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Voigtländer NOKTON 17.5mm/F0.95 VS LAOWA Argus 18mm F0.95 MFT APO

焦点距離、マニュアルフォーカス、開放値、大きさ、重さ、とても似ているこの2本を撮り比べてみました。
前回も紹介したように解像度が明らかに高いのはLAOWA Argus 18mm F0.95 MFT APO(以下LAOWA)なのですが、だからと言ってVoigtländer NOKTON 17.5mm/F0.95(以下NOKTON)が劣っているわけでもないのです。
NOKTONの解像度が低いと言っても、一般的な単焦点と同等の十分な解像度を持っているし、そもそもLAOWAの解像度がべらぼうに高すぎるので、単純にこの差で評価するのは正しくありません。
この個性の違いは結局好みの差であって、悩みの種でもあります。

それでは見てみましょう。
撮影は雨模様で時折日が差す厄介な天候です。
光の加減は常に変化しており、雲の流れも速く、必ずしも平等な比較ではないことに注意してください。

Voigtländer NOKTON 17.5mm/F0.95
LAOWA Argus 18mm F0.95 MFT APO

そもそも私は風景専門でボケを生かして撮影することはほとんど無く、それゆえに光学性能上最も有利なマイクロフォーサーズを使用しているのですが、以前からこの2つのレンズのボケの違いが何となく気になっていました。全然違うような気がしていたのです。

改めて撮り比べてみると、やはりと納得しました。
NOKTONは収差がかなり綺麗に抑えられていて、安定した画質です。
一方でLAOWAは、コマ収差と口径食が見られます。
ただしLAOWAはボケがかなり大きく、これまた好みが分かれそうです。

私はこれを、コマ収差や口径食が気になるシーン、例えば夜景などにおいては、まさにその名の通りNOKTONが有利と考えています。
一方で気にならないシーンではLAOWA有利なのかなぁ。
ボケは条件によってかなり変わるので、判断が難しいです。

Voigtländer NOKTON 17.5mm/F0.95
LAOWA Argus 18mm F0.95 MFT APO

例えばこんな感じだと、収差や口径食はほとんど意識されることが無く、そしてLAOWAのボケの大きさが有利に働いています。
ただしLAOWAは周辺減光がNOKTONよりも大きい。
これまた難しい判断で、周辺減光があるほうが雰囲気が出るケースもあるし、その逆もあり、好みの差になってきます。

Voigtländer NOKTON 17.5mm/F0.95
LAOWA Argus 18mm F0.95 MFT APO

一般的な風景撮影において最も歪曲収差が出やすいシーンです。
LAOWAは僅かに歪曲が感じられ、場合によっては光学補正を必要とするかもしれません。しかしかなり抑え込んでいるとは思います。十分に合格ラインです。
NOKTONはさらに歪曲収差が少なく、ほぼわからないレベルです。
文句なしにNOKTONが素晴らしい。
歪曲収差に関しては、これまた好みがあり、極端に目立つ収差でない限り歪曲収差の存在はリアリティを感じるため、LAOWAも悪くないと思います。

Voigtländer NOKTON 17.5mm/F0.95
LAOWA Argus 18mm F0.95 MFT APO

これまでの比較では、光学性能基準ではNOKTONが有利でした。
このシーンでようやくLAOWAが真価を発揮します。
こういった写真では写真の生々しさや、ある意味グロテスクさなどが重要で、その場合に重視されるのが解像度とコントラストです。
質感とも表現されることがあります。
LAOWAはこの点で、はっきりとNOKTONを上回っています。
ボケもやはりこのシーンではLAOWAが大きく、柔らかく見えます。

Voigtländer NOKTON 17.5mm/F0.95
LAOWA Argus 18mm F0.95 MFT APO

風景ではLAOWA有利です。
解像度の高さとコントラストの高さが、はっきりと出ています。
ただしNOKTONも悪くなく、コントラストが高くないぶんハイライトの諧調がかなり豊かです。
APO設計のためかLAOWAはあっさりした印象ですが、NOKTONは色乗りが良いように見えます。

Voigtländer NOKTON 17.5mm/F0.95
LAOWA Argus 18mm F0.95 MFT APO

やはり解像度とコントラストが高いLAOWA有利かなと思います。

こうして見てみると、それぞれの特徴が良く出ていました。
雨模様だったのが2者の差をよく現わしていて、むしろ良かったのかもしれません。

NOKTONは先にも述べた通り、光源が画面内に存在するような夜間撮影や、色乗りの良さや諧調性を生かした街撮り風景やスナップなどに向いているのかなぁと思います。

LAOWAはかなり面白いレンズです。
ずば抜けた解像度と、高いコントラストが特徴で、完全に自然風景撮影に特化したレンズかと思いきや、ボケがかなり大きいなど、予想外の能力も持っていました。

どちらも非常に優れたレンズなのは間違いなく、どちらを選んでも問題ないのですが、私がLAOWAを使っているのは解像度やコントラストだけではなく、実は画角を基準にしています。
時々しつこいくらい言っていますが、私の理想はマイクロフォーサーズの18.5mmでして、それに近いLAOWAを選択しているわけです。
上の比較写真を見てもわかると思いますが、焦点距離のわずか0.5mmの差であってもかなりイメージが違ってきます。

また、NOKTONには要望があります。
それはマニュアルフォーカスリングの距離指標。
1mから無限遠までの距離が極端に短く、コントロールしづらいのです。
確かにスナップで速写を重視する場合はこれでいいと思うのですが、やはりここまで距離が無いとコントロールが難しいと思います。
ちょっと手が触れただけでコンマ5ミリくらいは動いてしまうし、それだけ動いてしまうとこの仕様ではピントが狂ってしまいます。
せめて中間に3mか5mの指標をひとつ挟んで欲しい。
その点においてLAOWAは優れていて、十分な距離を取ってあります。
距離指標自体の正確性は少々疑問ですが、これだけ距離があって3m5m10mと刻んであれば「このシーンならここに合わせればバッチリ」という使い方ができるのです。要するにピント合わせがほとんど必要ない。
撮影前にその位置に合わせて、あとはパシャリ。
そのあたりも考慮すると、総合力ではLAOWAに軍配が上がるのかなぁと思っています。

もちろんズームレンズも使用するのでそれ以外の焦点距離の撮影も行いますが、過去の写真を見返してみるとやっぱりツボにはまる写真は18mmか19mmで撮影されたものなので、結局もとに戻ってくるんですよね。

難しいなぁ。


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