても惹かれていました。
そしてこの実写版リトルマーメイドが世界に新しい価値観を与えた、それが現れた瞬間に立ち会えたのだ、と心が震えているのを感じました。

やっぱり観てから話せっていうことです。

小さな頃私が人魚姫の絵本を読んで、夢見たのとおなじように、
世界中の女の子がこのリトルマーメイドを観てアリエルに胸をときめかせているのが簡単に思い浮かぶのです。
次の世代に、新たな夢を与える作品が誕生したんだなあ。

ちなみに蛇足とわかって言いますが、
原作から言えばね、
人魚姫は鉛のような色をした北の海に棲んでいるだろうし、そうしたら肌は白く、でも珊瑚や色鮮やかな熱帯魚だって現れるはずないんです。
仲良い魚がいるとしたらデンマークらへん海にいるのは…
ニシンとかですかねー、フランダー。
それとか、カレイとかタラ。わーん映えない。
しまいにはカニやヤドカリが喋って踊るかよって話で、結局フィクションって、創作って、そういうツッコミ全部なしでしょ。
肌の色がなんなのよ。そういう蛇足でした。(日本人ならではかもしれないけど)

新たなものが生まれる時、世界が動くようなとき、驚き戸惑いで反発も起こるものだとも思う。

もう一つの蛇足というかおまけというか
タイトルにVSってつけたのは特に意味があるわけではなく、5歳の子どもが絶賛ハマっている「どっちが強いシリーズ」を思い出したからです。

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