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レンズテスト再び「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」

さてさて引き続きM.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 ISのレンズテストを行います。
テストと言うよりも、道具を扱うためには個性やクセを知っておく必要があり、基本的な情報を自分の頭に叩き込むのが目的です。
本番の現場でいちいち考えていたら間に合わないので、無意識に操作できるように、とにかく頭に叩き込むわけです。

私が一番気になっているのは、テレコンのMC-14を使用した場合と、使用していない場合に、どの程度の画質差を意識する必要があるのかということです。
画質差があるのは当たり前です。物質としてレンズが存在する以上、レンズを追加すれば必ず影響があります。
重要なのはその「程度」と「クセ」です。

やってきたのは宮崎空港の展望ロビー。
天気は快晴なのですが、残念なことに大気汚染濃度が13㎍/㎥と高く、かなりの影響が見込まれることです。風景撮影なら断念するレベルです。
許容できるのは10㎍/㎥以下。それ以上は空が白く濁り、ハッキリとモヤがかかったような写真になってしまい、話になりません。
また、大気の揺らぎの影響もかなりあります。
やっかいなことに、この大気汚染と大気の揺らぎは均一なものではなく、秒単位で空間濃度が変化し続けるため、テストで比較写真を撮ってもほとんど意味がなくなってしまうのです。
例えば異なるレンズの比較レビューをするならば、屋外テストにおいては同じ位置から全く同じ機材と設定を使用してカメラを並行に並べ、同時にシャッターを切らないと、全然意味が無いのです。
この場合でも望遠レンズだと微妙なピント位置の誤差がでるため、比較は容易ではありません。

とは言え、写り以外にも試したいことがあったため、ひとまずテストを続行することにしました。
かなりヌケの悪い写真になるのは覚悟の上です。
展望ロビーからの写真で、レンズ直前に2本ほど鉄線が横切っているので、これまたレンズの解像度を下げる原因になります。

そんなわけで最も気になる400mmの写真を撮ってみました。
これはいずれも400mmにして撮影したわけではありません。現場で撮影していて最も気になること、それは仕上がりが同じ35mmフルサイズ換算800mmの場合に、テレコン有り無しの差はどのくらいなのかということです。

つまりテレコン無しならばレンズの焦点距離を400mmに合わせ、テレコン有りならばレンズの焦点距離を285mm(285×1.4=399mm)にして、画質の差がどの程度なのかを知りたいのです。

さあどうでしょう?
位置をぴったり合わせるために、両方ともちょっとだけトリミングしています。

どっちがどっちかわかります??

最初に言った通り、絶対に差はあります。
問題はその度合いなのですが、私には差がわかりませんでした。
しかも前述したように2枚の写真の間には、テレコンを付けたり外したりする作業時間があり1分くらい空いているので、大気汚染濃度か、大気の揺らぎの差が大きいのです。

撮影対象までは約630m、なかなかの距離です。
航空大学校の練習機を撮影しました。

回答ですが、上がテレコン無し、下がテレコン有りです。
そう言われるとちょっとだけ1枚目のほうが、倉庫内部のコントラストが高く細かく表現されているような気もするし、でも今言ったように1分の撮影時間差の方がでかいのでわからないのです。少し雰囲気や色合いが違うようにも見えますが、大気汚染濃度が絶えず変化するため、対象エリアへ到達する光の加減も変化し、直射光や間接光の割合が違います。
ちなみに写真によってはテレコン有り無しの画質が、大気汚染と大気の揺らぎの影響で逆転していると思われるものも、ありました。
結局のところ、テレコンを付ければ確実に画質は低下するはずだが、その影響は大気汚染濃度や大気の揺らぎの影響よりも遥かに少ない、ということです。
もちろん今回のケースではそうなった、ということで、全てに当てはまるわけではないでしょう。
そしてこの程度の差であれば、現像段階で埋め合わせが可能だと思いました。

これがテレコン有りでテレ端、35mmフルサイズ換算1120mmのトリミングなし写真です。
正直な感想として、すげーな、このレンズ、と思いました。
だってかなりの暴風の中、全部手持ちで撮影してるんですよコレ。
大気汚染が無ければもっとヌケがいいわけですから、素晴らしいです。

もうひとつ気になっていたのは、手振れ補正の設定。
試した結果、カメラを振らない場合(流し撮りをしない場合)は、レンズの手振れ補正が最強でした。もうテレ端でもブレる予感が全くしません。
大型機のような画面の多くを占める対象を追う場合は、レンズ手振れ補正でもカメラ手振れ補正でも、ほとんど同じだと感じました。
小型機を追う場合や、速い流し撮りは、明らかにカメラの手振れ補正が追いやすかったです。カメラ側の設定はS-IS-AUTOです。

いろいろ使ってみた感想としては、このM.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 ISは、ウィークポイントがあまり無いと思いました。
普通はワイ端からテレ端に向かって画質が低下するわけですが、このレンズはほとんどズーム全域で画質が同じで、かなり扱いやすいです。
テレ端の画質の落ち込みが無いため、テレ端を遠慮なくガンガン使っていけます。ズームで画質が変化するレンズは使っていてストレスになるので、この設計は素晴らしいと思います。
また中央部と周辺部の画質差も少なく、均質で上品な写真が撮れると感じました。こういうタイプはPCで現像するときも変なクセが無いので、現像コントロールがしやすいという特長があります。
手振れ補正のスイッチの位置も、構えたときに左手の親指が届く場所にあるため、瞬時にオンオフを切り替えることができます。
普段はオンで、戦闘機などを追う時はオフにしてカメラ本体の手振れ補正に切り替えれば良いのかなと思います。

よくできたレンズですよ。これは。
さすがオリンパスだなというのが、ストレートな感想です。

最後に、テスト終盤になってようやく大気汚染濃度が下がってきたため、テレコン有りで、最初の大気汚染が13㎍/㎥の時と、終盤の8㎍/㎥の時の写真を1枚ずつお見せします。
もちろん時間が異なるため純粋な比較にはなりませんが、これはたぶん一目でわかると思いますよ。
対象距離は約450mです。

13㎍/㎥
8㎍/㎥

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