mother
初めて保育士になった時、私は20歳だった。
大きな野望と、根拠のない自信と、うらはらに不安も抱えて社会人1年生になった。
「保育士」という肩書きだったけれど、
担当していた子どもたちにとって、私はどんな存在だったんだろう??
短大2回生の時全ての実習を終えて、私は進路を考え直した。
児童養護施設で働こう。
何故って簡単に語れないし、そこにプラスの感情も負の感情もどちらもあったと思う。
エゴイストというのかわからないけど、こんな思いをもっていた。
「そこで母のような存在になりたい」
なんて大それた、
だけど当時の私の純粋な想いだった。
そこで生活をしていた子どもたちには色んな事情があった。
虐待を受けていた子ども
育児放棄されていた子ども
・・・とにかくそれぞれに理由があって両親と一緒に暮らすことが難しい子どもたちと、一緒に生活をしていた。
早出では子どもたちを起こして一緒にご飯を食べて学校や幼稚園に送り出す。
遅出では、子どもたちが学校から帰ってきたのを迎えて、宿題をさせて、夕食を一緒に食べて寝かしつける。
一緒に生活をして、
子どもたちの心の傷の深さを知る。
いや、解るはずがなかった。
「深いんだろう」という憶測だけだ。
深海のような未知の領域。
人間の心がもうそうなのかもしれないけど。
深海のような心に触れたいと思ったはずだけど、
潜ろうとすれば自分すらのまれそうな気がして
表層で溺れていただけだったような気がする。
「そんな気がする」ばかりの中で
1つだけたしかなことは
母って、唯一無二であること。
心の中に自分が意識していようがいまいが、
必ず何らかの影響を及ぼしているってこと。
良い意味でも悪い意味でも。
殴られようが愛していたり
恨んでいても愛していたり
愛すべき存在だからこそ許せなかったり
生き別れても求めていたり
心の中で幻をつくるほど求めていたり
「母」という存在が人間にとってどれほど大きなものなのかってことを肌で感じました。
「母」って本当にすごいの。
誰の心の中にも絶対いて、良かろうが悪かろうが絶対に心をつくってるの。
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