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海外観光客向け〈オルタナティヴ・ニッポン〉都道府県観光ガイド(第十九回)

世界の皆さん!こんにちは!元気ですかーッ!?
私は!ニッポン在住のフーッフーッ旅行ライター!日比野! 心労です!フーッフーッ

春!新生活!慣れない日々に気温の変化!メンタル、やられてませんか!?そんな皆さんにフーッフーッとっておきの観光地があ、
ありまあああす!!!
落ち込んだ気分も一発でアガる!沸き立つ元気!漲るチカラ!今回ご紹介する県はそこに行くだけで元気をたくさんたくさぁぁぁぁん貰える素晴らしい県です!
では張り切ってご紹介しましょう!記念すべき連載第十九回目は「遣木県」(やるきけん)を取り上げまぁぁぁす!!!!
アシスタントさん!早くっ!はやくフーッフーッ打って!!はやくもうヤバいからはやくう

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第十九回「遣木県」(観光難易度:1【易】)

・遣木県へのアクセス

本京都から在来線でも1時間半〜2時間強、本京都から発着の高速バスも利用すると3時間以内でアクセスできる日帰りにもうってつけの観光地、遣木県。行くまでのメンタルや体力が心配だ、という方には、遣木県主要観光スポットを巡るドアツードアの定期観光バスも都内発着便として用意されており、依頼があれば滞在先の都内ホテルのエントランスへお出迎えのサービスも利用できます。
忙しいビジネスマンのワーケーションや、スポーツアスリートの合宿先としても利用される事が多いため、真本京国際空港から直通の特急列車も存在し、また、より早く到着したい人の為にニッポン国内で空間転送ワームホールの設置利用が認められている数少ない県でもあります。
このように遣木県へのアクセスは非常に良好かつ選択肢も多く、多くの旅行者が利用しやすい環境が整備されてきたと言えるでしょう!
では、次は具体的な観光スポットのご紹介です!張り切っていってみましょう!

・遣木県の見どころダァァッ!

まずはここは外せない!世界遺産にも登録された社寺郡の中核に位置する「月光闘勝宮(げっこうとうしょうぐう)」!ココはニッポンのエド時代の将軍ヤイエスを祀った建物として有名で、数多の戦いを勝ち抜いてきた将軍の功績を讃えて豪華絢爛・華麗かつ重厚な彫刻に彩られた社寺郡があなたを迎えてくれるでしょう!その姿はまさに現世に建つ極楽浄土の建築美ィ!国内屈指のパワースポットとしても有名で、ここでパワ━━!を補充して商売や勝負ごとに勝つための活力を得る方も多いですよ!

お次は「奈須アゲランドパーク」!パリピ御用達のパーティーテーマパークでアガってきた気分を解放させちゃおう!スピード感満点の無重力ジェットコースターや全高300mのフリーフォールなど絶叫マシンが唸りを上げる!季節で演出を変える屋外レイヴ会場では国内外の大物DJを多数招いて連日連夜パーティーが繰り広げられます!年中無休・24時間営業の遊園地で、キッズからシニアまでアゲアゲに行こうぜヒュー!!!

癒しスポットもありまぁぁぁあすフーッフーッ「鬼笑和温泉(きゃわわおんせん)」!!ここね!ここね!お湯の質も量もとってもいいの!しかも入ってるだけで脂肪燃焼美肌効果!迸る湯気!ハジける汗!キュートでポップな内装のサウナもあってニッポンのKawaiiをギュッと濃縮したみたいな温泉で女性人気も急上昇中!もちろん男性向けにも極暑サウナをご用意!思わず鬼もフーッフーッ笑っちゃうような温度のお湯とサウナで燃えあがれ!バーニング!!わあい!!!!!!アシスタントさん!もう駄目だ!はやく!お願いしますお願いしまあす今度は左腕であっはいチクッとあはははははははh

