見出し画像

正しい色?なんですかそれ。

写真をプリントするときに重要なのが、色合わせです。
一般的には「キャリブレーション」と言います。
と言っても、写真雑誌などを見ると高価なモニターと大げさな機械を使ってキャリブレーションを行う、みたいなことが書いてありますが、あんなものを使う必要はありません。

そもそもモニターとプリントの色の仕組みは全く異なるので、どんなに煮詰めたところで、全く同じにはなりません。

そしてキャリブレーションは素人でも簡単にできるし、お金もほとんどかかりません。

やり方はとても簡単。

まずはどこでプリントするのかを決めましょう。
ネットプリントがお勧めです。自宅で本格的なプリンターを用意してもコストが跳ね上がるので、あまりお勧めしません。
プリンターの管理もめんどくさいだけです。
せっかくネットのプリント屋さんが、毎日こまめにメンテナンスしてくれた超高価なプリンターを用意してくれているわけですから、そっちを使ったほうがよいです。

プリントするところを決めたら、色見本(カラーチャートとも言います)、とプリントしたい数枚の写真を用意します。色見本はネットで拾ってもいいですし、自分で作っても構いません。ペイント系、ドロー系、どちらを使っても、10分もあれば作ることができるでしょう。

色見本と写真のプリントを依頼します。
2Lサイズくらいがいいでしょう。Lサイズだとちょっと小さすぎて不便です。
この時に気を付けることは、「色補正をオフに指定」することです。
ネットプリントは、相手のラボでコンピューターによる色補正が自動的に行われるため、色補正をオフに指定してプリント依頼しないと勝手に色味が補正されてしまい、正しい色がわかりません。

数日待ってプリントが届いたら、早速PC画面に色見本や写真を表示させ、その横に同じプリントを並べて色を調整します。
PCモニターの設定で色をいじって、赤を減らしたり、青を減らしたり、コントラストを減らしたり、明るさをいじったり、そうしてプリントされた色見本や写真の色に近づけます。
冒頭で述べたように、決して完全に同じにはなりませんので、だいたいでいいです。

以上で終わり。

キャリブレーション簡単でしょ。

一度キャリブレーションをやっておけば、次回から同じネットプリント屋さんを利用する限り、上述したようなテストプリントによるキャリブレーションは必要ありません。
いきなり発注しても、ほぼ満足できるものが届くはずです。
ただし、同じネットプリント屋さんでも複数のプリンターがある場合、プリンターごとに多少の誤差が出ることがあります。
また、当然のことながら、同じプリント屋さんでもプリント用紙を変更すると色味が変わってきます。
いかに信頼できそうなプリント屋さんを探すか、または自分の感覚に合ったプリント屋さんを探すか、というのは重要です。

さてキャリブレーションは以上なのですが、今回のテーマはキャリブレーションではありません。
キャリブレーションをやっていて気づくことがあるはずです。

そう、世の中の大半のモニターは、とんでもなく青い色に偏っていて、とんでもなく明るくて、とんでもなくコントラストが高い設定になっている、ということです。
そしてスマホやテレビなどは、さらに青く、さらにコントラストが激しくまぶしく設定されていることに気が付くでしょう。

これはテレビなどを購入しようとお店に行って商品を見たときに、画面の色味を青く明るく、コントラストを桁外れに高くすることによって、そのテレビが高性能ですごく綺麗な画像を表示できるかのように錯覚させるためです。

しかもこのとんでもないレベルの設定の度合いは、メーカーや機種によって全部まちまちです。

つまり、あなたがどんなに徹底的にキャリブレーションを行ってスバラシイ写真をネットにアップしたところで、ほとんど誰一人としてあなたが満足したのと同じ色味で写真を見ていないということです。

特に私のようにプリント用にキャリブレーションした写真をネットに上げる場合、ほとんどの人のPCモニターでは、特に青みが強く見え、コントラストも極端に強く見えてしまいます。
キャリブレーションによって青味を下げて、コントラストを下げて、明るさを下げた設定環境で写真を現像しているためです。

さらには鑑賞するPCモニター周辺の明るさや色味も、作品の表示色に影響を及ぼします。
そして鑑賞者自身も全て、個々に色の見え方が異なります。
鑑賞者自身の脳内補完による色補正も加わってきます。

うーん、複雑。
じゃぁどうすればいいの?ってなりますよね。

結論は「正しい色など存在しない」です。
だからあなたの好きなように、もっともっと自由に、好き勝手に色をコントロールして、何も気にせず、芸術を謳歌しましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?