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雪解け~心の春を待ち侘びながら~

この胸間の傷が、私に何を教えているの?

過去の翳りは
私が引き受けられるようになってから
ひそやかに再会するみたい。

あの頃の私は、こんなにも・・
泣き叫んでいたの?

ただ・ただ・・・自分を責め立てて
心を削っていたんだね。

私が私を抱き締めてあげることもしなかった。
感情を殺めて、手当することもせずに
私はずっと自分を煽り立て続けた。

風のように過ぎ去ったことだと
忘却した出来事だと思い込んでいただけで

ずっと・・深奥に居る私は、待っていたんだね。

「もう、いいんだよ。
私は私で居てもいいんだよ。」と
その一言を誰かに言ってもらいたくて。


叱咤とか、鼓舞とか
そんなものは、もう欲しくなんかない。
だって・・もう散々やってきた。

私は、私のすべてを
包み込んでもらえる刹那を渇望していた。

でも、それは、他者ではなく
私が私にしてあげることなんだ。

雪解けは、どこかまだ・・冷え冷えとしていて
私の体温を奪うから、傷に沁みてくる。

私は、ひとつずつ棘を抜き
自分を宥めながら、氷解を待っている。

私の中の種がやがて芽吹き
痛みを含んだ雪が解けていく趨勢を
きっと・・「春」と言うんだ。

Sara


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