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わたしの舌がばか

用事があったので神保町に行った。

神保町など神田周辺は、昔の江戸の名残を感じることができるので、大好きな場所だ。

大通りは、大きなビルとチェーン店ばかりで、そんなに面白くはないのだが、ちょっと横丁にはいると古いお店がたくさんある。またそんなに古くはないと思うが、マニアックな店もあり、ただブラブラしているだけでも楽しい。

もともと目的を持たず、ブラブラするのは得意中の得意。

本当は早く帰って、いろいろな用件や仕事をおわらせたほうがいいのだろうが、ふと気が付くと、面白そうなほうにフラフラと心と体が引き寄せられていく。

用事がおわったのが、夕方、空腹の時間だったので、ではなにかこの土地に折角きたのだから、ここらで有名なものでも食べていきましょう。

神田神保町といえば、カレーやロシア料理などのお店が有名だ。

だから、最初はその類のお店を探していたのだが、あいにくわたしの気を引くようなお店を見つけることができなかった。

そうこうしているうちに、考えるのが面倒になり、さらに空腹の度合いも進んでいく。

そうなるともうジャンルはなんでもいいから、気になったお店に入ろうとした瞬間、老舗の天ぷらやさんが目に入った。

いや目に入ったというより、天ぷらを揚げる良い香りが私の胃袋を刺激したのだ。

天ぷらといえば、会社近くのうどん屋の天ぷらが、あまりにもおいしかったことから、ここ最近のわたしのトレンドになっている。

あまり連続で揚げ物を食べるのは、よくないが、前回てんぷらを食べたのっは、確か2週間以上も前だったはず。もう禊は十分だろう。

わたしが入ろうとしているこの天ぷらやさんは、昭和の初期から続いているとのことで、外見にも風格がある。しかも老舗にありがちな上から目線のお店ではなく、なんとなく庶民にも親しみやすい雰囲気でもある。

これは楽しみと、カウンターでやさい天丼を注文した。

そして出された天丼は、

「・・・」

いやきっとわたしの舌が、洗練されていないのだろう。

次に神保町にきたときは、しっかりリサーチをしてから、カレーを食べようと決意した。



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