箱庭
箱庭のような小さな世界を作り、喜ぶのは子どもも大人も同じようだ。
心にゆとりがあったのだろうか。
季節柄、ダイソーにクリスマスのグッズが売られていた。中でも20センチほどの針葉樹が目についた。クリスマスツリーにするのか、それにしては地味で自然に生えている針葉樹を思わせ、どこか引かれるものがあった。樹には雪が少し降りかかっている。もう子どもたちも大きいし、家でモミの木を飾ることもないのだが、この針葉樹を飾ってみたくなった。イメージは民家と針葉樹の銀世界。白い家の近くに大きな針葉樹が生えていて、家の前には3頭のトナカイが出発を待っている。そんな小さな銀世界ができ上がった。
自分の心は子どものようだ、と思う。しばしば幼い孫がオモチャの電車を置いて、横から眺めることをしている。小さな世界に本物の世界が反映されているのだろう。
箱庭を作ると情緒が安定するらしく、精神療法のひとつとして使われていると聞く。大人たちが鉄道模型に夢中になるのは、子どもの心の残像とは言い切れない。人間は、年齢に関わらず、手に取れるような小さな世界に穏やかな気持ちを懷くのものなのだろう。
カメラのファインダーを覗いて見た切り取られた世界、外界から遮断された映画館、入園した途端に変わる夢のテーマパーク、いろいろ似ている。箱庭が持っている本質と変わりないようだ。盆栽や盆景は、箱庭そのもの、伝統的なジオラマである。そういう点では、子どもも大人も同じだなと思う。
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