【無料記事・クマ雑感】4/28根室のヒグマ映像を見て思うこと。 #26
知人から送られてきたこのニュース、見て驚きました。
おそらくこの映像を見た多くの方が、
同じように恐怖を感じたことでしょう。
このニュースを見て私が思ったこと、印象を述べてみます。
■ 遭遇時の対処について
まず、ドライバーの方の行動についてです。
実は現在、ネット環境が悪い所にいるので
映像をしっかり見れてないのですが、
車が親と子の対角線上に入って遮ってしまった、
というわけではなさそうです。
あのタイミングで停まってしまうのも、
一瞬下がった後、アタックの後に走り去ったのも頷ける対処です。
もちろん、もっと手前で止まっていれば良かったと言う方もいるかもしれませんが、それは結果論になってしまうと僕は思います。突然現れたクマの姿に、そこまで早い判断をできる人は、きっと稀だと思います。
なので、ドライバーの方が悪手を打った、という印象は僕には無いです。
むしろ、あの一瞬で、間違いのない対処をしたと言えるのではないでしょうか。車の中とは言え、僕なら、あそこまで冷静に対処できただろうか…
と思いました。
■ 母グマの姿勢について感じたこと
もう一つ、母グマのアタックの姿勢に驚きました。
かなり低い姿勢でアタックを前提とした動きに見えます。
多くの場合、クマはブラフ・チャージという行動をとります。
いわゆる偽のアタック、おどしです。
そうでもなくても人間に接近してくる状況がありますが
頭を上げていたか下げていたかで、クマの心理状態は
ある程度予測できる印象があります。
私も、不名誉ながら生身でそれを間近に見た経験が何度かありますが
なんとなくですが、今回の映像のこの姿勢は、
最初から止まらずに物理的攻撃を加える意志で
向かってきているように感じました。非常に怖いですね。
親子グマ故のスイッチだとは思いますが、
これに生身の人間が遭遇した場合、適切な対処は非常に難しいでしょう。
車で良かったとほんとうに思います。
■ もし車でなかったら…。
私が今回の映像で一番気になっているのがここです。
車という大きな物体が、速いスピードで向かってきたために
母グマが、猛烈にアタックをかけてきた…という可能性はないでしょうか。
これが、生身の人間がゆっくり歩いてきたとしたらどうなのでしょう…
同じスピードでアタックしてきたのか、それとも別の行動をとったのか。
人間側が、もっと早く気づいて、距離をとっていたかもしれません。
どう話しても推測の域を出ないとは思いますが、
フィールドを徒歩で歩くことの多い僕は、
車と人、この違いが非常に気になっています。
■ 親子グマはどうして危険なのか。
子どもを逃すために、チャージしてくる母グマの姿を何度か見てきました。
今回の映像でその怖さは十分に伝わってくると思いますが
実は親子連れでも、まったく襲ってこない、それどころか威嚇もしない母グマもいます。経験や性格がその要因だとは思いますが、その振り幅は非常に大きく、人間側に予測することは極めて困難です。故に、安全を考えると、親子グマは危ないと認識しておかねばならないと思うわけです。個体レベルで、何度も出会っていて母グマの性格まで把握していたら話は別かもしれませんが、それは一般的な話ではないでしょう。
穏やかな親子グマを見たからと言って、親子グマはのどかで安全だ、と思ってしまうことは非常に危険です。これは傾向にわずかな違いはあるものの、ツキノワグマに関しても同様の印象があります。これはいつか書こうと思っていたことなので、事例を挙げながら後日詳しく書こうと思います。
■ スプレーは間に合わないのか。
あの映像を見て『スプレーなんて間に合わない』と思った方も多いと思います。たしかにあの一瞬で的確にスプレーを噴射するのは難しいと言わざるを得ません。では、ナタなら間に合ったのか。銃ならば…。
いずれも更に難しいでしょう。
私は銃はやりませんが、忌避することだけを考えるならば、銃より、スプレーかも知れないと思います。あの低い姿勢で突進してくるヒグマを一発で仕留めるには、相当な腕が要るのではないでしょうか…。
(ちょうど先日、クマの経験が豊かな専門家と、そんな話になりました)
クマがもっとゆっくり近づいてくるパターンもありますが、
(むしろ、その方が多いかも…)その場合は対処できる可能性は増えます。
いずれにせよ忌避する一番良い手段は、スプレーなのではないかと思う次第です。わずかでも忌避できる可能性を上げるために、クマスプレーを携帯し、発射の練習もあらかじめしておくべき。対処に厳しい状況の実例を映像で見せられても、今のところ私が思う出来うる対策は、やはりクマスプレーですね。
いかがでしたでしょうか。
まとまりがない感じになってしまいましたが
取り急ぎ、雑感をまとめてみました。
親子グマについての話は、私の経験からいくつかまとめて
改めて記事にしたいと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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