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鮪の刺身の膜と魚皮衣

豊洲で鮪の刺身を食べた。ぶつ切りというよりは大きめの角切りだった。鮪の刺身はぶつ切りが旨い。今日のは更に大きくて旨い。ひと口ふた口と進んで行ったが、噛み切れないものが口の中に残った。刺身の端にある筋なのだろうが、角切りなので飲み込むことができない大きさだった。とうとう吐き出して紙の上に出したが、数センチの大きい筋だった。

この筋は、鮪の筋肉と筋肉をつなぐ白い膜だが、普段は膜を断ち切るようにスライスするので、食べても呑み込んでいた。しかし今日、改めて歯が通らない位に丈夫にできていると感心し、鮪の皮の部分はもっと硬いのだろうなと思った。

魚皮は硬いということから、アジアの北方民族(アイヌも入る)には魚皮衣というのがあり、魚皮で服や靴を作るということを思い出した。皮を洗い、乾燥させてから、柔らかく皮なめしをして、使う。絹や毛皮に慣れ親しんだ人なら見ると奇抜なものに感じるかも知れないが、文明は身近なものから作られるということだ。出来上がった物の写真を見ると、織物に比べて遜色がない立派なものである。

人間は、身近に石があれば石を使い、木があれば木を使い、身近に手に入るものを最大限活用して文明を築いてきた。そういう点では鳥の巣やビーバーの住まいと基本は変わらないのかもしれない。

日常から生まれるものから道具を作っていれば、やがては元ある場所に戻って行く。魚皮衣や植物由来の服は、やがて大地に帰って行く。どうも石油製品のような遠いところから来たものは、やがてはゴミとなり環境を汚しているようだ。


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