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母の短歌 啄木の如きになるは遠けれど 

 啄木の如きになるは遠けれど
 母さんの短歌(うた)も解るよと
 息子(こ)の言う

母が入っていた「郷土」という短歌の同人会では、会員は、作者名が伏せてある短歌の中から選をして、次の短歌会に持ち寄っていた。

ある日、母は、短歌の書いてある用紙をわたしに見せて、その感想を聞いた。わたしには選をする力はないが、母の歌がどれか何となく分かった。その後も同じようなことがあった。そして、何故かいつも母の歌がどれかだか分かるのである。多分、母の考え方や暮らしぶりから推測できるのだろう。私は、母の短歌を指さして「お母さんの歌はどれだかわかるよ」と言った。

そのときのことを歌った短歌である。母の歌を理解したのではなく、母が作った短歌がどれか分かっただけなのだが、それでも母はうれしかったのだろう。そして「母さんの短歌も解るよ」と歌ってくれた。 

2022.11.19

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