パラレルワールドの撮影
冒頭の写真はどこでしょう?
古くから一部のマニアの間では、オープンワールドゲーム内でお気に入りの風景を撮影するという楽しみがあります。
2年前に発売されたマイクロソフトのフライトシミュレーターは究極に近いオープンワールドゲームです。
確か去年、このゲーム内の風景が如何に現実に近いかという紹介をしました。
あれから1年が経過し、バージョンアップを繰り返してさらに洗練されてきたため、改めて撮影に挑んでみました。
一応「写真撮影」という言葉を使用していますが、厳密にはゲーム内の3DCGから2次元のスクリーンショットを撮影するという手法です。
このゲームの世界は、基本的に衛星写真を使用してAIが組み上げます。
組み上げた世界に、開発者である人の手による調整が加えられています。
撮影者である私が担当するのは、仮想空間内のドローンカメラを使用して、撮影場所、時間、構図を選ぶことと、天候を自在に作り出すことです。
実際の写真撮影と決定的に異なるのは、この「天候コントロール」です。
それ以外は、実際の写真撮影と同じです。
時間は止めず、実際の時間感覚で太陽は移動し、雲も実際の気象と同様に風力や風向に影響を受けながら、刻々と変化していきます。
その中で、「ここだ!」と思った瞬間をパシャリと撮っています。
さて、冒頭の写真は、ゲーム内の函館の夕景です。
かなりドラマチックに仕上げました。
最終的には写真の現像ソフトを使用して、かなり細かい調整をかけて現像しています。
なかなかの出来だと思っていますが、ちょっとCG臭い感じもします。
もちろんCGですが。
CG臭さの最大の原因は、色味だと思っているので、それを抜いて白黒写真で撮影したのが下の写真です。
東京の竹芝ふ頭付近です。
大荒れ気味の梅雨末期の早朝を想定し、一瞬だけ光が差したところを広角レンズで撮影したものです。
竹芝ふ頭は、8年ほど前にバイクをコンテナに詰めて一度だけ小笠原に渡ったことがあり、その時に船から見たのですが、印象的だったのでゲーム内で撮影してみた次第です。
最後は瀬戸内海の瀬戸大橋の写真です。
私は実家が岡山県なので、かつて、ちょくちょくこの場所には通っていて、かなりの再現性にびっくりしています。
ここは鷲羽山から見た瀬戸大橋で、ここからの風景が絶景なのです。
大気汚染が無い状態であれば、まさにこのCGと同様に見えます。
ところが現実には、瀬戸内海は中国と韓国からの越境大気汚染が溜まる場所で、大気汚染が無い状態を撮影するのは極めて困難です。
大気汚染が無ければ、自信をもって世界トップクラスの景勝地であることを断言できるのですが、残念ながらそんな日は永遠にやってきません。
ここからの眺めは本当に震えが来るほど美しく、言葉が出ないほどの情景なのです。
幸いなことにゲーム内では、その情景が忠実に再現されています。
まさに、このまんまです。
中国と韓国からの大気汚染に年中覆われる汚い日本の風景と、ゲーム内の大気汚染の無い本来の美しさを描き出すCG風景。
果たしてどちらが「本当の」風景なのでしょうか。
何だかよくわからなくなってきます。
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