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グッバイ〜僕はバンドで生きていく〜

名古屋から戻ろうとしている新幹線の中で連絡を受け取った。

永眠しました。

僕は最後ケニーと呼んでいたから愛犬はケニーと呼ぶことにする。
ケニーが亡くなってしまった。
僕にとっては弟みたいなもんだ。
小学四年生の時に我が家に来てくれてそこから17年間共に暮らしてきた。
ケニーが寝ている時に頭を寄せて話を聞いてもらっていてそれで心がだいぶ軽くなっていた。
「ケニー、あのバカ上司がまたとんでもないこと言ってるよ。こんな目に合うくらいなら何も出来ない人として生まれた方が楽だったよ。」
「ケニー、これめっちゃいい曲だと思うんだけど全然人に聴かれないよ。いい曲書くだけじゃダメなんだなぁ、俺も一緒に昼寝しようかな。」
「ケニー、初めて女にフラれちゃったよ。思ったよりダメージくるし、嫌なことばっかり考えちゃうね。お前みたいに食う寝るだけですごく幸せな顔できたらきっと楽なんだろうなぁ。」
いつも自分勝手に話しかけていた。
あと、初めて書いた曲もケニーに聴いてもらってる。
なぜか人の隙を見てギターを舐める変わった犬だったから、歌ったりギター弾いたりしていると聴きに来てくれた。
人に聴かれるのは恥ずかしかったけど、誰かに聴いてもらいたかったからすごく救われた。

あと、圧倒的モフモフみっちりボディは埋もれても抱きしめて撫でても癒しをくれた。
1人よがりだけど本当に気が楽になった。

いなくなって大切さに気づくなんてありきたりな話だけどまさにそれだ。
ケニーのいない生活を生きていけるか自信がない。

そして嫌なことは重なるもんで、うちのメンバーも怪我したり、だからこそ落ち込んじゃいらんねぇって思いもある。
けど、感情なんてもんは気ままなもんで落ち込みは消えない。

ぐっちゃぐっちゃだけど、CDの進捗連絡もある、仕事の連絡もある、その他諸々の連絡もある。
なあケニーよ、名古屋から戻ってきた後葬儀の手配しながらそうやって仕事もし続ける僕は冷たいやつかな?
なぁケニーよ、とりあえず食ったり寝たり気ままにあの世で過ごしてくれよ。
なぁケニーよ、たまに仏壇に話しかけるからそれは聴き流してちょうだい。
なぁケニーよ、明日は友達の結婚式で名古屋に歌いに行くんだよ。切り替えて頑張らないとだ。
なぁケニーよ、お前がいないとなんか気が抜けちゃうけどなんと生きてるよ。

これまでありがとうね。
お疲れ様。
僕も天国に行けたらそこでまた会おう。

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