読書感想#35 【(アレクサンドリアの)フィロン】「アブラハムの魂の遍歴」
アブラハムは、カルデアの地からハランの地へと移住しました。敬虐なるアブラハムが、神の言を聞き逃すはずなどなかったのです。
彼にとってこの移住は、肉体のためではなく、むしろ魂のためでした。というのも、カルデアの人々は可視的なもののみを尊重し、決して不可視かつ可知的なものは考慮しないような人々だったからです。そのような地で訓育された彼は、感覚的なもののためにひどい霧にたちこめ、本来の力を失っていました。そんな彼にとって移住とは、魂の目を聞き、カルデア人の教えから離反すること