鳥が風に流されている

台風が近づいているためか、風の強い日だった。空を見上げると鳥がふらふらと飛んでいる。飛んでいるというよりは、風に流されて、空をさまよっているように見えた。その姿を見ていたら空を飛ぶということは大変だなと思った。そして、鳥が悠々と空を飛ぶというイメージが瞬く間に崩れていった。

鳥は、空を飛ぶために、骨格を軽くし、翼を動かすために必要な筋肉をつけ、その結果、はた目には、悠々と飛んでいるかのような印象を与えている。筋力の大半は翼を動かすためにある。本当は空を飛ぶということは見た目以上に楽なことではない。

こんなことを考えていたら、いろいろなところで目に見えない努力があるなと思った。白鳥は、水面下で激しく水かきを動かしている。のんびりと生きている人は、本当は苦労人かも知れない。楽しそうに歌う歌手は、さぞかし絶えまない練習を続けているに違いない。平穏な生活のための苦労は言うまでもない。悠々と空を飛ぶのは大変な努力がいることだ。

そういえば、先日、Kさんからバイオリンを気楽そうに楽しく弾いているように見えるでしょうが、皆すごく神経を使い集中して弾いていると云われたばかりだった。それは私へのアドバイス、悠々と空を飛ぶと言うことは、他人ごとではなかった。

2023.1.23