ゴールデンカムイ尾形百之助考察 カバー絵編

ゴールデンカムイのカバー絵は、タロットカードになぞらえられているので、タロットカード的解釈による人物考察。

カバー絵の寓画考察と、タロットカードの寓画やキーワードを元に考察

尾形がカバー絵なのは
8巻【力】
17巻【星】

8巻カバー絵考察

垂直に武器を持ち安定感のあるポーズで座る構図は、女教皇、女帝、皇帝、教皇、正義と権力のある者のカードの構図。

空の色繋がりで、4巻鶴見中尉と対になる構図で手のポーズも似ている。
鶴見中尉はマルセイユ版の皇帝が元ですが、尾形はウェイト版の皇帝。

黄色は黄金や光を表す色で、ウェイト版タロットにおいては、避けようのない自然の力や権力の証として各カードに必ず使用され、全体を支配する色。


裏は猫を抱えた江都貝くんの通り、飼い猫の巻。
 
飼い猫=乙女に懐柔されて大人しい獅子。
 
マルセイユ版は旧来のスタンダードなタロットカードですが、ウェイト版は新解釈で爆発的に売れスタンダードの仲間入りした比較的新しいタロットカード。
ゴールデンカムイの作中年代では発売されていないので、尾形やアシリパさんにウェイト版の意が当てはめられているということは、未来を担うという意味合いかと。

力のカード考察

キーワード
・懐柔
・剛毅
・力量

力、別名剛毅のカード。

乙女に懐柔され大人くなる獅子もとい、狼。

狼となると、性的な意味合いで女性を襲ってしまう的な感じありますが、まさにその通りかと。 

心に狼隠した猫。

プレッシャーという意味もあるので、杉元や鯉登少尉、有古からしてみれば、尾形は存在自体がプレッシャーになる。

それぞれへのプレッシャーのかけ方が、尾形の魅力でもあるし、作品のメインでもある。


7つの大罪との関連

鶴見隊の兵士から、コウモリ野郎と呼ばれましたが、8力のカードに描かれている獅子と合わせて、傲慢を表す。

傲慢=プライドが高いとも言えるので、七つの大罪のうち、それほど悪い意味を持っていない罪でもある。

むしろ、傲慢が引き金で、憤怒、嫉妬(羨望)が起こり殺されることが多い。

嫉妬→自分の愛する者の愛情が他に向くのを妬む感情
羨望→自分の持っていないものを持っている他者を恨み貶めようとする感情

杉元や鯉登少尉の尾形への敵意は羨望。
最近本誌で明かされた宇佐美→尾形は嫉妬かなと。もしかしたら別の感情かもですが。

傲慢を司るグリフォンは、上半身が獅子で脚と背中の翼が鷲という聖獣。
鳥類の王でもあり、百獣の王でもあるので、王家の紋章でもおなじみ。

グリフォンは黄金を発見し守る聖獣で、黄金に近づく人間を引き裂く。

そのままの意です。

アシリパさんの回で書いた、世界の女神の後ろに獅子、そして鷲がアシリパさんを連れ去るの通りでもある。

女神ネメシスの馬車を牽く聖獣でもある。
そのためか、戦車を牽く牡馬と敵対し仲が悪い。

戦車=キロランケ…

ネメシスは復讐と神罰の女神

北欧神話の女神フレイアは、猫の引く車で移動しますが、こちらは黄金を生み出す女神の異名を持つ。

2巻でアシリパさんがレタラに乗って移動した通り、アシリパさんの足となり「先に進みたい」という、アシリパさんの行く道を戦車や馬車を牽く者として20巻(審判)でアシリパさんの手を引く尾形。
馬車や戦車は真っ直ぐ道を進むものなので、そういう意味なのかと。

17巻カバー絵考察

獅子の如く咆哮する尾形。
現実的な背景が多かった中で、悪夢とも地獄ともつかない場。

1巻の杉元のすでに地獄に堕ち、炎に包まれるカバー絵との対比なのかも。

こちらは、どちらかと言うと地獄の入り口的な感じ。

アシリパさんの回で考察した通り、銃剣をもつ尾形が正義の象徴的となれば、やはり地獄の入り口で地獄に落とす人間を選別する側?

