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ヤギ語り                                       #3

ふぶきを お迎えするにあたり、ふぶきの 居場所を準備した。

ヤギは 夏の暑さと多湿に弱いとのことで、裏山に 高床を作って、その上に小屋を作ろうと計画した。

まずは 場所の選定。

柿の古木が、いい感じに影を作っているこの場所に決めた。

雨を避けるために タープを張ることにした。
大きな屋根を作るのは きっと私達の手に余ると判断したから…

こんなかんじ。
この下に高床を作ろう。DIYだ!
3人家族がワイワイ言いながら、山での作業が始まった。


2m×2mの床を作る。
ゆるく傾斜しているので、水平器で測りながらツカの高さを変えていく。
以前、母屋の床を改修した時に 数を間違えて大量に余ってしまった束石に出番が出来た。
どうせ、後から狂いが出て、何度もやり直すことになるのだから、割と適当に材を切り出す。


大工作業と並行して 簡単な柵囲いをした。
イノシシ避けの(本来は建築資材)ワイヤーメッシュを利用した。
なんというか・・・だいぶ心許ない。
「こんなんで大丈夫か…?」となりながらも、時間がない。作業を進める。


根太を付ける。
「こっち、ういてる。」
「ここ、入らない。」
「ここ、相当ズレてまーす。」
「ワハハ」、「キャッキャッ」、「ヒ~」
などとやっているうちに、夕暮れ。

「ヤギ、明日来るんだけど、間に合う?」
「がんばるー!」

ここまで来た。
でも、もう日が沈んだ・・・

「がんばろ~!、お~!」

床板を張る。
もう、真っ暗な中で、投光器頼りの作業。
3人とも、すっかり無口に…
ただ黙々と作業した。
真っ暗な山に、電ドラ、丸ノコの機械音だけが響いていた。

ついに完成!
小屋は 間に合わないと判断し、途中でホームセンターに走り
大型犬用の犬小屋を購入した。
「そのうち作ろう…」という話だったが、大きくなった ふぶきだが
今でも この小屋で寝ている。「そのうち」が来るかどうかわからない。

この時、日付が変わり、ふぶき をお迎えに行く、当日になってしまった。

バタバタした事も、今では良い思い出。
新入りの家族も 今ではすっかり‟主”の顔。

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