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自選短歌:2023年7月

夜なのに烏が吼える 眠れない者が小さく応えてみせる

摘みながら束ねる花のように脱ぐ海に適していないサンダル

この舌の二枚のうちの一枚できみの涙を舐めとってゆく

唇が冷えてしまったとだけ言う西瓜を置いてそれだけを言う

忘れてもいいことばかり思い出す酸素の薄い夏の真昼は

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