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・遣木県の危険スポット「活生石」

このように見どころが多く、上記に挙げた以外も魅力的な観光地・アクティビティの多い遣木県ですが、一ヶ所だけ旅行者の皆様にはお薦めできない観光地があります。それは、遣木県奈須湯本温泉付近に存在する「活生石」(かっしょうせき)と呼ばれる伝説の大岩です。
高原の谷間の温泉地に存在するこの大岩は、研磨や彫刻など為されていない自然状態で完全な真球の形をとっており、その珍しい形状と秘められた伝説から、地元民からの信仰・畏怖の対象になっています。
一説では、かつて中世ニッポンを恐怖のどん底に陥れた伝説の妖怪、十尾の狐「玉望前」(たまものまえ)が討伐の武士に追い詰められた結果、石になったという伝説が残っています。もともとこの地は無色無臭の火山性ガスが噴出する土地であったそうですが、その事件の起こって以降は、遣木県のほぼ全域にこのガスが噴出するようになり、噴出の中心地でもある活生石周辺は特にその濃度が濃く、現在でも立ち入りが厳しく規制されている地でもあります。
この火山性ガスは成分研究の結果、健康にはほぼ無害である事が分かっているのですが、人間の精神をある特定の状態に置いてしまう効果があることが分かってきたんですねー!
ここまで読まれた方はなんとなくお察しだとは思いますが、そう!遣木県全域に噴出している火山性ガスは!(ドゥルドゥルドゥルドゥル…ジャーン!)
人間を「元気に」「やる気に」させる効果があったのです!ウワァオ!!カッチョイーイ!!!
伝説では、石になって改心した十尾の狐は、大量の人間から奪った生気を元に戻そうとしたため、もともと無害だった火山性ガスにその生気を混ぜてばら撒いたそうですね!そしたらアラ不思議!まわりの村人たちが元気になっちゃった!アハ!以降、遣木県ではほぼ全域にわたってガスが噴出する土地になってしまったんだなぁコレが!おかげさまで県民全員がやる気と元気に満ち溢れ遣木県はニッポンの成長を支える原動力としてその長い歴史を刻んできたんです凄いねいいねグレートだねだけどその中心地である活生石の周辺はそのガスの成分が濃すぎて効果がフーッフーッ激しく出るようにフーッなってしまったのでフーッ旅行者のっ!みんなはっ!絶対に!近づかないでくださいねお願いしますお願いしますアシスタントさんもう一本打ってください!え!もう無いの!?使い切っちゃった!?ヤバいヤバいそれじゃ僕の用意したアレを早くはやく焼いてくださヒィあーッ、アーっ!漲り過ぎて鼻血が!鼻血がぁぁ!

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・遣木県における滞在中の適応方法

お詫び】ここまでの文章は口述筆記で執筆していた為、読者の皆様におかれましては「読みづらい」「まじめに書け」「作者の体調は大丈夫なのか」などなど様々なご意見があることは承知しておりますが、これも遣木県という土地の特性を理解していただく為の手段として採用したものであり、お見苦しい点が多々あったことをお詫び致します。

遣木県に入るやいなや、前述の火山性ガスの効果により旅行者の脳神経が活性化されテンションが上がり、ドーパミンやアドレナリンがドバドバ垂れ流され、やる気と元気に満ち溢れた精神状態になるわけなのですが、そのガスを摂取し続けるとやる気も元気も過剰になりすぎ、上記のような症状が出てしまうのです。
これは多少の耐性がある住民の遣木県民にも同様に起こります。しばしば過剰な活力を持て余した若者が奇抜な格好で徒党を組み、バイクで迷惑走行を繰り広げる現象が発生したり、心臓疾患のある住民が不用意に外出したことで起こってしまう悲しい事故も稀に起こってしまいますが、県民は概ねこの現象を上手く利用し、適度に活力のある生活を送っています。(なおこの効果は人間にだけ発生することが確認されており、サルなどの他の霊長類や、犬、猫などの哺乳類には発生しないことが明らかになっていますので、ペットを連れて旅行に来られる方はご安心ください。)

