【シネマで社会勉強】No.16~ヤクザは家族? 映画「ヤクザと家族 the family」感想【若干ネタバレあり】
久々の投稿です。コロナの影響もありご無沙汰しておりました。
今回ご紹介するのは公開されたばかりの日本映画「ヤクザと家族 the family」です。
ポスターがどことなく、アカデミー賞受賞で話題になった韓国映画「パラサイト〜半地下の家族」っぽいですね。
ポスターとタイトルから、かなり家族のきずなを前面に出した作品のように思わせますが、自分としてはそのへんはさほど大きくはないような気がしました。
それよりもヤクザ組織というのが、組長をオヤジと呼んだり先輩をアニキと呼ぶなど、かなり疑似家族的な集団なのだなあという感じを強く受けました。
なのでこの作品のタイトル、「ヤクザは家族」のほうが適切ではなかったかと(笑)。
冗談はさておき本作の舞台は静岡県の架空の町。時おり映る白煙を噴き上げる巨大な煙突は富士市の製紙工場あたりのものでしょうか。
この街で綾野剛演じる主人公がたどる1999年から2019年までの20年の歳月を3つのパートで描く群像ドラマです。
20年ものあいだには、そりゃもういろんなことがあります。
おさない子どもは半グレの若者に育ち、景気がよかった街は衰退が進み、法律が変わってヤクザのシノギも厳しくなり、羽振りよくブイブイ言わせてた人間も打ちひしがれ、年老いて病や死が目前に迫ります。
過去の因縁が現在に影をおとし、世代は交代して同じような悲劇を繰り返す‥‥3つのパートはどれもふんだんにエピソードが盛り込まれ、見ごたえ充分です。
少し前に、やはり20年という時の流れを2時間の尺におさめた「糸」という作品を観て、かなり駆け足な展開に頭がクラクラしましたが、
https://note.com/sio_note/n/n41436b95d80
「ヤクザと家族」もそこまでジェットコースター的ではないものの、もう少し深く突っ込んで観たい部分がいっぱいでした。
これは不満ではなく、どのエピソードも魅力的なのでもっと観せてほしくなる、という意味です。
たとえば寺島しのぶ演じる居酒屋のおかみなんかは、もう少し出番があってもと思ってしまいました。
息子とのやりとりとか、もうそこだけで物語がひとつ作れちゃいそうな。登場人物それぞれのスピンオフができそうなほどストーリー性豊かなのです。
いっそこの映画、3つの時代ごとに三部作でつくってほしかったですね、「ヤクザ・サーガ三部作」って感じで(笑)。
じっさい3つのパートとも、微妙にカラーが異なるのです。
はじめはやんちゃな青春ストーリー。次はヤクザ社会をのし上がるピカレスク・ロマン。最後は時代の波に取り残されていく悲劇、みたいな。これはもう、ひとつずつ独立した作品にしてもオッケーでしょ。
多少駆け足な感もありますが、これだけ多彩なドラマを収束へとグイグイ引っぱっていく、藤井道人監督の脚本はかなりの力技です。
クライマックスではいくつもの破局が一気に押し寄せ、芝居の世界でいう「屋台崩し」のようにあらゆるものがガラガラと崩れ落ち、観る者を打ちのめします。
(ひとつだけ、なんでこんな悲劇の発端となるようなツイートをしたかなーという疑問は残りましたが)
ヤクザの世界をベースにして家族を、時代を、社会を深く描いたこの作品、やくざものジャンルのひとつの完成形ではないでしょうか。日本版「グッドフェローズ」「ゴッドファーザー」といえる一作だと思います。
コロナ感染者数もだいぶ下回ってきました。緊急事態宣言解除も間近いと思われますので、またいろんな映画を観てかりるーむさんのブログにも感想をUPしていきたいです。
(2021/02/21)
written by 塩こーじ
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