公開教材「理系数学テスト演習」はじめに

1. 自己紹介

さとしん。と申します。大学院では生命情報科学を専攻し、東大・早大の大学院で研究員、教員などを歴任してきました。その傍ら、大学受験数学講師を並行しており、教育・研究業界で正味10年以上生きてきました。現在は一時的に講師業を休み、新たな道を進んでいます。

 この度、講師時代に作成した大学受験向け数学オリジナルテスト演習教材を順次公開することとしました。

2. 教材のコンセプト**

 少し予備校講師時代の話をします。キャリアをスタートさせた都心の学習塾(現在は身売りされたあと消滅しています)は、中学3年生から大人(高卒)までを対象とした無学年制で、「東大数学で満点を目指す人対象の講座」が売りでした。(4校舎運営でしたが、自分が参加した初年度の実績が、東大理3定員90名中24人が当該塾生、今は亡き理3の後期入試で定員10名中7名が塾生という今回想しても脅威的なものでした。)その中で初めて担当した講義はその一段下のクラス。といっても受講生は非常に優秀で、初めて相手にした生徒には現役の東大生も含まれていました(受講当時理1在籍、仮面浪人で理3志望。)当然、東大の過去問はほとんどやり尽くしていますし、並みの問題では瞬時に完答します。問題解説講義では生徒は満足しないですし、競合の多い都心では生徒は一瞬にしてやめていきます。その中で、いかに受講生を満足させるかを苦心して問題収集や教材作成に明け暮れました。

 結果的に、教材作成は以下のような指針で行いました。
(1)いたずらに高難度の(高度な発想を要求する)問題を並べると、受講生から「これは問題が難しすぎる」という指摘が来る。そこで、説明が終わってみると「なんだこれはできたはずではないか」と反省するような、教科書の基本事項に根差した方法で解決可能な問題を選問する。
(2)受講生は問題に正解すると天狗になり講義への参加姿勢が弱くなる傾向があるため、全員不正解を目指す。その点ではある程度の難問からなる構成とする。
(3) 東大・東工大の過去問は極力使わない

 この3つを両立する問題選定・教材作成は非常に難しいのですが、何年かの実践を経験しながら試行錯誤を重ねた結果、今回公開するバージョンができあがりました。

3. なぜ公開するのか

 私自身は講師を一時的に休業中ですので、せっかく作った教材を使用できる機会がありません。自分のPCのなかに埋もれているよりは、公開してより多くの方に使っていただきたいとの思いから、今回公開に踏み切りました。

4. 主な対象

 理系で東大・東工大などの難関大を受験予定の高校生・高卒生を想定していますが、内容自体は高校レベルの数学です。その基本事項を理解したうえで、大人から子供まで、思考力を徹底的に鍛えたい人にはご満足いただけると思います。

5. 教材の構成

 1学期11回、2学期14回、3学期3回の全28回分を予定しています。(夏期・冬期など季節講習分はリクエストがあった場合検討します。)回を重ねるごとに難易度を上げています。
 各回は、以下の5つから構成されます。作成はLatex/WTpicを用いており、公開はpdf形式で行います。

(1)テスト課題(無料版・有料版)
  主な入手先は、上記大学以外の入試問題、雑誌「大学への数学」の学力コンテスト、海外の入試問題、その他ArtofProblemSolvingなど海外のウェブサイトから拾ってきた問題、などです。
現役受講生への対応を考慮して、1学期は各回60分3問、2学期以降は各回90分4問で構成していました。なお、出題範囲は以下ですが、受講生の弱点を狙うことを目標にしているので、出題分野のバランスはとれていない可能性があります。また、現役生への配慮から数学IIIの重たい問題は抜いています。(重たい問題は、別途自習用課題として配布していました。リクエストがあれば公開を検討します。)

数学I (データの分析は除く)、数学II、数学III
数学A、数学B(ベクトル、数列)

 使いやすさを考慮し、業務用コピー機で製本印刷すればそのまま問題冊子が出来上がるようにページを調整しています。

(2)解答例・解説(有料版)
いわゆる解説ですが、実際の講義では紙面を読むことはほとんどなく、受講生の答案や振り返りシート(後述)をもとにその場で討議するスタイルでした。簡潔に作るつもりでしたが、受講生の別解が登場するたびに加筆を加えていますので、結果的に豪華になっています(後述)。

(3)実受験者に向けた講評、実際の受講生による別解など(有料版)
受講生には、答案とともに「振り返りシート」として、各問ごとに「第一印象」「それをもとにやったこと」「やった結果起きた(困難な)こと」を書かせるようにし、答案と振り返りシートを添削していました。各受講生の考え方で他の受講生の学びになると判断したものを「講評」という形でまとめています。
また、受講生の不正解答案の中には「そもそも方針が正解に至らないもの」「方針は正解に至るものだが相当テクニカルであり、途中で頓挫してしまっているもの」「方針は正解に至るもので時間内に十分解答可能だが、致命的なエラーを起こしたため頓挫したもの」など、いくつかパターンがあります。このうち、方針が正解に至る可能性があるものは私の方で補ったうえで「別解」として紹介しています。
 その他、受講生に反省を促すべく喝を入れていることもあります(笑)

(4)復習用関連問題(有料版)
テスト課題の出展が国内の大学入試に限らない旨を受講生に伝えたところ、一部受講生より「本当に入試に出るのか?」という疑義を頂きました。そのため、テスト課題に関連する入試問題を集めてまとめています。

(5)復習用関連問題解答(有料版)
上記復習課題の解答例になります。講義で基本的な指針や考え方はしゃべっているので、特に指針はなく、解答は簡潔です。

(6)コメント (有料版)
 各問に関する当時の講義中のエピソードや講師を目指す人へのメッセージなどを書いています。

6. 本コンテンツのオリジナリティ(強み)

 歴史のある数学という学問分野です。一つ一つの問題は出展が別にあり、問題自体に自作のものはほとんどありません。ただし、その集め方や並べ方、また講評などは、唯一無二のものであると自負しています。例えば、日本の入試に飽きたらず、海外の大学入試問題を収集しています。指導要領などが異なるため、中には原題のままでは出題困難なものもあります。そのような問題には、日本の高校生が時間内で解答可能なように、誘導用の小問を補うなどの改変を施しています。市販の参考書ではなかなかこのようなものはありません。
 勤務先はいろいろ変わりましたが基本的に最上位のクラスではこの教材をベースに講義をしておりました。生徒の満足度も非常に高いものであったと考えています。

7. 価格

幾度か検討した結果、1回500円に設定させていただきます(2020.1.11改訂)。提供者側としては破格の値段設定だなと思う一方で、結局のところは普通の問題を普通に解説し、普通に添削し、普通に講評してるだけの授業を記録したものですので。

8. その他

・コメントなど頂けますと大変喜びます。また、質問・誤植などありましたらご指摘いただけると幸いです。
・仕事の依頼絶賛受付中です。
・リクエストあったら動画撮るかも(´△`)


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