ゴールデンカムイ 278話感想と考察2


花沢家のお家騒動が描かれたことによって、鯉登家や鶴見家のことも浮き彫りに。

鶴見家=尾形、宇佐美、月島が鶴見さんが育てた自慢の息子3人なのだなとしみじみ…宇佐美…

音之進、これからお世話になる陸軍の鶴見さんには挨拶に行ったのに、そこにいる兵の尾形とすれ違っても、挨拶一つしない候補生音之進と、兵が目に入ったら即敬礼な候補生勇作さん。

先輩が後輩に先に挨拶してはならないから、尾形は挨拶しない。ナメられるから。

馴れ馴れしい、勇作さんに対する尾形の苦労も何となく…
何でアイツ、勇作殿には柔らかい態度取るのに、俺達には異様に厳しいんだ。
になるから「規律が乱れますから」になる。

下の者に対して常に態度が一定でないと、兵の信頼を得られない。

逆に、人当たりの良さがウリの勇作さんは、誰とでも仲良くしなければならない。

鶴見家、柔道強い宇佐美と、狙撃の名手な尾形で棲み分けしてる。
尾形柔道だけでなく剣道も強いだろうなと…「元気だせ」回、山猫尾形の特急便回、鶴見中尉と尾形でホクロ君になる回の尾形得物持つ左手の形してる。

宇佐美VS尾形…尾形のフェイントに乗る宇佐美と、宇佐美が本気で投げてないことに気がついた尾形。

柔道同門な宇佐美と尾形だからこそできる、やり取り…


陸軍と海軍の格差。

拠点の少ない海軍で鯉登父より上はそうそういないから、独立した指揮権があるけれども、陸軍は師団の数だけ師団長がいて、結局は中央の腰巾着で独立した指揮権がない。

だから、勇作さんは人間関係第一で周囲に対して腰が低いけれども、音之進は自分の父より上をあまり見たことがないから、尊大な振る舞いをする。

まぁ…親の七光通用しない陸軍に入ってて、それはないよなと。鯉登家が凄かろうと陸軍では直接兵の出世に関わる中央の腰巾着な花沢父のほうが上なわけで、だからどうした…と。

陸軍経歴上な月島や尾形に対して挨拶できない、尊大な鯉登少尉が指揮官って考えただけでも兵の信頼得られない…

腰の低い鯉登少尉だったら、漫画として高慢で尊大な金持ちボンボンキャラとして成り立たないけれども、今や、尾形に地獄に突き落とされて、立ち回り下手こいたら月島に制裁されるとビビりまくってるので成立している。

鶴見少尉が少尉なの「少尉のほうがやりやすいんだろ」って第一師団の師団長にチクリと言われてる。

そもそもが、特務機関で情報将校という名の諜報員なので、上級将校では兵の個々を把握しきれない、上の締め付けが強くなるからという。いちばんの下の兵に近いのが少尉。

事務仕事がメインな少尉より、生活指導と風紀取り締まる上等兵と、訓練で兵しごきまくる軍曹のほうが、兵には恐れられてるというのがよく分かる…

第一師団長も、あまり鶴見少尉に兵持たせたら何されるか分からないというのも相まって、互いに都合がいいから少尉なのだよなと。

本来なら日清戦争帰りで、昇級してもおかしくなかったから余計に。

日露戦争後は鯉登少尉を迎え入れるために昇級受けたけれども、日清戦争後の昇級は自ら辞退したんだなと…

競争率で言ったら、そりゃ競争率の高い中央の将校のほうが優秀だけれども、指揮官となると…

武士捨てた薩長がメインなわけで…

戦争に最も重要な、戦略戦術の研究や諜報活動が行われてたのは、日露戦争までという話。

必ずしも将校になるのに士官学校は必須ではない。ましてや士官不足の北海道ならなおさら。

第七師団が最強たる所以は、職業軍人の多さ。
季節労働者が多数で、職業の選択肢がないからこそ、安定職の軍人に自ら志願するわけで。

そりゃ、イヤイヤ徴兵された兵が大半を占める中央と比べたら、責任の重さもヤル気も違う…となるわけで。
そして、戊辰戦争負け組士族の流刑地だったので、戦闘においては何かしらの武道経験者が多くて戦闘に躊躇いのない軍人武人の優秀な血が流れてる。

だけれども、花沢師団長は勝ち組の中でも窓際、武士捨てたから剣なんて…という温度差…むしろ、戦争で優秀な兵の手柄を中央のものにするため、中央から第七師団長に任命されてるような人。

中央は元々マタギや猟師のいる地方ならまだしも、銃見たことも触ったこともない所から、兵士育ててるっていう…
ましてや、戦闘における心得なんてない農民に対して。

でも、そういう基礎0からのし上がった人が、自ら志願して軍に入った月島なのだよなと。

菊田さんは…ヤル気はそんなに無いけれども家のため上の役職についてる人…

農村部では、宇佐美が柔道習ってたり、佐一や寅次も柔道習ってたりと、柔道はメジャーな習い事なようですけど、実践で実力発揮できるのは、杉元や宇佐美のようなごく一部という…

鯉登少尉は薩摩剣士の父から直接剣道叩き込まれてるようですが、勇作さんが剣を抜かない理由は剣を幼年学校と士官学校で習った程度だから?

武人武士の家系と、出世のために剣を捨てた家との差。

拳銃は護身用にですが、小銃は体験で触ったことある程度かと。

鯉登少尉が剣強いかというとよく分からない。
上下関係の忖度もあって、本人は真剣勝負のつもりでも、相手が負けてくれてるというのもあるので、強いのかは謎…

斬ったのは一般人ですし。

将校は軍刀メインなので、柔道のほうはどうなのだろう…
基本剣道も将校の場合護身用なので、必ずしも戦闘強い必要はないのですけど、指揮官として最低限自分の身は自分で守れないと、相手は真っ先に指揮官殺そうとしてくるという、戦場でそのお手本となった勇作さん。


尾形、剣道も柔道もできて、それでも、身内を制裁する狙撃手という汚れ仕事なのは、花沢家と鯉登家は恥を晒すなら死んでこいですが、鶴見さんは戦争から生きて帰ってこそな人なんだなと。

鶴見家…3人のうち…ふたりは死にたがり…尾形は「何が何でも死なん」ですが…

鯉登父は長男亡くして…ですが、花沢家は家の恥の概念だけは強かった。


花沢、鯉登、鶴見という三家の長男の違いが浮き彫りに。

鶴見家の長男はやっぱり尾形。

剣を捨て腰巾着でのし上がった花沢家、薩摩武人の鯉登家、下級武士の薩摩に地位を奪われた名門士族の鶴見家…


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