捻じ曲げたら戻して

その日は寝付けなかった。カーテンを閉め忘れて、街灯が窓から入り込んでいて、眩しいけど、窓はベッドから遠くて、布団から出るのが億劫だった。そんな夜だった。

降参したのは2時過ぎだった。スリッパは置いてけぼりにして、ぺたぺたと裸足の音を鳴らして漸くカーテンを閉めた。やっと真っ暗になった部屋で眠りについたのはそのすぐで、もっと早く閉めておけばよかったと翌朝寝不足の頭でぼーっと思った。

面倒くさがり屋の私はこういうことがよくある。3分で終わることを始めるのに30分かかったりする。「あー、こんなにすぐ終わることにどんだけ時間かけてたんだ」って後から思うけれど、だいたいそのセリフまでがワンセットで、学習の欠片もない。

性格ってそんなものだと思う。直した方がそりゃあ良いのは当然だけれど、気を抜く瞬間だってあっていいんじゃないか。これは頑張っている自分への甘やかしのひとつで、必要なことなのだ。もしそこがオフィスで、上司から仕事を頼まれていたのだとしたら、たとえ面倒くさい内容だったとしてもすぐに取り掛かるだろう。日々一生懸命に捻じ曲げている性格はきっとどこかで折れてしまって、修復には時間と手間がかかる。無理せず元の自分に戻してあげるメンテナンスタイム。今日から長すぎる助走の時間をそう呼ぶことにすると決めた。

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昨日眠れなかった時の出来事を小説の冒頭みたいに書きたくて。いつの間にか言い訳エッセイになってた。

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