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能楽と女性

銀座シックスの観世能楽堂で能楽を見た。能楽師と弟子がそろっての舞台だった。長年謡曲や仕舞を続けている人たちのようで年季が感じられる。世界無形遺産である能を支えているのは、観客ばかりでなく、能を愛するたくさんの弟子たちである。その弟子に女性が多いと感じる。

能は男性が演じることを前提に作られて、代々演じられてきたと思われる。女性たちは、男性の声域に合わせて吟じようとしているようで、そのためか、どこか無理が感じられる。声が十分に出ない。本来の女声の美しさが発揮されていない。こういう点では女性が気の毒な気がする。

こういうことに家元たちは気づいているかもしれない。気づいていても動けないのだろう。能の世界を壊さずに、女声に合わせた能の吟じ方を作り上げるには世阿弥のような天才が必要だろう。それでもソプラノ、アルトの音域で歌う能があってもいいのではないか。女性たちが高らかに熊野、羽衣を歌う能を聴いてみたい。女声が吟じる謡曲を聞いて、そんなことを思った。


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