では何故、遣木県民はこのガスによるやる気の過剰な横溢をコントロールできているのか。その答えは、遣木県がニッポン一位の消費量を誇る「餃子」にあります。

ここで、遣木県の中でも特に餃子消費量の多い鬱無宮市(うつむのみやし)を訪れてみましょう。鬱無宮駅を降り立ったあなたは、たちまち餃子の焼ける香ばしい匂いに包まれます。見ると駅前には数十店の餃子専門店が立ち並び、住民も観光客も長蛇の列を作って並び、肉汁滴る餃子に舌鼓を打っている光景が目に入るでしょう。
スタンダードな肉餃子も良いですが、野菜が多めの野菜餃子、海老が一尾丸ごと入った海老餃子や皮にほうれん草や梅を練り込んだカラフル餃子、焼きだけではない水餃子や揚げ餃子、変わったところでは甘い餃子パフェなど、およそここで扱っていない餃子は無いとでも言わんばかりのレパートリーの豊富な、しかも美味しい餃子が揃っています。
特筆すべきは、これが鬱無宮市の繁華街だけではなく、他の市町村、ひいては遣木県全域にわたって餃子を扱う飲食店が多いということです。専門店だけではなく、和食、洋食、エスニックや各国料理店にも必ずと言っていいほどその店独自の餃子が置いてありますし、市内のスーパーを訪れると、売り場のかなりの面積を割いて餃子専門のコーナーが設けられています。このように多様な方法で餃子の消費が為されている遣木県ですが、共通して言えることは、どの餃子も飽きのこないように工夫が凝らされ、たっぷりのニンニクが使用されているという事です。そう、恒常的に摂取しているこのニンニクこそが、遣木県民の精神の安定を保っていたのです。
この餃子に使用されているニンニクに含まれるスコルジニンという成分、通常はこの成分がニンニクのもたらす活力の源なのですが、それが遣木県の火山性ガスの神経効果を中和させ、過剰な活力を抑える能力を持つことが、遣木県の獨強医大の近年の研究で明らかになってきました。その結果、ニンニクからスコルジニン成分を抽出した薬品も数多く作られ、急性の症状発症に対応するニンニク注射や飲み薬、ニンニクが苦手な人やアレルギーのある方にも飲みやすいサプリとして提供されています。(記事途中で私がアシスタントに打ってもらった注射も、このニンニク注射でした。)
ですので旅行者の皆様は、現地にて餃子をたらふく食べて頂くか、さもなければニンニク注射やサプリメントをあらかじめご用意していただくことで、安全で元気が出る観光を楽しめることができるでしょう。口臭が気になる方は「無臭」と表示のある餃子や、ベジタリアンやヴィーガンの方には「野菜だけ餃子」(大豆ミートの代用肉が使用されています)をお薦めします。折角ですので、味気ない注射やサプリよりも、遣木県を訪れた際には美味しい餃子を味わってみましょう。

一点。仏教徒でニンニクを「五葷」の一つとして禁じている方についてですが、諦めてください。遣木県滞在中はずっとハイテンションなままです。禁を破ってニンニクを食べるか、成分のみを摂取するかは宗派によって解釈が分かれるところですが、これは自己責任においてお願いします。筆者は戒律にまで責任は負えません。

・おわりに

いかがでしたでしょうかハフッハフッ 遣木県の魅力と効能を少しでも感じて頂けましたでしょうかグビグビプハー
皆様も、仕事や生活に疲れ、様々なストレスをパクパク抱えておられるとは思いますがグビッ やる気を出したい、日々に活力が欲しい、そんなとき私は遣木県への滞在をお薦めします。補足ハフッハフッひておきまふが、滞在から数日間は元気とやる気の効果は継続しますゴキュッゴキュッのでゲフー 遣木県を離れた後も、過剰な活力を適度に抑えたいのであれば、現にいま私がパクパクそうしているようにニンニクたっぷりの餃子を食べておくことを併せてお薦めします。いえ、けっして飲んでませんよビールなんて。信じてください!嘘じゃありませんグビー!!!!

(第十九回 おわり)

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