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自分の居場所

執筆者:ゆう

夫との死別

2011年4月に夫はがんで亡くなりました。
当時、子どもたちは8歳、5歳、3歳。お先真っ暗。

入院中には、泊まり込みで看病してほしいと夫の家族に言われ、幼い子どもたちをおいて病院に行っていました。しかし、夫の父に彼が亡くなったのは私のせいだと心ない言葉を言われ傷つきました。

夫の弟からの暴言や暴力もありました。
私のことを何だと思っているんだろう? 
だから、「涙も感情も出すまい」と決めていました。

誰にも頼れずガマンして必死に子どもたちを育ててきました。
こころは完全にとじたまま。
夫のお葬式のときに泣けなかった。

繋がれる場所を探して

「子どもたちと一緒にご飯を食べたい。どこかに出かけたい」そんな胸の内を聞いてくれる場がほしいと探したけれど繋がれませんでした。

行政の窓口をたらいまわしにされたあげく、ここに連絡してみてと連絡先が書いてある紙切れ一枚を渡されたこともあります。

私の悩みを話す場はないんだなと悲しくなりました。

愚痴を言い合う場や、アドバイスをうける場、そういう場しかないと感じていました。

グリーフケアの団体にも問い合わせましたが高齢の方ばかりで、幼い子を連れている方はいないと言われました。誰か助けてという私の辛い気持ちは誰にもどこにも繋がりませんでした。

無いのなら自分でつくろうかと居場所づくりの講座を受けました。講座で仲間はできましたが、ひとり親の方はいなかったので、私はまた孤立しました。

シングルマザーズシスターフッドとの出会い

シングルマザーズシスターフッドという団体があることを知り、シングルマザーのマネーリテラシー講座入門編を受講しました。私はいつまで働き詰めないといけないのかと漠然とした不安を感じていましたが、講座を受けると、今の生活をよく見ることが大事で、私でもしっかりお金を管理して資産形成していくことができるかも、もっと前向きでいていいんだと希望が持てました。

マネーリテラシーというと、もっとビジネスライクな難しい講座を想像していましたが、身近な内容でわかりやすく、私にも明るい未来があるのかもしれない、と感じることができました。

私の次なるチャレンジ

今までは、シングルマザーと繋がろうとしても、愚痴を言い合うような場が多く、自然と足が遠のいていましたが、今回は前向きになってもいいんだなという実感を初めて持つことができました。

行政の窓口ではたらいまわしにされ、繋がったと思ってもシェルターとつながる。死別のひとはいない。グリーフケアは高齢者がほとんど。自分の悩みを話す場をなかなか見つけられずにいました。

講座を受けて私にも明るい未来があるのかもしれないと感じました。そして、今回のキャンペーンのエッセイのテーマはセルフケア。今までは、身体は仕事で動かしているし、しんどいけれど前向きに考えて行動しているし、自分には関係ないかなと思っていました。

ですが、このキャンペーンのエッセイ執筆者の募集を見つけた時、「自分を大事にしよう!」「しんどい、つらい、ガマンの生活から抜けよう!」という決意を新たにしました。

書くことによって得られるもの

私のようにパートナーと死別された方を含む、さまざまなシングルマザーと繋がれるのではないかという期待と、自分のさみしい気持ちを受け止めて癒していこうという決意から、シングルマザーズシスターフッドのMother’s Dayキャンペーンのエッセイ執筆に応募しました。

今まで様々なひとり親支援団体と繋がろうとしてうまくいかなかった経験もあり、シングルマザーズシスターフッドもまた同様なのかなと、最初は半信半疑ながらもキャンペーンスタッフ参加を決めました。

参加してみると同じような境遇の人とも出会えて安心しました。

ですが、エッセイ執筆は苦手なパソコンを使う必要があったので、私には出来ないかもと自信をなくしました。

メンタルが癒されてないまま新しいことを始めようとするのは苦痛だとも感じました。

恥ずかしいけれど「私には難しいからできない」とスタッフの方に伝えました。すると、共有ドキュメントの使い方を時間をさいてくれて親切に教えてくれました。嬉しかったです。

助けてくれる人がいたことで、こうしてエッセイ執筆という新しいことにチャレンジすることができました。

自分の居場所
セルフケアとは、自分自身で行うメンタルヘルスケアで、自分ひとりで対処することだと思っていましたが、それは違いました。サポートして頂ける場があることに気付けてよかったです。

講座の種類や繋がる場がもっと増えて、がむしゃらに働くだけではなくて、生き方の選択肢を増やして幸せで楽しい人生にする仲間が増えることを願っています。

私が辛い経験したことを話して、誰かの役に立てることで、癒されていく。

これからは、自分が自分で居られる場所を、たくさん増やしていこうと思います。

とりあえず憧れる人に会ってみるとか、楽しそうな事をやってみるとか、ひとつひとつやってみようと思います。ウクレレや手作りマルシェなどに参加してみたら仲間ができてきて楽しい時間がつくれるようになってきました。

人とつながって循環して癒していく。

自分を信じて生きてきた。三人のわが子の成長がなにより嬉しい。この先も自分を信じて、自分のままでしあわせになります。

スタッフのみなさんにここまで支えていただき、エッセイを書くことで自分の気持ちを整理することができました。

ありがとうございます。今後とも宜しくお願いします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。このエッセイは、NPO法人シングルマザーズシスターフッドのMother's Dayキャンペーン2022のために、シングルマザーのふぉんてさんが執筆しました。

このキャンペーンは、自身の心と体を大切にすること、それを互いにサポートしあえる社会を目指して実施しています。ご共感くださった方はぜひ、私たちの取り組みを応援していただければ幸いです。

ひとり親けんこう白書を作るためのクラウドファンディングへの応援もどうぞよろしくお願いします。

NPO法人シングルマザーズシスターフッド


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