ゴールデンカムイ杉元佐一考察 カバー絵編

タロットカードの大アルカナは全22枚。

全種揃い23巻から新たな展開なので、22巻までのカバー絵と、タロットカードの寓画やキーワードを元に考察

杉元佐一がカバー絵なのは 

1巻【魔術師】と【愚者】 
10巻【運命の輪】
20巻【審判】

第1巻カバー絵考察

タロットカードとは、絵を読み解くものなのでカバー絵の考察から

表は炎に包まれる不死身の杉元

不死身=不死鳥、フェニックスを表しているのかと。

毎夜自ら炎に飛び込み、朝になると復活し永遠の時を生きる。

永遠の命ということから、錬金術の賢者の石とも関連があるとされているので、タロットカードの魔術師と関連づけられます。

悪魔として書かれることも。

鳥の姿の時はどんな言葉も詩になるが、人間の姿の時は聞き苦しい声で喋るという悪魔。

自己保身のために奇麗事言う辺りと、言い訳がましいところや時々口汚いところはそういう、ことなのかと。


裏は獰猛な羆

人を殺した羆は地獄行き、人を殺した羆は人しか殺せなくなるウェンカムイの杉元。

そのままです。

杉元は動物殺せないですが、自分の利益のために人を殺すのは平気。

羆も食料として人を襲う。

そして、自身はウェンカムイですが、罪のない羆もウェンカムイにし穢した。

地獄の炎
仏教用語の劫火は、世界が破滅する時に、この世を焼き尽くす炎 

業炎は悪行が身を滅ぼすことや、罪人を焼く炎のこと。

七つの大罪との関連
フェニックスも熊も、七つの大罪においては、怠惰を司るもの。

杉元の中での最大の罪は怠惰

対応する悪魔は、人(特に女性)嫌いの名を持つ悪魔のベルフェゴール

悪魔の間で結婚は幸せなのか議論になり、女性不信なベルフェゴールは人間界へリサーチしに行き「結婚なんてロクなものではない」という結論を出した悪魔です。

そのことから、ベルフェゴールの探求は、不可能な企てを意味する慣用句となったそうで。

最初から、持論を証明するためにリサーチに行ったのだから、サンプルも当然不幸そうなところばかりなのは、悪魔の性分かと。

ここは、梅ちゃんに裏切られたと思い込んでいる辺りに直結するし、金塊を手にするには、アシリパさんと結婚しなければならないというのから、逃げ出したい杉元という部分に繋がるところ。


魔術師のカード

キーワード
・始まり
・創造

カードの1番目ということで、そのまま始まりを意味するカード

ウエイト版は賢者の石を作り出そうとしている錬金術師ですが、マルセイユ版は魔術師=magicianの通りマジックをする人、16巻で不死身のハラキリショーとそのままで描かれている通り、杉元はマルセイユ版の意味合いが強い。

カバー絵自体が怠惰を意味するので、死なないというマジックを見せることによって金を集める人という、メタ的な部分も。
杉元の不死身は、タネも仕掛けもないのでマジックではないですし、金稼ぎに結びつかないですが、観客(読者)を楽しませなければならない大道芸人でもある。

10巻カバー絵考察

戦闘する杉元。

背景の赤い木から、17巻の尾形のカバー絵とセットになっている絵

裏はアシリパさん

カバー絵の尾形と杉元を向かい合わせにすると、対立する構図に。

裏のアシリパさんを右、尾形を左に並べると一つの絵に。

カバー絵は毎回1枚絵なのですが、10巻を1枚絵として見ると、杉元とアシリパさんの目線が違う方を向いている。
アシリパさんと尾形を並べると、同じ方を向いている。

杉元は金のほう、アシリパさんと尾形は同じ目的という示唆。

攻撃の軌道も斜め上から下

実は1巻と着ている着物の色が違う。
1巻は黄色。 
冬は赤みのかかった黄色(梔子色)、夏は黄みの草色なのかも。

黄色は裏切り者のユダが着ている衣の色、聖書において黄緑は病気の色だったりと…色々意味深。

運命の輪の考察

キーワード
・運命
・流転

カバー絵が上から下へ振り下ろす攻撃から、下へと向かう事への示唆

カードとの対応はマルセイユ版の上昇する善玉はアヌビス、下降する悪玉はテュポンとなっています。

テュポンは運命の女神を脅し、願いが叶うという「勝利の実」を手に入れたが、食べた途端に力を失う。
実は女神が渡したのは、決して望みが叶うことがない「無常の実」だったという話も。

この運命の女神は、運命の糸を司る縁結びの女神だそうで、運命の赤い糸とも繋がりが。


20巻カバー絵考察

鬼の形相で杉元の向かう先には、尾形に手を引かれたアシリパさん。 

デュポンの神話そのままの絵なのが20巻、デュポン杉元から手を繋ぎ逃げる尾形とアシリパさんは、魚座の神話から。

アシリパさん=アフロディーテ(ビーナス)
尾形=エロス(キューピッド)が、テュポンに襲われ、魚に変身し離れないように尾をリボンで結んで逃げ切るという話

アフロディーテとエロスは母と子ですが、尾形が子供のようにアシリパさんに甘えたり…

杉元とアシリパさんコンビ復活の巻なのですが、尾形と逃避行を続けるアシリパさんなのは盛大な皮肉。

唯一、向こう(杉元側)とこちら(アシリパさんと尾形)二つの視点の合成という1枚絵なようで、1枚絵ではない絵なのも皮肉

物事は一度に、複数方向から見ることができない。

審判のカード考察 

キーワード
・復活
・更新

最後の審判で、天使が復活する人を選別するラッパを鳴らす寓画。

マルセイユ版は、中心の棺から蘇った人物は死体のように青ざめたまま、女性と老人の祝福を受ける。

杉元の異名通り、不死身の杉元=ゾンビとも取れる絵。

緑の三十八年式外套の杉元とそのまま。

カバー絵は、ゾンビや殺人鬼から逃げる尾形とアシリパさん。

もう一つ、杉元が189話扉絵のキロランケと同じような構図になっているのもポイント。
サブタイトルは血痕、瀕死で足取りの重いキロランケとの対比で、殺す気満々の
杉元。

ラッパ=音なので、同音異字の結婚と変換したら、尾形とアシリパさんの結婚とも取れる。
そこに関しては、2巻の時点で尾形は許婚だと説明済みなので…結婚に否定的な杉元と、幸せな結婚を目指している尾形というやはり皮肉。



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