裁くのではなく地獄に落とす。
マタイ福音書の主の「人を裁くな。自分も裁かれる」の言葉通りなようで、鶴見隊内では、正当に人を裁く立場と権限を持ち合わせている尾形。

裏は勇作さん、8巻では江都貝くんという死ぬ者でしたが、こちらは尾形が殺した者

勇作さんの話に関しては、勇作さんの父以外は、尾形を裁くことができない。

「人を殺せば罪悪感に苦しむ。罪悪感のない人間など、この世に存在してはならない」という言葉は、そのまま亡くなった勇作さんにも当てはまるし、自刃した花沢父に返った。

多数の部下を犠牲にし「何の罪悪感も持たないのですか?」という尾形のプレッシャーによって、花沢父は最後まで反省はしませんでしたが自刃し、責任を取って自刃したと美談に仕立て上げられ、むしろ後から責任追求され退陣するよりは潔いと祭り上げられた。

勇作さんは次の戦争で指揮官になって、部下を大量死させ、自分だけ生き延びるという醜態を晒さずに済んだ。

勇作さん、花沢父共に名誉は守られたまま亡くなった。
名誉が地に堕ちる前に、尾形と鶴見中尉が救ったとも言える。

尾形が勇作さんの悪夢を見るのは、絶対にそうなるという保証はないし、先の予測だけで殺してしまった後悔自体はある、トロッコ問題。

勇作さんを殺すということは、尾形は次の戦争を見据えていて、死ぬまで軍人という職を全うするいうことでもあるし、部下を無駄死させない指揮官になるという父(鶴見中尉)への決意表明でもある。

勇作さんは父の言いつけ通り、不殺を貫き通しましたが、尾形は「殺すな」という父(鶴見中尉)の言いつけを破ったようで、殺すことでその期待に応えた。
尾形もまた父(鶴見中尉)の期待を背負う子で、その責任を果たそうとする子でもある。

軍人としてのプライドと、王としての父のプレッシャーという、尾形の獅子の面が出ているカバー絵。

ライオンのオスが群れの王かどうかというのは、アシリパさんの回で説明したとおり実際はそうではないですが、狼の群れのオスは、新たな群れのリーダーになるため父から独立しなければならない。


星のカード考察

キーワード
・解放
・希望
・先見

 
中のテーマはキーワード通り解放=アシリパさんに介抱される尾形だったり、星座=正座する尾形。  

カバー絵も力の解放。

カードの禺画は二つの水瓶の水を流す女性の絵。
片方は、大地に流れ生命を育てる水、片方は水場に流されただの水になる。

生産的なのか非生産的なのかの対比。

水を流す女性はアシリパさん。
水瓶の水は大地に流されるほうが尾形、ただの水になるほうが杉元とも取れる。

女性の後ろに輝く8つの星の中でひときわ大きく輝く星は、全星の中で最も明るい星のシリウス。

シリウスは、ひときわ明るいことから太陽星、イヌの星座をかたどる星の一つなので犬星。
中国では天狼星と狼。アイヌにも独自の星座があるらしいですが、やはり狼に例えられるのかも。狼の星座の話は本誌に出てきましたし。

別名が多く、鹿狩りの狩猟犬としての神話もあるので狩猟星とも。

そう見ると、22巻の後ろでアシリパさんを守るレタラは星の寓画のシリウスとも見れる。 

キーワードの通り希望と絶望、吉凶を判断する人物としての尾形の役。
星(star)のタイトル通り、トリックスターとして、善悪をひっくり返す役でもある。
 
まとめると
2巻アシリパさんとレタラが、力
8巻尾形がウェイト版の皇帝
11巻アシリパさんと17巻尾形が正義
22巻アシリパさんとレタラが世界、星


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