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『ひとり親けんこう白書』第4章 「セルフケア」から「学び」「貢献」のサイクルへ


『ひとり親けんこう白書』p34-35

「今がよくなる」セルフケア

第2章では、「心身のセルフケアの実践」の場をご紹介しました。全国のシングルマザーからの支持を受け、オンラインの講座を定期開催してきましたが、ほどなくして、これだけでは足りないことがわかってきました。セルフケア講座でおこなっているストレッチや瞑想は、あくまでも「今が良くなる」という性質のものだからです。セルフケアの習慣は非常に大切ですが、それだけで未来を変えることはできません。

それでも、セルフケアを続けることで、未来を変えていくエネルギーが湧いてくるということがわかってきました。「今の状態」がよくなることで、自分の未来のために行動するエネルギーを得て、そのエネルギーを「未来がよくなる」ことに使ってもらいたい。そのために必要なのは「学び」というステップでした。

「今がよくなる」から「未来がよくなる」へ

ハローワークに行くと、ひとり親の就労支援としてさまざまな研修が提供されています。無料で参加できるものも多く、場合によっては給付金が出るものもあります。こうした機会を活かしてステップアップしていくシングルマザーもいます。

シングルマザーズシスターフッドでは、そういった研修の場では教わらない「人生を豊かにするためのライフスキル」を学ぶ機会を用意しました。マネーリテラシー、非暴力コミュニケーション、感情のケアの方法、健康的な対人関係、リモートワークのスキル、スピーチやプレゼンといったスキルです。
 
例えばマネーリテラシーの講座では家計の収支の把握から始まり、「自分はお金とどのように付き合っていきたいか?」といった価値観に向き合うワークに取り組みます。体や心の向き合う土台ができたあとは、生き方の価値観に向き合っていくのです。
 
近年「ひとり親の貧困」が注目されていますが、貧困状態にあって「いくら足りないですか?」と問われて正確な数字を答えられる人はどれだけいるでしょう? 受講前アンケートでは家計簿をつけていない人は8割を超えていました。家計簿を記録せず、収支を把握していない状態では漠然とした不安はなくなりません。そのような家庭に対して経済的な支援をしても、足りない状態からは抜け出せないでしょう。
 
まずは、こうした講座がアクションを起こす「きっかけ」になり、漠然とした不安が解消され、未来を前向きに作っていける、そんな機会になるようにという願いをこめて講座を開催してきました。

「今がよくなる」「未来がよくなる」から「社会がよくなる」へ

セルフケアの習慣がついて自分を大切にするという基礎ができ、学ぶ機会を活用して、自分が望む未来へアクションを起こす、そういった行動によって、たくさんの人が自分らしくイキイキと人生を前に進める姿を見てきました。ここで、力をつけた人たちが口を揃えて言うのが、次は、自分も誰かの力になりたいということでした。

そこで「今が良くなる」「未来が良くなる」の次のステップとして「社会が良くなる」という「貢献のステップ」を作りました。自分が困難に直面した時に、支援の手を掴むことは大事です。しかし、支援を受ける側にとどまるだけでなくて、自分の力を発揮して、誰かを助ける存在にもなれるというパラダイムシフトを起こすこともできるのです。貢献の具体例については、次のページでご紹介します。

支援の担い手が増え、支援の恩恵を受けられる人がもっと増える。
こんな循環の輪が少しずつ大きくなってしていくようなあり方を目指しています。

以上『ひとり親けんこう白書』第4章 「セルフケア」から「学び」「貢献」のサイクルへ をご紹介しました。次回は「コミュニティへの貢献」についてのページをご紹介します。

https://www.singlemomssisterhood.org/singlemoms-health

2023年9月27日(水)12:00-13:00
『ひとり親けんこう白書』完成報告ライブ配信を開催しました。
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