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rioyama
ここ数日誰とも喋ってなかったと気づいた出来事
正確には、猫とは喋っていた。
猫が会話の相手になるのか、と言われると自信はないけれど。
夕方、ようやく重い腰を上げた。
昨日も一昨日もその前の日も、新聞を取りに行っただけで外に出ていないし、今日はいよいよ買い物にいく必要があった。“ステイホーム”をしているとウイルスとは無関係に外に出ることが怖くなる自分を発見しつつ、億劫さを連れてスーパーへと歩いた。車も自転車も、散歩中の人も、工事や整備の作業員の人たちも2か月前と同じくらいの数存在していて、ウイルスの脅威は過ぎ去ったのかもしれないと錯覚しそうになった。
体が重いなあ、とか思いながらスーパーへ行き、買い物を終えて外に出た。私の少し前を、片方の腕で段ボールの箱(レジ袋の代わりになる無料の段ボール)を抱えたおじいさんがいて、もう片方の手で備え付けの消毒液を使おうとしていた。誰がどう見ても、片方の指でプッシュし、その同じてのひらに消毒液を受けるのは至難の業だ。おじいさんは何度かトライして、あきらめようとした。
「あっ! 出しますよ」
私はとっさに後ろから声を掛けた。
「わ、わ、すみません」
「いえいえ~」
シュッ、シュッ、
たったそれだけの会話だった。でも淀んでいた空気が切れた。
来た道を戻りながら、私はなんだか満たされていた。
人は、人を助けることが本来好きだしそのために生きているはずだから、大きなそれでも小さなそれでも、その機会を与えてもらえることはありがたいことだなと思った。
――としみじみしていて、気がついたわけ。
ひさしぶりに人と喋った!
ああ、そうか。
私、人に飢えてるんだ。
自覚なかったけど。
・・・というはなし。
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