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日本庭園の水の音

江戸川区の南に行船公園という区立公園があり、その一角に平成庭園という日本庭園があって、四季折々の風景を楽しむことができる。緑に加えて、いろいろと趣向を凝らした滝がある。高台の東屋から見下ろした所に池があり、渦を巻いているのが見える。その音がリズミカルにボチャンドーン、ボチャンドーンと聞こえるのに最近気づいた。すると急に滝の音に興味がわいた。

下に降りて池の近くに行ってみた。渦潮のある池から幅広い滝となり、大きな池に流れこんでいる。滝側に歩を進めると、渦潮の音は消えて、滝がザァーザァーと落ちる音が響いてきた。数歩の歩みで音が変わった。

再び渦のある方へ行くと八ツ橋の架かる小川から池に流れる辺りが岩となっていて、せせらぎのように岩場を水が流れる音がしている。いろいろな水の音を楽しめるように工夫を凝らして造られていることに感心する。

大池の先には岩山があり、滝が二段三段と流れ落ちている。複数の滝の音が合わさり、とどろき響いている。

この小さな庭園を歩くだけで、渓流の音、滝の音、渦潮の音を聞くことができる。作曲家ならモチーフにして交響詩を作りたくなるかも知れない。

しかし、その音は本物ではない。庭園の水の音は、庭園の風景の力を借りて、真実味を帯びたものになっているように思われる。日本庭園の面白さは虚構性にある。滝や渓流の音も本物とは違う。音だけでなく、渓流、滝、岩山、林など全てが本物らしく造られた模造品なのだが、不思議と本物以上に自然が感じられる。そこに日本庭園の芸術性がある。

遠くに行かなくても近くに自然を楽しめる場所があることがうれしい。そこで水の音を聞いてちょっとした刺激を受けている。

東屋から見た大池
渦潮
せせらぎ
菖蒲の頃がよい
段になり落ちる大滝





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